オオバコ(サイリウム)は体に悪い?太る?メリットとデメリットについて
食物繊維が豊富な野草「オオバコ(サイリウム)」。食物繊維が豊富なことから、ダイエットのサポート食品として注目されています。
一方でオオバコが「体に悪い」、「太る」といったことを心配される声もあるようです。はたしてオオバコは体に悪いのでしょうか?また太るのでしょうか?
今回のコラムでは、オオバコのメリットとデメリットについて報告されている論文を紐解きながら解説します。
オオバコ(サイリウム)とは
オオバコは世界中に生息しており、200種類以上あるといわれています。日本に生息しているオオバコは田舎道や公園などに生えている野草です。
一方、みなさんがダイエットで活用されているオオバコは、プランタゴ・オバタ(英名:サイリウム)といってオオバコ属の一種です。主にヨーロッパやインドに生息しています。
プランタゴ・オバタの種皮の殻には食物繊維が豊富で、種皮の殻を粉末状にしたものをサイリウムハスクといい日本で販売されています。食物繊維が豊富なことからさまざまな効果が期待されており、ダイエット中のサポート役として活用している方もいるのではないでしょうか。
それではサイリウムハスクが体内でどのような働きをするのか見ていきましょう。
オオバコ(サイリウム)のメリット
満腹効果
サイリウムハスクには食物繊維が豊富です。
体内で消化できない食物繊維は腸内に入ります。サイリウムハスクに含まれる食物繊維は保水性や膨張性に富むといわれており、その結果満腹感が得られるといわれています。満腹感が得られることで食事量が抑えられ、減量できるのはないか?と期待されているのです。
サイリウムハスクを摂取したグループと水を摂取したグループを比較した研究では、サイリウムハスクを摂取したグループは1時間後の満腹感が高かったと報告されています[1]。
一方で、サイリウムハスクを摂取しても体重減少を認めなかった報告もあり[2]、食べるだけで痩せると過度に期待しないほうがいいでしょう。
プレバイオティクス
人間の腸には、約100兆個以上の腸内細菌が存在。腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌、日和見菌があり、それらの菌が絶妙なバランスで腸内環境を維持しています。健康な人であれば、おおよそ「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」のバランスで腸内環境を保っているといわれています。
日和見菌はどっちつかずな菌で、善玉菌と悪玉菌の優勢なほうの味方をする菌です。つまり善玉菌を増やすように働きかければ、日和見菌も味方にできます。
そのために活躍するのがサイリウムハスクです。サイリウムハスクに含まれる食物繊維はプレバイオティクスと呼ばれ、善玉菌のエサとなることで健康維持に役立ちます。
またサイリウムハスクは、粘性や保水性、膨張性に富むことから、溜めない健康生活のサポートとなると報告されています[3]。
健康維持に
食物繊維摂取量が健康維持に役立つことは多くの研究で証明されており、食物繊維の摂取が推奨されています。サイリウムハスクにも食物繊維が豊富に含まれていますが、健康への影響はどうなのでしょうか。
サイリウムハスクの摂取を継続することは、健康のための食事のサポートとして有用ではないかと報告されています[4][5][6]。
また、サイリウムハスク単体で食べるよりも、食材に混ぜることで消化速度が低下することで、低GI食品となるため有用であることが報告されています[7]。
サイリウムハスクの粉末は、無味無臭でさまざまな料理にアレンジ可能です。とくにパンやケーキ、クッキーなどの生地と相性ピッタリで、おやつを楽しみながら食物繊維を摂取できます。
オオバコ(サイリウム)のデメリット
オオバコは安全な食品だといわれています。しかしながら膨満感や腹痛、下痢、ガスなどかえって不調をきたす声もあるようです。
必ず推奨されている量を守りましょう。また水に溶かしたり、料理に混ぜるなど推奨されている調理法を守りましょう。
サイリウムハスクは保水性に長けています。粉のまま摂取すると窒息する可能性も否めません。さらに一部の薬と相性が悪いともいわれています。疾患をお持ちの方や内服されている方は、必ず医師の指示に従い適切に使用してくださいね。
まとめ
オオバコに主に含まれる成分は食物繊維でした。オオバコを食べることで太る報告はありませんでしたが、体重が減少したという報告も数が少なく、過大な期待はしないほうがよいでしょう。また安全であるとはいえ、個人によってはかえって腹痛や下痢の原因ともなりかねません。
サイリウムハスクに限らず単独の食物繊維に偏って摂取すると、個人差はありますが、腹痛や便秘、下痢などを訴える方がいらっしゃいます。
食物繊維は穀物や野菜、果物、海藻などの食材に豊富に含まれています。食材から摂り入れる最大のメリットは多くの種類の難消化性成分をまんべんなく摂取できることです。また食物繊維のほか、ビタミン・ミネラルなど生命維持に必要な栄養素も含まれており一石二鳥であるといえるでしょう。
参考文献
1. Turnbull, W. H., & Thomas, H. G. (1995). The effect of a Plantago ovata seed containing preparation on appetite variables, nutrient and energy intake. International journal of obesity and related metabolic disorders: journal of the International Association for the Study of Obesity, 19(5), 338-342.
2. Darooghegi Mofrad, M., Mozaffari, H., Mousavi, S. M., Sheikhi, A., & Milajerdi, A. (2020). The effects of psyllium supplementation on body weight, body mass index and waist circumference in adults: A systematic review and dose-response meta-analysis of randomized controlled trials. Critical reviews in food science and nutrition, 60(5), 859-872.
3. McRorie, J. W., Daggy, B. P., Morel, J. G., Diersing, P. S., Miner, P. B., & Robinson, M. (1998). Psyllium is superior to docusate sodium for treatment of chronic constipation. Alimentary pharmacology and therapeutics, 12(5), 491.
4. de Bock, M., Derraik, J. G., Brennan, C. M., Biggs, J. B., Smith, G. C., Cameron-Smith, D., … & Cutfield, W. S. (2012). Psyllium supplementation in adolescents improves fat distribution & lipid profile: a randomized, participant-blinded, placebo-controlled, crossover trial. PLoS One, 7(7), e41735.
5. Wei, Z. H., Wang, H., Chen, X. Y., Wang, B. S., Rong, Z. X., Su, B. H., & Chen, H. Z. (2009). Time-and dose-dependent effect of psyllium on serum lipids in mild-to-moderate hypercholesterolemia: a meta-analysis of controlled clinical trials. European journal of clinical nutrition, 63(7), 821-827.
6. Gibb, R. D., McRorie Jr, J. W., Russell, D. A., Hasselblad, V., & D’Alessio, D. A. (2015). Psyllium fiber improves glycemic control proportional to loss of glycemic control: a meta-analysis of data in euglycemic subjects, patients at risk of type 2 diabetes mellitus, and patients being treated for type 2 diabetes mellitus. The American journal of clinical Nutrition, 102(6), 1604-1614.
7. Wolever, T. M., Vuksan, V., Eshuis, H., Spadafora, P., Peterson, R. D., Chao, E. S., … & Jenkins, D. J. (1991). Effect of method of administration of psyllium on glycemic response and carbohydrate digestibility. Journal of the American College of Nutrition, 10(4), 364-371.