フルクタンとは？多く含む食品と摂取目安量について

「フルクタン」という言葉をご存じでしょうか？

フルクタンとは、簡単にいいますと砂糖に果糖（砂糖やはちみつに含まれる糖）が3つ以上結合した糖の総称です。なので一言でフルクタンといっても、その中にはたくさんの糖が属しています。

最近、ヨーグルトやチョコレートなどによく添加されている「オリゴ糖」は聞いたことがありませんか？実はオリゴ糖もフルクタンの一種です。

またフルクタンは、英語では「fructan」といいます。日本語では、発音の違いで「フラクタン」と記載されていることもありますが、意味合いは同じです。

今回の記事では、そんなフルクタンに関して説明していきたいと思います。

フルクタンを多く含む食品

フルクタンは微生物や植物に存在するといわれています。私たちがよく食べる食品では下記のような植物に多く含まれています。

フルクタンの働き

フルクタンの一種であるオリゴ糖は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサとなり、善玉菌に栄養素を与える働きがあります。

この働きからオリゴ糖は、「特定保健用食品」の関与成分として許可を得たものもあります。最近では、オリゴ糖入りのヨーグルトやチョコレートなどが販売されており、以前よりも身近な存在となりました。

またフルクタンは食品以外でも、保湿性があることから化粧品に使用されています。

さらに人間だけではなく、動物におけるフルクタンの特性がわかってきました。牛は、通常の牧草に比べてフルクタンを多く含んだ牧草の方が消化しやすく、好んで食べることがわかっているようです^[1]。

玉ねぎから抽出されたフルクタンが、健康に良いのではないか？という報告もあります^[2]。

この研究は、試験管内ので結果は見られなかったが、動物実験において健康への有用性を示したことがわかりました。

まだ動物実験段階なので人間に対しても同じような働きが起こるかはわかりませんが、これからの研究に期待したいですね。

このようにフルクタンは、食品産業だけではなくさまざまな分野で利用され、研究が進んでいます。

フルクタンの摂取目安量

フルクタンは、小腸で吸収されずに大腸に運ばれて発酵され、善玉菌のエサとなり、良い働きをするといわれています。

近年の健康ブームで、日本だけではなく海外でもオリゴ糖やイヌリンなどを含む食品が大人気。一方で、食べ過ぎるとお腹が張ったり、腹痛や下痢などの症状が起こる可能性があるといわています。

「FODMAP（フォドマップ）」という言葉をご存じでしょうか？「FODMAP」とは、発酵性の消化されにくい糖のことです。

この「FODMAP」は、健康維持のための食事における重要な概念で、欧米で注目されています。

メカニズムははっきりしてないようですが、「低FODMAP食」が健康に良いとわかってきました^[3]。

低FODMAPとは、上記に示すフルクタンを多く含む大麦やアスパラガス、玉ねぎなどの野菜、オリゴ糖を含む大豆食品、その他乳製品や果糖などの摂取量を減らすことです。

具体的な低減量についてはわかっていませんが、本論文では低FODMAP群の平均摂取量（FODMAP量）3.5g /日でした。

これらは研究段階であり、すべての人に当てはまるわけではありませんが、「FODMAP」が良い働きをすることはわかっています。自身と相談しながら活用するとよいでしょう。

まとめ

フルクタンは食品だけではなく、化粧品など私たちの日常生活で幅広く活用されています。食品や工業分野で研究がさらに進み、更なる発見があることに期待したいですね。

参考文献

1：吉田みどり, 上野敬司, 川上顕, & 塩見徳夫. (2003). 植物フルクタン研究とその代謝遺伝子利用. 化学と生物, 41(12), 787-795.

2：Lee, J. B., Miyake, S., Umetsu, R., Hayashi, K., Chijimatsu, T., & Hayashi, T. (2012). Anti-influenza A virus effects of fructan from Welsh onion (Allium fistulosum L.). Food chemistry, 134(4), 2164-2168.

3：Halmos, E. P., Power, V. A., Shepherd, S. J., Gibson, P. R., & Muir, J. G. (2014). A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome. Gastroenterology, 146(1), 67-75.