肩こりの予防とケアに簡単ストレッチ8選
美容院で「肩凝ってますね~」といわれた経験はありませんか?
厚生労働省の調査によると日本人の女性が訴える自覚症状の第一位は「肩こり」なんです。また男性でも第二位という結果が出ています[1]。
日本語には「責任が肩にのしかかる」「肩を貸す」「肩の荷が下りる」など、「肩」にまつわる表現がたくさんあります。すべて精神的な負担を言い表していますよね。
一方で欧米では「肩こり」という言葉がありません。「Stiff Neck =硬い首」と表現するそうです。文化や言葉の違いで痛みの場所や認識も変わるようです。
現代日本人の国民的な悩みである肩こり、なんとかならないものでしょうか。今回の記事では、「肩こりの原因や特徴、予防とケアのための簡単なストレッチ」についてお伝えします。
なぜ肩こりが起こるのか?
さて、「なぜ肩こりが起こるか?」についてですが、答えはシンプル。「首や肩の筋肉に過剰な負担がかかるから」です。
- 筋肉に負担がかかる
- 血行が悪くなり、筋肉が硬くなる
- 神経を介して、コリや痛みを感じる
ごくごく当たり前のことですが、ほとんどの肩こりはこれが原因です。
※例外として、首の関節や脳の病気、高血圧など内科的な症状に伴う肩こりもありますので、そちらはまた別トピックでお伝えします。
肩こりになりやすい人の特徴
肩こりになる原因はいたってシンプルでしたね。それでは肩こりになりやすい人の特徴は、どんなものがあげられるのでしょうか。
同じことが長時間続く人
座っておこなう仕事 | 身体を動かす仕事 |
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猫背・前かがみが多い(例:デスクワーク、職人、手仕事) | 特有の作業が多い(例:介護福祉、農業、飲食業、建築業など) |
長時間同じ姿勢 | 長時間動く |
運動不足 | 運動過多 |
頑張っている筋肉と使えていない筋肉の差が大きい
長時間同じ姿勢を取ると、当然筋肉へかかる負担も偏りが出てきます。いくら気を付けていても筋肉の頑張りには限界があるのです。
頑張っている筋肉 | 使えていない筋肉 |
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首を支える筋肉 | 肩甲骨を寄せる筋肉 |
腕を支える筋肉 | 背骨を起こす筋肉 |
背骨を支える筋肉 | 肋骨周りの筋肉 |
日常生活の延長にある症状だからこそ、それだけ悩む人が多いんですね。
仕事や生活習慣上、その動作を避けられないこともあるでしょう。そんな中でも、少しでも筋肉の負担を分散し、偏りをなくすことが大切です。
肩こりのケアに簡単ストレッチ
前述した筋肉の「偏り」。頑張っている筋肉はムリに伸ばしたり、緊張をほぐそうと働きかけるとかえって硬くなったり、だるさや痛みを引き起こす場合があります。
肩こりでマッサージを受けて、そのときは楽になったりしますが、根本的にすっきりと肩こりがなくなったりはしませんよね。それには使えていない筋肉が「OFF」のままという背景があるからです。
今回は使えていない筋肉側に焦点を当て、筋肉のスイッチを「ON」にするストレッチをおこなってみましょう。使えていない筋肉を働かせ、肩こりのケアをおこないましょう。
使えていない筋肉を目覚めさせるには、運動前のウォーミングアップにも用いられるダイナミックストレッチがおススメ。アスリートの間では「アクティベーション = 活性化」ともよばれています。筋肉の再教育をして、本来の働きを取り戻しましょう。
忙しいお仕事の合間でもやりやすい方法と、帰宅後や自宅の時間などにもおススメの方法を2パターンご紹介します。
仕事の合間におすすめ!ダイナミックストレッチ
1. 肘引き寄せストレッチ
①両手を「前へならえ」の位置に動かします。手のひらを上にして肘を軽く曲げましょう。
②腕を水平に開き、胸を張り、顔は少し上を向きながら肩甲骨を寄せるように動かします。
③1,2,3,4のリズムでテンポよく動かします。1,2で腕を開き、3,4で閉じましょう。
④呼吸を続けながら20回繰り返します。
2. 壁スライドストレッチ
①壁や椅子を背にして立ち(座り)、両腕を上げてバンザイしましょう。
②壁沿いに腕を擦らせるようにしてスライドします。肘を曲げながら肩甲骨を寄せ、手のひらがあごのラインに来るように下げましょう。
③1,2,3,4のリズムでテンポよく動かします。1,2で肘を曲げ、3,4で伸ばしましょう。
④呼吸を続けながら20回繰り返します。
3. 体幹メトロノーム
①頭の後ろで手を組み、胸を張り、肘を開きましょう。
②身体を真横に曲げて、片側の側面を伸ばします。あばら骨の間を広げるようなイメージでおこないましょう。
③1,2,3,4のリズムでテンポよく動かします。1,2で身体を曲げ、3,4で戻しましょう。
④呼吸を続けながら20回繰り返します。
4. 体幹ツイスト
①頭の後ろで手を組み、胸を張り、肘を開きましょう。
②足の方向は正面を向けたまま、身体を捻ります。みぞおちから上を捻るようなイメージでおこないましょう。
③1,2,3,4のリズムでテンポよく動かします。1,2で身体を捻り、3,4で正面に戻しましょう。左右交互におこないましょう。
④呼吸を続けながら20回繰り返します。
自宅での時間におすすめ!ダイナミックストレッチ
5. 肩ぐるぐるストレッチ
①背筋を伸ばし、肘を曲げて、手を肩に乗せます。
②肘で円を描くように内側から外側に向けて回しましょう。
③10回おこなったら、外側から内側に向けて回します。
④呼吸を続けながら合計20回おこないましょう。
6. 床スライドストレッチ
①仰向けに寝ます。手を頭の上に伸ばしましょう。
②肘を曲げて、床に沿うように外側に開きます。背中を少し反らせましょう。
③息を吐きながら肩甲骨を寄せたら、床をスライドしながら、手を頭の上に戻します。
④20回繰り返します。
7. キャット&ドッグストレッチ
①四つん這いになります。手は肩の下に、膝は骨盤の下にくるように置きましょう。
②息を吸いながら顔を上げ、前を見ます。胸を張り、背中を反らせるようにして肩甲骨を寄せましょう。腰も反らせておしりが上を向くように動かしましょう。
③息を吐きながら目線をお腹のほうへ向けます。背中を丸め、肩甲骨を外へ広げましょう。腰は丸めて、おしりは下を向くように動かします。
④反らせて、丸めてを10回ずつおこないましょう。
8. ブックオープンストレッチ
①横向きで寝ます。両手は身体の前に伸ばしましょう。膝は軽く曲げておきます。
②肘を伸ばしたまま、本のページを開くように腕を広げて、胸を開きます。顔も開いた手のほうへ向けましょう。
③ページを閉じるように腕を身体の前へと戻します。
④片側を10回おこなったら、反対側も同様におこないましょう。
まとめ
肩こりなどの慢性的な症状には適した対処方法があります。その中でもストレッチはさまざまなバリエーションがあり、うまく使えばとても有効な手段のひとつです。
今回はダイナミックストレッチで筋肉を「再教育」し、「活性化」させるという方法をお伝えしました。ただコリのあるところをやみくもに伸ばすだけでは、なかなか解消しないというやっかいなポイントもあります。
「長時間続けること」により身体には大きな負担がかかります。こまめに休憩をとり、定期的にメンテナンスをすることで慢性化の連鎖を断ち切りましょう。
またご紹介したストレッチを実践してみて効果を感じたら、ぜひ大切な人にもすすめてみてくださいね。きっとあなたの周りにも、肩こりで困っている人がいるはずですから。
参考文献
1. 厚生労働省. 平成 28 年国民生活基礎調査の概況. 2016.