アラビアガムとは?植物ガム質について知ろう
増粘安定剤として幅広く使用されている「アラビアガム」。あまり聞きなれないかもしれませんね。
実はワインやコーラなど日頃口にしている飲料などに使用されています。そして重要な役割を担っており、「アラビアガムなしにコーラは飲めない」なんて話もあるようです。
今回のコラムでは「アラビアガムをはじめとする植物ガム質」について詳しく解説します。
植物ガム質ってなに?
アラビアガムは植物性ガム質です。一般的には「ガム」と呼ばれます。ガムには植物ガム質と粘質物があり、複数の糖が結合したヘテロ多糖類からなり、植物に存在しています。
多くは植物の細胞壁構成成分ではなく、細胞内貯蔵物質として存在。植物ガム質は主に樹皮や木部から得られる液状の分泌物です。粘質物は種子や根部、葉などに含まれています。これら植物ガム質と粘質物は明確に分類せずに「ガム」として呼ばれることが多いようです。
食品や医薬品、化粧品、工業製品などに、
- 糊料
- 接着剤
- 増粘剤
- 皮膜剤
- 安定剤
として幅広く利用されています。
アラビアガムとは?
アラビアガムはマメ科植物の「アラビアガムノキ」の木部や幹に傷をつけて、そこから分泌される粘液です。製品として使用されているものは粘液を乾燥させたものです。主な産地はスーダンやナイジェリア、セネガル、ケニアなどアフリカ諸国。
白色から淡黄色の粉末で、不純なものは褐色を帯びています。乳化安定性が高く、食品添加物として乳化剤や安定剤、懸濁剤、結晶防止剤として飲料やガムシロップなどに添加されています。ガムシロップの名前の由来はアラビアガムの「ガム」から来ているようです。
そのほか、食材を湿気から守ったり、苦味などの味をマスクする目的で使用されているコーティング剤や、マイクロカプセルなどにも使用されています。
身近な存在アラビアガム
あまり知られていないアラビアガムは、実は私たちの知る多くの食品や製品に使用されています。
世界中で愛されている清涼飲料水「コーラ」にもアラビアガムが使用されているのです。アラビアガムはコーラの成分を均一に混ぜるために使用されています。アラビアガムがなければ砂糖が沈殿してしまうようです。
アフリカ諸国の中でもスーダンが一番アラビアガムの生産が多く、世界中に輸出をおこなっています。しかしながら環境破壊によってアラビアガムノキが減少している問題や政治的な事情もあり、現在は使用されていないようです。
そのほか、一部のワインに安定剤としても使用されています。多くのワインには本来の質を保つために防腐剤が添加されています。添加される防腐剤によってワインの味に違いはあるようです。
しかしながら防腐剤なしに遥か遠い国で製造されたワインの質を担保しながら食卓に届けるのも至難の業。お手頃な価格で美味しいワインが飲めるのは多くの企業が努力を積み重ね、絶妙なバランスで防腐剤を使用しているからなのです。
アラビアガムは食品に含まれいる程度の量であれば、健康上の問題はないといわれています。口にしても危険性が少ないことから、子どもが誤って口にしてしまっても問題ないように、工作などで使う「のり」や「絵具」などの接着剤や増粘剤としても利用されています。
アラビアガム以外のガム質
食品やサプリメント、化粧品など肌に触れたり、口にしたりとしているアラビアガムやそのほかのガム質。食品添加物に関するマイナスな意見がある一方で、腐敗した食べ物を食べなくて済むのも、お菓子やジュースを美味しくいただけるのも、添加物の恩恵は少なからずあるでしょう。
もちろん食品添加物は100%身体にとってよいとは言い切れません。私たちができることは、日頃手にしている食品にどのような安定剤や保存料が使われているか、食品添加物について詳しく知ることです。
今回ご紹介したアラビアガム以外のガム質には、UV化粧品や入れ歯安定剤、ヘアセット剤に使用されているカラヤガム。ソースやドレッシング、ゼリー状の食品に使用されているトラガントガム。アイスクリームや菓子パンなどに使用されるローカストビーンガムなどがあります。
製品の裏に記載されているラベルをチェックすると、身近なものに使われていることに気付けるかもしれませんね。
まとめ
食品以外にもガム質は生活に欠かせない製品に幅広く使用されていました。
化粧品やサプリメント分野でも幅広く使用されて、さまざまな分野で応用されています。どのような目的で活用されているかなど、消費者側も知識を深めることが大切かもしれません。また植物の恩恵を受けているいることにも感謝したいですね。
参考文献
1. 日本食物繊維学会 (2008)「食物繊維基礎と応用」.第一出版