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ここ数ヶ月このコラムを通じての情報発信が功を奏してか、旧知の野球関係の友人等を通じてトレーニング指導の要請やご質問を多く頂くようになった。
トレーニング医科学に関する学術研究は日々進歩するので、それにまつわる情報もどんどんアップデートされていく。
野球に関する情報も例に違わずで、私のようなトレーニング指導を生業にしている者は、常に四方八方にアンテナを張り巡らし、その情報収集に余念のないように毎日を過ごしている。
解かりやすい例えをあげると、『肩や肘を冷やすから水泳はダメ』と言うような指導がまことしやかに行われた昭和40年前後生まれの野球少年たちって結構金槌が多い。
おまけに肩や肘に痛みを感じると、真夏でも患部を冷やさないようにと暑さに堪えて練習後や就寝時にウール100%のサポーターを当てていたものだ。
時代は流れて、それらは完全にオカルト化し、水泳は肩の可動性や柔軟性の形成に有用な運動やトレーニングになると理解されているし、投球後の肩肘へのアイシングは欠かす事の出来ないアフターケアとして認識されている。
そんな中、色んな指導現場に行っても未だに聴かれる「あのピッチャー、ええ球放るけど…線細いから球軽いな。走り込んで、飯ようけ食べて体重増やして球重くしたらオモロイな…」的な発言。
トレーナー的立場で言えばこの発言自体にツッコミどころ満載なのだが…。
物理的な条件を言えば、ボールに力を与える要素はボール自体の質量(145g前後)と加速度の2つ。
ボールの重さがほぼ一定で在ることを考慮すれば、残されたもう一つの要素で如何に差を生み出すかが最大の要因になることは明白。
加速度の要因を、投球動作になぞらえてシンプルに考えてみると良い。
下肢から体幹、上肢、指先へと運動エネルギーを連鎖させ最大の加速度をボールに与える事がそれに当たるので、その最大の仕事はボールが指先から放たれるまでにすでに完結している。
よって、指先を離れた後にボールに特別な力が加わり、『アニメのゲゲゲの鬼太郎の妖怪こなきじじい』の如く石になって重さを変えるような現象は起こるはずがないのだ。
では、なぜ野球に携わる多くの人が「体重増加=球が重くなる」と言う超常現象的な定説を信じてやまないのか?
本日はここにフォーカスしたお話。
実際にボールの質量が変化していないにも関わらず、多くの人がその定説「体重増加=球が重くなる」を受け入れているのには、質量に『重さ』を感じさせてしまう理由が存在しているからである。
野球に限らず打具を使用するスポーツを経験すればわかるが、バット、クラブ、ラケットと種目は違えどこれらの打具にはスイートスポットと呼ばれる最適なミートポイントが存在する。
重さを感じさせてしまう最大の要因は、このポイントを外した打ち損じによる影響が大きい。
野球なら所謂“激芯”を喰った時の打感は驚くほど穏やかだし、止まっているボールのゴルフなら、コンベンショナルタイプのアイアンを打てばよりそれが理解できる。
スイートスポットが猫の額や‥鼠の額ほどの打具の打ち損じの感触は重く鈍く、そして何よりも痛みをともなう。
つまり、いくつかの要因がこのポイントを外すことに貢献し、打者のスイートスポットを外させた結果が「あの投手の球は重かった…」と言う印象を与えているにすぎないのだ。
加えて、対戦した投手の胸板や腰、尻周りがドッシリとしていれば、よりそれは強調されてインプットされてしまうし、それとは対照的に中日の岡田投手や楽天の岸投手に代表されるようなスリムな選手の投じる球は軽いと表現されてしまう。
実質的にはボールの出どころ、リリース位置やボールを投げだす角度、投げ出すまでのリズムとテンポ、ボールのスピン量、縫い目の向きによってもこの作用に大きな影響を及ぼす。
春先に大いに盛り上がりを見せたWBCでは150km/hを優に超える各国の投手のボールより西武の牧田投手の球は明らかに当たりにくかったし、ゆったりとした日本ハムの大谷投手の球は当たるのにカブスの上原投手の球は当たりにくいような事が起こりうる。
またボールのバックスピン量が多ければ、揚力が生じミートポイントの誤差を生むし、握りや指先の力の入れ方を操作することで縫い目の向きを変えれば空気抵抗からマグヌス力を受け、ボールの軌道を変える。
これらにも共通して言えることは、『ボールへの仕掛けは手を離れるまでに完結している』と言う事で、どの投手も目の前に対峙する打者に八方手を尽くして、打ち損じを演出していると言っても過言ではないのだ。
投手の“打ち損じさせる能力のアップ”は体重増加のみによってもたらされるものではない。
様々な体力因子と併せて、統合的に構築されたトレーニングプログラムをバランス良く実践していく事で、それは可能となる。
体重増加もさまざまなトレーニングの適応の副産物であることが望ましい。
同じ投手でも細分化すれば選手それぞれの特異性があり、体格、フォーム、利き腕、ピッチングスタイルが異なる。
当然構成している体力因子には個体差が生じる。
また、さまざまなトレーニング方法を駆使して体力因子を向上させたとしても、スポーツの3k(勘、経験、コツ)が相乗的に向上しないと成績には投影されない。
投手に関して言えば、道具の使い方や配球の組み立て、記憶、天候による状況判断、相手の力量とのマッチング・相性、戦況の流れの読み、戦術等がこれに当たる。
ノムさんなんかは徹底的にこれを説いている。
但し、体力ポテンシャルと技術が抜きんでるあまり、これらの要素を無視してもの凄い記録や成績を残す選手が稀に現れる。
これがスポーツの面白いところであり残酷なところだ。
また、足りない体力ポテンシャルをこれらで補い成績を残す選手もいる。
我々のような専門家はそれが偶然の一致にあらず、それすらどんな要因を持ってそれに至らしめているのかを分析、あぶりだす能力を磨いておく事が必要で、印象や感想によって知らしめられている事象を、時に冷徹に科学の眼を持ってそれを切り裂く勇気が必要なのだ。
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