食物繊維豊富な「玉ねぎ」の栄養を知ろう
玉ねぎといえば、生・煮る・焼くといったさまざまな調理法に対応できる万能野菜。また保存しやすく年中手に入り、安価でお財布にも優しい食材ですよね。
そんな玉ねぎのメリットといえば、めぐりサポートの「サラサラ成分」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
実は玉ねぎには「サラサラ成分」以外にもたくさんの魅力が詰まっています。こちらの記事では、万能野菜「玉ねぎの栄養」についてご紹介していきましょう。
玉ねぎの栄養価
玉ねぎのカロリーは、100g当たり35kcal。成分でもっとも多いのは糖質でビタミン・ミネラルはさほど多くありません。しかし玉ねぎには、ビタミン・ミネラル以外の期待の成分が豊富に含まれています。
硫化アリル(アリシン)
野菜にはビタミン・ミネラル以外に化合物が含まれています。硫化アリルというのはイオウ化合物の一種で、還元成分が身体を守り、体内からのキレイをサポートするといわれています。
玉ねぎやニラ、ニンニクなどのネギ科の植物に含まれており、ネギ独特のツーンとした香りは硫化アリルの臭いです。この硫化アリルには外敵から身を守り、めぐりよい生活に役立つ働きがあることから、健康維持のためにも有用であるといわれています。
また玉ねぎを切る(細胞を壊す)と酵素の働きでアリシンという化合物が生成されます。こちらも硫化アリルの一種です。このアリシンも外敵から身体を守り、丈夫な身体づくりに役立つといわれています。
さらにアリシンは、ビタミンB1とも相性が良いので、コンデション維持してエネルギッシュな毎日のためにも、ビタミンB1の豊富な豚肉と玉ねぎを一緒に食べることがおすすめです。
ケルセチン
ケルセチンとは、玉ねぎの皮に多く含まれるポリフェノールの一種です。還元成分として身体を守り、季節の変化によるムズムズ時期にも重宝されます。
さらに最近の研究では、健康数値に関する報告もされています[1]。
しかしながらケルセチンは玉ねぎの皮に多く含まれており「食べるのが大変そう」となりますよね。実は玉ねぎの皮を煮出してスープなどに利用すれば美味しくいただくことができます。
またケルセチンは玉ねぎだけでなく、
- お茶
- アスパラガス
- ピーマン
- トマト
- レタス
などの野菜にも含まれています。野菜を日々食べることでケルセチンも一緒に摂取できそうですね。
フルクタン・イヌリン
玉ねぎには、フルクタンというフルクトース※1が連なった難消化性成分が存在します。このフルクタンは、
- 玉ねぎ
- ニンニク
- らっきょ
- トマト
- バナナ
- アスパラガス
- 小麦
- 大麦
など一般的に私たちが食べてる食材に含まれており、世界中の植物から発見されている成分です。その数36,000を超える植物に存在し、デンプンについで植物に多く存在する成分といわれています。
フルクタンには、玉ねぎや菊芋などに蓄積されているイヌリン型フルクタン。大麦などに蓄積されているレバン型フルクタンなど、いくつか種類があります。
これらのフルクタンを人間は消化できず、体内でさまざまな健康によい働きをすることから「水溶性食物繊維」に分類されています。
とくにイヌリン型フルクタンは多くの研究がされており、善玉菌のエサとして健康のためのプレバイオティクスとして有用です。GI値も低く抑えるためダイエット中の食材として優秀で、健康的な身体づくりのサポートとしても期待されています。
さらにネズミの実験ではありますが、玉ねぎから抽出したフルクタンを食べることで外敵から身を守る可能性が報告されています[2]。
このように水溶性食物繊維としての働きがあるフルクタンはさまざま効果が期待できます。また玉ねぎ以外にも、上記のような私たちが普段食べている野菜や大麦などの穀類にも多く含まれているのです
※1 フルクトース:はちみつや果実の甘味成分
まとめ
ビタミンやミネラルはさほど含まれないにもかかわらず、玉ねぎには健康維持に期待できる栄養がたくさん含まれていましたね。
サラダにしたり、オニオンスープや味噌汁、煮物などアレンジは無限大です。ぜひ、日々の食事に玉ねぎを取り入れてみてください。
参考文献
1. Serban, M. C., Sahebkar, A., Zanchetti, A., Mikhailidis, D. P., Howard, G., Antal, D., … & Lip, G. Y. (2016). Effects of quercetin on blood pressure: a systematic review and meta‐analysis of randomized controlled trials. Journal of the American Heart Association, 5(7), e002713.
2. Lee, J. B., Miyake, S., Umetsu, R., Hayashi, K., Chijimatsu, T., & Hayashi, T. (2012). Anti-influenza A virus effects of fructan from Welsh onion (Allium fistulosum L.). Food chemistry, 134(4), 2164-2168.