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なぜ臭いおならが止まらない?食物繊維とおならの関係について

坂口 真由香
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)
最終更新日:2020.09.28

人前では避けたい「おなら」。

さつまいもを食べておならが止まらず、恥ずかしい経験をした方もいるのではないでしょうか?突然やってくるおならの正体はいったいなんなのでしょうか?

実は「食物繊維」がおならの原因です。さつまいものように、食物繊維たっぷりの食品を食べるとおならの量が増えてしまうのです。健康のために推奨されている食物繊維。なぜおならが増えるのでしょうか?

今回のコラムでは、腸内細菌について紐解きながら食物繊維とおならの関係について解説します。

おならの原因

おならの原因

「おなら」がどのようにして作られるかご存じでしょうか?

おならの正体は、食べ物を食べるときに一緒に飲み込んだ「空気」と食べ物が、腸内で腸内細菌によって発酵(分解)されるときに発生したガスです。1日に400~2,000ml程が度作られ、大半が便として排泄されます。一部がゲップやおならとして出ていき、1日に10~20回おならをしているといわれています。

おならの原因にはいくつかあり、

  • 早食いで食事中にたくさんの空気を飲み込んでいる
  • 便秘
  • ストレス
  • 肉食中心の生活
  • 食物繊維を積極的に食べている

などが考えられます。

またおならには、「悪いおなら」と「いいおなら」があり、「悪いおなら」はにおいが臭く、「いいおなら」はほとんど匂わないのが特徴です。

「悪いおなら」とは

腸内で発生するガスには、

  • アンモニア
  • 硫化水素
  • インドール
  • スカトール

といった、少量にもかかわらず臭いにおいを放つガス存在しています。これが「悪いおなら」の正体です。では臭いガスはどのようにして発生するのでしょうか?

食べ物が消化されて腸に入ると腸内細菌によって発酵(分解)されてガスが発生します。腸内細菌には腸内でよい働きをするビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌、大腸菌やウェルシュ菌など悪い働きをする悪玉菌、どちでもない日和見菌が存在し、バランスを保っています。しかしながらなんらかの影響で悪玉菌が増えてしまうと臭いガスが発生してしまうのです。

たとえば、肉類などの動物性タンパク質は悪玉菌の好物で、動物性タンパク質ばかりに偏って食べていると悪玉菌が増殖します。悪玉菌によって動物性タンパク質が発酵(分解)される過程で、アンモニアや硫化水素といった臭いガスが発生してしまうのです。

また便秘も臭いガスの原因になります。便が腸内に長いこと留まっていると発酵が進み、臭いガスを放ってしまうのです。下痢の場合も、腸内細菌が一緒に流れ出てしまうので腸内環境が崩れて臭いガスが発生しやすいのです。

「いいおなら」とは

「いいおなら」とはあまり臭くないガスのことです。

食べ物と一緒に飲み込んだ空気や腸内細菌が食べ物を発酵(分解)する過程で発生する水素ガスや炭酸ガス、メタンガスなどは臭くなく、健康な人が出すおならの特徴です。

食物繊維を食べるとなぜおならが増えるのか

食物繊維を食べるとなぜおならが増えるのか?

冒頭でもお話しましたが、さつまいもを食べておならが増える正体は食物繊維です。ただし食物繊維を食べて出るおならは「いいおなら」に該当します。

食物繊維を食べると腸内細菌、とくに善玉菌が食物繊維を発酵してガスが発生します。このとき発生されるガスは、炭酸ガスやメタンガスなどほとんど臭いもなく、人体に害のないガスです。

食物繊維が腸内細菌によって食べられ、発酵(分解)を受ける過程で、ガス以外に酢酸や短鎖脂肪酸など嬉しい働きをする物質にもなります。これらの物質は、体内からのきれいをサポートし、健康維持に役立つ働きがあります。

つまり食物繊維を食べておならが増えるのは、腸内まで届き、善玉菌のエサになって嬉しい働きをしている証拠なのです。

さつまいも以外にガスが発生しやすい食品は、ブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツといったアブラナ科の野菜や大麦・ライ麦です。これらの食材は食物繊維がたっぷり含まれているので、腸内細菌によって発酵(分解)されガスが発生します。

また野菜の中でもニンニクのような硫化アリルを含む野菜は、硫黄臭のガスが発生します。アリシンやビタミンB1を含み、コンディションの維持など健康効果の高い食材のひとつですが、おならが気になる方は食べ過ぎに注意です。

おならが出ることは恥ずかしいかもしれませんが、積極的に食物繊維を食べましょう。

ご紹介した食材以外にも穀類や豆類、海藻、果物などに食物繊維は含まれています。まんべんなくとり入れることで多様な腸内細菌のエサとなり、よりいっそう体内からのキレイでしょうか。

おならの臭いを改善する方法

おならの臭いを改善する方法

「いいおなら」は体内で嬉しい働きをしているサインでした。一方、臭いにおいを放つ「悪いおなら」はなんとか回避したいですよね?ここからはそんな悪いおならを改善するための方法をご紹介します。

ゆっくり食べる

ガスの大半は食べ物と一緒に取り込まれる空気といわれています。早食いになると取り込まれる空気の量が多くなるため、ゆっくり落ち着いて食事しましょう。

便秘改善

便秘はおならの原因です。便秘対策をおこなうことでおならの量も減るでしょう。対策としていくつかあり、

  • 水分をとる
  • 良質な栄養素を必要分、積極的にとり入れる
  • 適度な運動

などがあります。

3食のバランスを考えて食べる

3食バランスよく食べることで腸のリズムが整います。とくに朝は腸が活発になるので、しっかり朝食を食べてトイレにいく習慣をつけるとよいでしょう。また偏った食生活は、腸内バランスが崩れる原因となります。

ごはんやパンなどの主食、魚や豆腐なの主菜、野菜や発酵食品などバランスを考えて毎食とり入れましょう。

適度な運動

運動することで血流がアップし、腸の動きが活発になります。ウォーキングや体操など適度な運動を習慣にしてみましょう。

適度にリフレッシュ

ストレスは自律神経の乱れにつながります。自律神経が乱れると腸の動きが悪くなり、悪玉菌が増殖するなど腸内環境が崩れてしまいます。リラックスする時間を設けるなど、ストレスをためないようにするのもおススメです。

まとめ

おならには「いいおなら」と「悪いおなら」がありました。

また食物繊維を食べることによるおならの増加は、しっかりと善玉菌のえさになり、体内からの綺麗のサインでした。

食物繊維を積極的にとり入れしましょう。

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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