β-グルカンを豊富に含む食品をご紹介
最近よく耳にする「β-グルカン」。
よく耳にするけど実際のところはよくわからない、そもそもどんな食品に含まれているの?など疑問ばかりですよね。
今回のコラムではβ-グルカンについて解説しながら、β-グルカンを豊富に含む食材や食品をご紹介します。
β-グルカンとは
人間の主なエネルギー源であるブドウ糖がいくつか結合してできた塊をグルカンといいます。ブドウ糖が結合する際に「鎖」役となるものにはα型とβ型が存在。
α型で結合してできたものにはデンプンやグリコーゲンなどがあり「α-グルカン」といいます。人間はα-グルカンを消化する能力(鎖を切るハサミ)を持っているため、最終的にブドウ糖となり体内でエネルギー源として働きます。
一方でβ-グルカンを消化する能力(鎖を切るハサミ)はないため、エネルギーに変換できません。β-グルカンは消化されない成分であり食物繊維に分類され、健康を維持するための働きを担っているのです。
β-グルカンを豊富に含む食品
それではβ-グルカンはどのような食品に含まれているのでしょうか。β-グルカンは、
- 野菜
- 果物
- 大麦
- オーツ麦
- マイタケ
- しいたけ
- シジフィラン
- 酵母
- 昆布
などに含まれ、β-グルカンの構造によってそれぞれ働きが少し異なります。
野菜・果物
野菜や果物など植物の細胞壁の大半はセルロースで、植物の1/3~1/2を占めるといわれています。セルロールはブドウ糖が β-(1→4)結合で直鎖状に連なっているβ-グルカン。
β結合のため人間の体内では消化できず、食物繊維に分類されます。ごぼうや人参、リンゴなど日頃から食べている食品にβ-グルカンは含まれているのです。
大麦・オーツ麦
大麦とオーツ麦の大部分はβ-グルカンといわれており、β-(1→4)結合とβ-(1→3)結合した直鎖構造をしています。大麦とオーツ麦のβ-グルカンについては、健康のための多くの研究[1][2]が報告されています。
欧米諸国では健康目的に大麦などの全粒穀物の摂取が推奨されているのです。
きのこ・酵母
昔から「不老長寿の妙薬」として親しまれてきたきのこ。その秘密はβ-グルカンにありました。きのこや酵母、カビ類に存在するβ-グルカンは、1-3グリコシド結合を基軸に1-6グリコシド結合による側鎖が形成されています。
きのこに含まれるβ-グルカンには外敵に負けない身体づくりに重要な働きがあり[3]、身体を守ります。
そのほかの食品
β-グルカンはゲルを形成し、液体の粘土を高める能力があるため、食品業界で幅広く使用されています。また食物繊維に分類され、低カロリーであることからドレッシングやソース、アイスクリームなどの脂肪の代替として利用されることもあります。
まとめ
日本では最近の大麦やもち麦ブームで、穀物に含まれるβ-グルカンが注目されています。
実は野菜や果物、海藻、穀物などあらゆる食材にβ-グルカンは含まれていました。また構造の違いにより発揮する働きも異なっていましたね。
ひとつの食材にこだわるのではなく、あらゆる食材からβ-グルカンを摂り入れましょう。
参考文献
1. Chen, J., & Raymond, K. (2008). Beta-glucans in the treatment of diabetes and associated cardiovascular risks. Vascular health and risk management, 4(6), 1265.
2. Othman, R. A., Moghadasian, M. H., & Jones, P. J. (2011). Cholesterol-lowering effects of oat β-glucan. Nutrition reviews, 69(6), 299-309.
3. Chan, G. C. F., Chan, W. K., & Sze, D. M. Y. (2009). The effects of β-glucan on human immune and cancer cells. Journal of hematology & oncology, 2(1), 1-11.