グルコマンナンとは?こんにゃくの食物繊維と期待できる効果・注意点
こんにゃくに含まれる成分「グルコマンナン」。
「名前は聞いたことあるけど、具体的にはよくわからない」って方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、こんにゃくとこんにゃくゼリーの違いについて紐解きながら、「グルコマンナン」について詳しく解説していきます。
グルコマンナンとは
こんにゃくの原料はコンニャクイモに含まれるコンニャク精粉です。コンニャク精粉をさらに精製することで「グルコマンナン」が得られます。
グルコマンナンはマンノースとグルコースが「β1,4-グリコシド結合」した多糖のことです。「β1,4-グリコシド結合」は非常に頑丈な結合です。人間はβを切断するハサミ(酵素)をもっていないため、グルコマンナンは胃や腸で消化されずに大腸へ到達します。
グルコマンナンは食物繊維として、身体の中からキレイにするのに役立つことから、こんにゃくは「体の砂払い」ともいわれています。その働きは江戸時代から知られており、こんにゃくの田楽が伝統料理として親しまれてきました。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。水溶性食物繊維はゲル状となって、身体をキレイにしながらゆっくりと移動し排泄されます。不溶性食物繊維は、腸内水分を吸収することで大きくなって刺激をしながら排泄されるのです。
身体にとって水溶性食物繊維も不溶性食物繊維のどちらも大切な食物繊維でバランスが重要です。理想的なバランスは「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」といわれており、とくに日本人は水溶性食物繊維の摂取が不足しているといわれています。
こんにゃくの食物繊維
それではこんにゃくに含まれる食物繊維はどちらなのでしょうか?
こんにゃくになる前の精粉の状態は水溶性食物繊維に該当します。精粉をこんにゃくのように固めるために水酸化カルシウムを入れます。水酸化カルシウムを入れることで水溶性食物繊維が不溶性食物繊維に変化するのです。
下図にあるようにこんにゃくの大半は不溶性食物繊維。一方で、こんにゃくゼリーはほとんどが水溶性食物繊維です。こんにゃくゼリーは精粉にアガーなどを入れて固めるのが一般的で、水酸化カルシウムによる変化がおこならないため水溶性食物繊維のままなのです。
食品名 | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|
精粉 | 73.3 | 6.6 | 79.9 |
板こんにゃく | – | 3 | 3 |
しらたき | – | 2.9 | 2.9 |
こんにゃくゼリー | 0.8 | 0 | 0.8 |
100g当たりに含まれる食物繊維量(g)
食品成分データベース[1]より作成
グルコマンナンの研究
グルコマンナンは胃の中で水分を吸収し膨張する性質があることから腹持ちが良く、ダイエット時などの食べ過ぎを抑えられるとされています。
グルコマンナンを摂取することが健康に有用である[2]という報告がある一方で、むしろお腹のハリやげっぷの頻度が増えたという報告もあります[3]。
グルコマンナンの影響については、更なる研究報告が待たれるところです。
まとめ
こんにゃくとこんにゃくゼリーの食物繊維は種類が異なりました。どちらの食物繊維も身体にとって大切な働きをします。
食物繊維は今回ご紹介したグルコマンナンだけでなく、イヌリンやセルロースなど種類は豊富です。特定の食物繊維ばかりに偏るのではなく、穀類や野菜、果物、海藻なさまざまな食材から取り入れるようにしましょう。
参考文献
1. 文部科学省. 食品成分データベース.
2. Sood, N., Baker, W. L., & Coleman, C. I. (2008). Effect of glucomannan on plasma lipid and glucose concentrations, body weight, and blood pressure: systematic review and meta-analysis. The American journal of clinical nutrition, 88(4), 1167-1175.
3. Keithley, J. K., Swanson, B., Mikolaitis, S. L., DeMeo, M., Zeller, J. M., Fogg, L., & Adamji, J. (2013). Safety and efficacy of glucomannan for weight loss in overweight and moderately obese adults. Journal of obesity, 2013.