マルチトールとは?働きと甘味料の種類について
ジュースやお菓子、サプリメントなどありとあらゆる商品に人工甘味料が使用されるようになり、身近な存在となりました。
マルトースやソルビトール、アスパルテーム……など、カタカナばかりで違いもよくわからない方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、数ある人工甘味料の中でも「マルチトール」に注目して解説します。
甘味料の種類
ジュースやお菓子、サプリメントなどで使用されている甘味料。戦後、砂糖が高級品であった時代に安価で大量に生産できることから広まったようです。今となっては低カロリーであることから幅広く使用されているのです。
下記の表のように甘味料は「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」に大別されます。糖質系甘味料は砂糖のほか、でんぷん由来の糖、糖アルコールなどが該当。非糖質系甘味料は天然甘味料と合成甘味料に分類されます。
本題であるマルチトールは糖アルコールに分類されます。糖アルコールは元々天然にあるものを合成して作ることから合成甘味料と間違いがちです。しかし天然にあるものから作るため合成甘味料にあたりません。
定義上、砂糖も甘味料に該当し「甘味料=人工甘味料」とはならないのです。人工甘味料は「化学合成したもの」で「糖アルコール」と「合成甘味料」があたります。
また甘味料だからといってすべて「低カロリー」ではありません。たとえば人工甘味料に分類されるアスパルテームは砂糖の200倍の甘さといわれており、極めて少ない量の添加で甘さを与え、ほとんどカロリーはありません。
同じく人工甘味料のマルチトールは2kcal/gと砂糖の半分程度のカロリーはあります。つまり甘味料の種類によってカロリーは異なるのです。
糖質系甘味料
砂糖 | |
でんぷん由来の糖 | ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水飴など |
その他の糖 | フラクトオリゴ糖、乳糖など |
糖アルコール | マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール |
非糖質系甘味料
天然甘味料 | ステビア、甘草(グリチルチリン) |
合成甘味料 | サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム |
マルチトールとは
マルチトールはでん粉から作る麦芽糖を原料とした糖アルコールです。糖アルコールは野菜や果物などにも含まれています。糖アルコールといってもエタノールを含まないためアルコールではありません。
マルチトールなどの糖アルコールは、砂糖と比較して甘みが弱くクセのない甘さが特徴です。また体内でほとんど吸収されないことから、ガムやチョコレートなどの低カロリー食品に使用されています。さらに食品に甘さを加えるだけでなく、食品の水分を保つ働きもあります。
マルチトールの働き
カロリーを抑える
マルチトールは小腸粘膜マルターゼによってわずかに消化されます。しかし大部分は大腸に到達して発酵を受けて利用されます。
砂糖が1g当たり4kcalに対して、マルチトールは1g当たり2kcal。ダイエット中などで糖質を控えたい方や低GI食品を意識する方などに人気があります。カロリーは砂糖の半分でGI値は低いかもしれませんが、糖質には変わりはありませんので、とりすぎには要注意です。
歯にやさしい
糖アルコールは砂糖とは違って酸を産生しないことから、歯にもやさしいとされており、ガムなどの甘味料や歯磨き粉などに使用されています。キシリトールやマルチトールが歯にやさしいことが報告されています[1]。
まとめ
甘味料にはカロリーがあるものとほとんどないもの、人工的なものと人工的でないものがありました。人工甘味料は今となっては私たちが日頃口にしている多くの食品に含まれています。
砂糖などの糖質の過剰摂取は肥満や糖尿病の原因ともなりかねません。ダイエットや健康ブームで糖質を控える風潮にあり、人工甘味料に頼り切っているところに疑問を持ちます。
人工甘味料には少量で甘みを与え、低カロリーで大量生産できるメリットはあるかもしれません。ただし歴史も浅いのが現実です。糖質は人体にとって欠かせない栄養素です。摂り過ぎがよくないのであって、砂糖が悪いのではありません。
人工甘味料のメリット・デメリットを理解したうえで選択されることをオススメします。簡単な方法は砂糖だらけのジュース、人工甘味料のジュースを控えて水やお茶を飲むことです。