スーパー大麦「バーリーマックス」とは?管理栄養士による徹底解説
栄養学の先端をいくオーストラリアが、健康目的に10年もの歳月をかけて開発したスーパー大麦「バーリーマックス」。非常に栄養価が高く、玄米や大麦よりも栄養価が優れているといわれています。これから日本でも流行るであろう「バーリーマックスの魅力」について、管理栄養士の目線で徹底解説いたします。
バーリーマックスとは?
昨今、日本では高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病対策が注目されています。しかしこれは日本だけはなく世界的な課題です。特に生活習慣病に起因する肥満改善は重要で、WHOの報告によると日本の肥満率は4.5%程度ですが、栄養学の先端をいくオーストラリアでは25%と日本の約5倍。
そこでオーストラリア政府が、国民の健康のために開発したのが非遺伝子組み換えのスーパー大麦「バーリーマックス」です。
見た目は大麦に似ており、食感は「サクサク、モチモチ」と食べ応えがあるのが特徴的。癖のない味わいで、ごはんに混ぜたり、サラダやヨーグルトに混ぜたり、リゾットやスープに入れたりとアレンジは無限大です。
バーリーマックスに含まれる栄養素
食物繊維
バーリーマックスは食物繊維が豊富で、21.1g/100gもの食物繊維が含まれています。これは玄米の約7倍、大麦の約2倍。もち麦ユーザーも一度は試してみたくなるのではないでしょうか。
さらに興味深いことに、
- フルクタン
- β-グルカン
- レジスタントスターチ
といった3種類の食物繊維が豊富に含まれており、どれも発酵して腸内細菌のエサとなりますが、分子量の違いによりそれぞれの発酵速度も変わることで、腸内細菌のエサになる場所も変わります。
フルクタンが一番小さく、腸の入口付近。次に大きいβ-グルカンがさらにその奥。最後にレジスタントスターチが、もっと奥で腸内細菌のエサとなり、3段階で腸の奥まで届きます。
フルクタン
フルクタンは、玉ねぎやニンニク、菊芋、大麦、小麦などに含まれている糖の一種です。
ヨーグルトに添加されているオリゴ糖もフルクタンの仲間です。これらの糖は、消化されずに大腸で腸内細菌のエサとなり発酵されます。
そのためフルクタンは食物繊維に該当します。
β-グルカン
β-グルカンは、きのこや野菜に含まれている水溶性食物繊維です。
レジスタントスターチ
レジスタントスターチは、穀類や芋、バナナなどに含まれているデンプンの一種です。しかし消化できずに大腸で腸内細菌のエサとなります。
そのためレジスタントスターチは食物繊維に該当します。
レジスタントスターチは、加熱すると消化されやすい構造に変化してしまいます。一方で、冷めると再び消化されにくい構造に変化するという面白い特性があります。
バーリーマックスは、様々な料理にアレンジが可能です。レジスタントスターチの特性を考慮する場合は、ヨーグルトやシリアル、サラダに混ぜるなどして、冷たいまま食べることをおすすめします。
ビタミン
バーリーマックスは食物繊維だけでなくビタミンがとても豊富です。特にビタミンB群や葉酸、ナイアシンが、玄米や大麦と比較して飛び抜けて多いことが特徴的です。
ビタミン | 玄米 | 大麦 | バーリーマックス | 大麦と比較 |
---|---|---|---|---|
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.04mg | 0.16mg | 約4倍 |
ビタミンB6 | 0.45mg | 0.14mg | 0.77mg | 約5.4倍 |
葉酸 | 27μg | 9μg | 71μg | 約7.8倍 |
ナイアシン | 6.3μg | 1.6μg | 8.26μg | 約5倍 |
※100mg当たり
これらのビタミンは、水溶性ビタミンなので摂りだめできません。そのため日々の食事からコンスタントに取り入れることが重要です。
たとえば、バーリーマックスをごはんに混ぜることで、毎日無理なく取り入れるのはいかがでしょうか。
ミネラル
体内に微量しか存在しないミネラル。
残念なことに体内でミネラルを合成することはできません。そのため食事から取り入れることが重要なのです。ミネラルは野菜や穀類、魚介類といった自然の食材に多く含まれています。しかし加工する際にミネラルが失われたり、食生活が偏っていると不足してしまう恐れがあります。
日本人に特に不足しがちな栄養素が、
- カルシウム
- マグネシウム
- カリウム
- 亜鉛
- 鉄
といわれており、積極的に食事で取り入れたいミネラルです。なんと不足しがちといわれるミネラルがバーリーマックスには豊富に含まれています。
ミネラル | 玄米 | 大麦 | バーリーマックス | 大麦と比較 |
---|---|---|---|---|
カルシウム | 9mg | 17mg | 55.9mg | 約3.2倍 |
カリウム | 230mg | 170mg | 423mg | 約2.5倍 |
鉄 | 2.1mg | 1.0mg | 5.38mg | 約5.3倍 |
亜鉛 | 1.8mg | 1.2mg | 3.07mg | 約2.5倍 |
※100mg当たり
GABA(ギャバ)
最近、GABA入りのチョコレートが販売されており、普段から取り入れている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。GABAは、野菜や玄米、キムチ、漬物などの発酵食品に含まれています。
バーリーマックスには33mg/100gと、玄米の約6倍含まれています。
低GI食品に該当
GI値とは「ブドウ糖を摂取したときを基準(100)にして、ある食品を炭水化物量50g分食べたときの状態をそれぞれ数値化したもの」です。GI値が70以上の食品を高GI食品、56~69の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義されています。
バーリーマックスのGI値は、24.3±3.5であり[1]「低GI食品」に該当します。気になる方は普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
オーストラリア政府が国民の健康を願い開発した大麦だけあり、食物繊維だけではなく日本人が不足しがちなビタミンやミネラルがとても豊富に含まれていましたね。
バーリーマックスに含まれる栄養素は多岐にわたり、非遺伝子組み換えであることからも、成長期の子供や美容や健康を気にされている方など、老若男女問わずおススメしたい食材です。
また栄養素は、単体で摂取するよりも組み合わせて摂ったほうが効果的な場合があります。日々の献立にバーリーマックスを取り入れることで、たくさんの栄養素が相性よく働くことが期待でき、より健康的な食生活となるでのはないでしょうか。
今回、ご紹介したスーパー大麦バーリーマックスは、管理栄養士の私も愛用しております。今日から一緒にバーリー生活を始めてみませんか。
参考文献
文部科学省. 食品成分データベース, https://fooddb.mext.go.jp/
1. Nomura, N., Miyoshi, T., Hamada, Y., Kitazono, E., & LIMITED, T. (2020). Glycemic index of boiled BARLEYmax® in healthy Japanese subjects. Journal of Cereal Science, 102959.