お買い物
menu

タンパク質で太る理由と対処法

坂口 真由香
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)
最終更新日:2022.08.24

近年、健康やウェルネスを求める動きが活発になってきており、健康的な食生活を意識される方も増えてきました。さらにダイエットや筋トレに励む若者や高齢者のサルコペニア問題など、人生100年時代を生き延びるためにタンパク質が注目されています。

タンパク質の注目が高まる一方で、「タンパク質を食べると太る?」という声があがっているようです。はたして本当にタンパク質で太るのでしょうか?結論から申しますと、食べ方によっては太る可能性があります……。

今回のコラムでは、タンパク質によって太る理由を解説し、適切は摂取方法をご紹介します。

タンパク質とは

タンパク質とは

身体の20%はタンパク質です。

  • 筋肉
  • 臓器
  • ホルモン
  • 酵素

など、身体のさまざまな部分がタンパク質で構成されており、人間にとって不可欠な栄養素です。タンパク質を摂取することで、体力づくりにとどまらず、美容のためや、運動後などのコンディション維持にもメリットはたくさんあります。

最近では老若男女問わず、タンパク質を意識している方も多いのではないでしょうか。うまく活用できれば、上記のようなメリットが得られるでしょう。一方で、タンパク質の選び方や食べ方を間違えると太ってしまうこともあります。

タンパク質によって太る理由

タンパク質によって太る理由

タンパク質によって太る原因は、以下が考えられます。

  • 食べ過ぎ
  • 消費エネルギーを把握していない
  • 運動してない
  • 動物性タンパク質ばかり食べている

食べ過ぎ

単に食べ過ぎればタンパク質であろうと太ります。皆さん、脂質は食べ過ぎると太るというイメージをお持ちでしょう。「脂質=体脂肪」は想像できますよね?

一方でタンパク質といば、「筋肉!」と思っている方が多く、タンパク質は食べても太らないという説が独り歩きしてしまっています。残念ながら、余計に食べたタンパク質は体脂肪として体内に蓄えられます

人間の身体は、飢餓でも生き延びられるようにうまくできており、食べて利用しないものは「蓄える」という機能が備わっていることを覚えておきましょう。

消費エネルギーを把握していない

摂取量が消費量を上回ると太ります

ご自身が1日にどれくらい食べたらよいかご存じですか?1日に必要なエネルギー量の範囲内でタンパク質を補給していると太ることはないでしょう。

しかしながらエネルギーを気にせず好き勝手に食べていては太ってしまいます。またタンパク質にばかりに意識がとらわれて、他の栄養素が過剰になっていることもあります。

下記に厚生労働省が発表している1日の活動にともなう消費エネルギーを示しました[1]。どれくらい必要かチェックしてみましょう。

また体重をひとつの目安にするのもいいでしょう。現在、体重が増加傾向なら「食べ過ぎ」「運動が少ない」かのどちらかです。体重が増えているなら、一度食べ過ぎていないか見直してみましょう。

性別 男性 女性
身体活動レベル1
0~5(月) 550 500
6~8(月) 650 600
9~11(月) 700 650
1~2(歳) 950 900
3~5(歳) 1,300 1,250
6~7(歳) 1,350 1,550 1,750 1,250 1,450 1,650
8~9(歳) 1,600 1,850 2,100 1,500 1,700 1,900
10~11(歳) 1,950 2,250 2,500 1,850 2,100 2,350
12~14(歳) 2,300 2,600 2,900 2,150 2,400 2,700
15~17(歳) 2,500 2,800 3,150 2,050 2,300 2,550
18~29(歳) 2,300 2,650 3,050 1,700 2,000 2,300
30~49(歳) 2,300 2,700 3,050 1,750 2,050 2,350
50~64(歳) 2,200 2,600 2,950 1,650 1,950 2,250
65~74(歳) 2,050 2,400 2,750 1,550 1,850 2,100
75以上(歳) 1,800 2,100 1,400 1,650

妊婦(付加量)初期
        中期
        後期

  +50
+250
+450
+50
+250
+450
+50
+250
+450
授乳婦(付加量) +350 +350 +350
  1. 身体活動レベルは、低い、ふつう、高いの3つのレベルとして、それぞれ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲで示した。
  2.  レベルⅡは自立している者、レベルⅠは自宅にいてほとんど外出しない者に層とする。レベルⅠは高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている者にも適用できる値である。
  3.  妊婦個々の体格や妊娠中の体重増加量及び胎児の発育状況の評価を行うこと必要である。
    注1:活用に当たっては、食事摂取状況のアセスメント、体重及びBMIの把握を行い、エネルギーの過不足は、体重の変化又はBMIを用いて評価すること。

    注2:身体活動レベルはⅠの場合、少ないエネルギー消費量に見合った少ないエネルギー摂取量を維持することになるため、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要がある。

運動していない

ダイエットやボディメイクブームで、タンパク質を積極的に取り入れている方も多いでしょう。しかしながら食べている量に見合った運動をしていなければ太ります

厚生労働省が公開しているメッツ表をもとに、50kgの人が30分間運動した場合の消費カロリーを計算してみました[2]。メッツとは運動強度の単位で、安静時を1としたときと比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。

たとえば輸入赤身肉100g当たり133kcal。軽いウエイトトレーニング30分の消費カロリーが87.5kcal。つまり軽いウエイトトレーニングをしただけで赤身肉100gを食べていると、摂取カロリーが上回り太る可能性があるのです。

運動メッツ30分あたりの消費カロリー(kcal)
自転車エルゴメーター(50W)3.587.5
ウエイトトレーニング(軽度・中等度)3.587.5
ゴルフ(カートを使って、待ち時間を除く)3.587.5
速歩(平地93m/分程度)4.3107.5
水中歩行4.5112.5
ソフトボール・野球5125
ウエイトトレーニング(高強度)6150
ジョギング、サッカー7175
ランニング(161m/分)9.8245
水泳(クロール 69m/分)10250

厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013より作成[2]

動物性タンパク質ばかり食べている

タンパク質には、動物性タンパク質植物性タンパク質があります。肉・魚・卵といった動物性には、脂質を豊富に含む食品がたくさんあり、動物性タンパク質ばかりに偏っていると脂質の過剰摂取にもなりかねません。

なるべく脂質の少ない食品を選んだり、豆腐や大豆といった植物性タンパク質もとり入れましょう

種類熱量(kcal)タンパク質(g)脂質(g)炭水化物(g)
国産ヒレ23319.1150.3
輸入ヒレ13320.54.80.3

※食品100g当たりの栄養価

国産と輸入ヒレ肉を比較してみましょう。

両者タンパク質量はほぼ同じですが、輸入ヒレに比べて国産ヒレのほうが、約3倍脂質が多く100kcalも差があります。ダイエットされている場合は、タンパク質の量だけではなく脂質の量もチェックしてみてくださいね。

種類熱量(kcal)タンパク質(g)脂質(g)炭水化物(g)
鶏むね皮付き24419.517.20
鶏むね皮なし12124.41.90

食品100g当たりの栄養価

ダイエット食の定番、鶏むね肉も注意が必要です。

鶏むね肉は皮が付くかどうかで100kcalの差があります。100kcalというと、おおよそ速歩30分の運動量に相当します。

鶏の皮1枚剥ぐか?運動をするか?これがタンパク質を食べて太るかどうかの運命の分かれ道でしょう。なるべく脂質の少ないタンパク質を選ぶことが太らない秘訣ではないでしょうか。

まとめ

今回のコラムでは、タンパク質を食べて太る理由について解説しました。

多くの場合、タンパク質の食べ方や選び方に問題があるといえます。タンパク質は、筋肉や臓器、ホルモンなどの構成成分であり、生命維持をおこなううえで不可欠な栄養素です。

とくに筋肉は加齢とともに減少します。いかにタンパク質をうまくとり入れ、運動するかが重要です。残念ながらタンパク質を食べただけでは筋肉の増加は難しく、運動して筋肉がダメージを受けたときの栄養補給が身体づくりに重要です。「運動×栄養」を忘れずに、人生100年時代を目指して貯筋しましょう。

参考文献

1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020 年版).

2. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動基準2013.

この記事をシェアする
LINE友だち追加してGronGの最新情報・セール情報をGET!

GronGのLINE公式アカウントでは、「新製品・キャンペーン情報の配信」「限定セールの開催」「限定クーポンの配布」など、LINE友達限定のお得な情報が満載です。

今すぐ友だち登録して、お得にGronG製品をゲットしよう!

LINE友だち登録してお得にGETする
坂口 真由香
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。