腰痛の予防に効果的なストレッチを知ろう!
「84%」
この数字がいったいなんなのかおわかりでしょうか?これは人生の中で一度は腰痛を経験する人の割合です。実はこんなに高い確率なんです。
「2,800万人」
では、この数字はいったいなんでしょうか?これは腰痛を持っている人の数なんです。平成28年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、国民の4分の1にあたる人が「腰痛」に悩まされているというデータがあります[1]。
日本の国民病とも称される「腰痛」。あなた自身も、あなたの周りにも困っている人がいるのではないでしょうか?
身体の調子を整えられ、自宅でも簡単に取り組めるストレッチ。自分で腰痛を予防できるとすれば、そんなに嬉しいことはないですよね。
こちらの記事では、みなさんが一番気になるであろう「どうすれば腰痛が軽減するの?」という点をおさえながら、腰痛の予防に効果的なストレッチをまとめてご紹介します。
腰痛が起こりやすい身体の特徴
腰の筋肉と関節に負担が「偏って」いる
結論からいうと、腰にまったく負担がかからない姿勢はありません。人が二足歩行である以上、腰は一番の負担を受けるポイントであることは事実です。
ではどうすればよいのか。それは筋肉と関節の負担を分散すればよいのです。自然な背骨のS字カーブは関節への負担が少ない理想的な状態です。しかし姿勢が崩れることで負担のかかる場所が偏り、腰痛につながります。
背骨のカーブは関節を「曲げる筋肉」と「伸ばす筋肉」のバランスで決まるのです。
同じ動きを長時間し「続けて」いる
筋肉には姿勢を維持する力があり、専門的な表現だと「等尺性収縮」といいます。
この力によって同じ姿勢を続けることが可能になっているのですが、度を越えると血行が悪くなり、筋肉を栄養するための酸素が行き渡らなくなります。
酸素が不足することで疲労物質が溜まり、筋肉が硬くなってしまうのです。
3つのポイント!腰痛を予防するためのストレッチ
ここからは腰への負担の「偏り」と、同じ姿勢を取り「続けて」いることの解消を目的に、腰痛の予防に効果的なストレッチをご紹介します。
ストレッチの感覚について
「どこまで伸ばすのが正しいのかわからない」という方のために、ストレッチの感覚を数値化してみましょう。こちらの記事では、
- まったく筋肉が伸ばされていない状態を「0」
- 痛みや不快感があるような状態を「10」
として表記しています。ストレッチに適しているのは「4~8」の感覚です。「気持ちいい~イタ気持ちいい」くらいを参考にしながら、読み進めてみてください。
ポイント①骨盤を正しい位置に
おしり
4の字ストレッチストレッチ(臥位)
①仰向けに寝た状態で片方の膝の上に足首を乗せます。
②ゆっくりとももとお腹を近づけましょう。両手はももの後ろに回します。
③おしりから太ももの外側にかけて伸ばします。背中は丸めないように気をつけましょう。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、よりももとお腹を密着させてさらに伸ばします。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑥反対側も同様におこないます。
4の字ストレッチ(座位)
①座った状態で片方の膝の上に足首を乗せます。
②ゆっくりとももとお腹を近づけましょう。両手は床に置きます。
③おしりから太ももの外側にかけて伸ばします。背中は丸めないように気をつけましょう。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、よりももとお腹を密着させてさらに伸ばします。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑥反対側も同様におこないます。
太ももの後ろ・内側
対象となる筋肉
ハムストリングス(大腿二頭筋)
ジャックナイフストレッチ(座位)
①体育座りの姿勢で座ります。腰が痛い方はお尻の下にクッションなどを置いて調整しましょう。
②両膝を曲げてふくらはぎのあたりを持ちましょう。お腹とももを近づけます。
③お腹とももを近づけたまま、ゆっくりと膝をのばします。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、手の位置を足首の方へ動かします。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
ジャックナイフストレッチ (立位)
①姿勢をまっすぐにして立ちます。
②膝を曲げて、しゃがみます。お腹とももを近づけましょう。手はふくらはぎ辺りに添えます。
③お腹とももを近づけたままで、おしりを上に持ち上げます。
④太ももの裏を伸ばします。お腹とももの距離が離れすぎないように気をつけましょう。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)おしりを上げてさらに伸ばしていきます。(7~8程度)※膝は曲がっていても大丈夫です。
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
太ももの前
反り腰の人向け
大腿四頭筋のストレッチ(臥位)
①横向けに寝ます。腕で枕を作り、姿勢をまっすぐに保ちます。
②膝を曲げて、手で足首を掴みます。少しずつ身体の後ろの方へ伸ばします。※足首を掴みにくい方は、先に足首を掴み、ゆっくり後ろに持っていきましょう。
③太ももの前を伸ばします。背中が丸まらないように気をつけましょう。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、おしりとかかとを近づけてさらに伸ばしていきます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑥反対側も同様におこないます。
大腿四頭筋のストレッチ(立位)
①姿勢をまっすぐにして立ちます。※バランスを取りにくい方は、椅子や壁などを利用しても大丈夫です。
②膝を曲げて、手で足首を掴みます。少しずつ身体の後ろのほうへ伸ばします。※足首を掴みにくい方は、先に足首を掴み、ゆっくり後ろに持っていきましょう。
③太ももの前を伸ばします。背中が丸まらないように気をつけましょう
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、おしりと踵を近づけてさらに伸ばしていきます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑥反対側も同様におこないます。
股関節の付け根
腸腰筋のストレッチ
①片膝立ちの状態になります。片方の脚を前に、反対は後ろに伸ばします。
②身体の重心を前に移動するようにして、太ももの前を付け根から膝にかけて伸ばしましょう。手は腰や膝の上などに置きます。身体を支えながらおこないましょう。
③ある程度伸びを感じたら(4~6程度)少し胸を張って、骨盤を前に押し出すようにしてさらに伸ばしていきます。つかめる方は足首を持ってみましょう。(7~8程度)
④気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑤反対側も同様におこないます。
ポイント②背中のカーブを正しい位置に
お腹のストレッチ
猫背の人向け
コブラストレッチ
①うつ伏せで寝ます。肘を肩の横に置きましょう。
②目線を前に、胸を張るようにして少し背中を反らせます。
③ゆっくりと呼吸をして、お腹側の筋肉を伸ばします。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、床についている肘を手のひらに変えて、さらに伸ばしていきます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
バンザイストレッチ
①壁から自分の足一つ分だけ離れて立ちます。
②バンザイをして壁に手をつきましょう。そのままおしりを突き出すようにしてしゃがみます。
④背中に少しハリを感じたら(4~6程度)、少ししゃがんでさらに伸ばしていきます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
背中のストレッチ
背骨丸めストレッチ
反り腰の人向け
①座って膝を曲げ外側に倒します。身体の前に手を伸ばし、床につきましょう。
②背中を丸めるようにして手を徐々に前へ伸ばします。
③ゆっくりと呼吸をして背中側の筋肉を伸ばします
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、床についている手を遠くにつき、さらに伸ばしていきます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
体側伸ばしストレッチ
①片方の手をまっすぐ頭の上に伸ばします。
②反対側の手で、伸ばした腕の手首を軽く握ります。そのままゆっくりと身体を横に倒していきます。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、身体を弓なりにしならせてさらに伸ばします。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑥反対側も同様におこないます。
ポイント③肩甲骨を正しい位置に
小胸筋のストレッチ
肩ねじりストレッチ
猫背の人向け
①背筋は伸ばしましょう。壁と平行になるようにします。
②肘と肩の高さが同じくらいになるように壁に手をつきます。
③そのまま胸を開く方向に身体を捻ります、手をついたままゆっくりと伸ばします。ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、軽く胸を張ります。ついている手の親指が上に向くように肩をねじり、さらにストレッチ効果が増します。(7~8程度)
④気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
⑤反対側も同様にストレッチしましょう。
菱形筋・僧帽筋のストレッチ
背中のストレッチ
反り腰の人向け
①座った状態か立った状態でおこないます。背筋は伸ばしましょう。
②お腹の前に手を回し、両手を組みます。立っている方は足を腰から肩幅に開きます。
③そのまま背中を丸めながら、腕をできるだけ遠くに伸ばしましょう。
④ある程度伸びを感じたら(4~6程度)、組んだ手を下げながら軽く背中を丸めます。(7~8程度)
⑤気持ちのよいところで止めてゆったりと呼吸を続け、20秒キープします。
ご紹介したストレッチは、一日のうちに「こまめに何回も取り組むこと」が大切です。
仕事の合間に休憩を取り、1時間あたり1回、2~3分でもよいので定期的に続けましょう。
まとめ
腰痛を引き起こす原因は「筋肉の負担が偏ること」「同じ姿勢を続けること」と前述しました。人の身体は良くも悪くもそれに慣れ、順応する力を持っています。
つまり特定の筋肉が緊張した状態が当たり前になり、腰痛である状態が定着してしまうのです。
日々、積み重なる腰痛のリスクを減らすには、こまめなケアとメンテナンスが鍵になります。腰周辺にとどまらず、今回ご紹介したストレッチを参考に腰痛に効果的な習慣づくりを心がけましょう!
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参考文献
1. 厚生労働省. 平成 28 年国民生活基礎調査の概況, 2017.