食物繊維の1日の摂取量(目標量)と上手にとり入れるためのポイント
日ごろから意識して食物繊維を食べていますか?
実は戦後以降、食物繊維の摂取量は低下の一途をたどり、現代の日本人が不足しがちな栄養素のひとつとして問題になっています。食物繊維といえば、ダイエット時やすっきり生活のためのサポート食品としてなど、健康のために重要な食品のひとつとして期待されています。
それでは食物繊維は1日にどれくらい摂取したらよいのでしょうか?
こちらのコラムでは、食物繊維の1日の摂取量と効率よくとり入れるためのポイントをご紹介します。
食物繊維とは?
食物繊維とは、人間の体内で消化できない成分のことをいいます。
昔は、体内で消化されないことから、役に立たない栄養素として見向きもされていませんでした。しかしながら1970年代頃より、消化できないにもかかわらず体内でさまざまな働きをしていることがわかり「第6の栄養素」として注目されています。
食物繊維の種類
消化されない食物繊維はそのまま腸内までいき、さまざまな働きをしています。性質の違いから水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されます。
水溶性食物繊維を含む食品は、ワカメや昆布などヌメヌメしたものが代表的です。不溶性食物繊維は、ごぼうやきのこなどの食品に含まれています。
食物繊維の吸収と働き
水溶性食物繊維は、水に溶けやすくゲル状になるのが特徴。その性質から、身体をキレイにしながらゆっくりと排泄されます。その際に他の栄養素も巻き込むため吸収が緩やかになり腹持ちもよく、GI値も低く抑えることが知られています。
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨張することで、身体を刺激しながら排泄されます。すっきり生活のためには欠かせないともいわれています。
どちらの食物繊維もビフィズス菌などの善玉菌のエサとなることで、健康維持に役立ちます。
食物繊維の1日の摂取量
それでは1日にどれくらいの食物繊維を摂取すればよいのでしょうか?
下に厚生労働省が推奨する量を提示しています。成人男性では21g以上、成人女性では18g以上が望ましいとされています[1]。
年齢等 | 男性(目標量) | 女性(目標量) |
---|---|---|
0~5(月) | – | – |
6~11(月) | – | – |
1~2(歳) | – | – |
3~5(歳) | 8以上 | 8以上 |
6~7(歳) | 10以上 | 10以上 |
8~9(歳) | 11以上 | 11以上 |
10~11(歳) | 13以上 | 13以上 |
12~14(歳) | 17以上 | 17以上 |
15~17(歳) | 19以上 | 18以上 |
18~29(歳) | 21以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 21以上 | 18以上 |
50~64(歳) | 21以上 | 18以上 |
65~74(歳) | 20以上 | 17以上 |
75以上(歳) | 20以上 | 17以上 |
妊婦 | – | 18以上 |
授乳婦 | – | 18以上 |
食物繊維の食事摂取基準(g/日)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)より作成[1]
食物繊維は足りていないのか
日本人の食物繊維の摂取量は、望ましいとされる量に達していません。
「平成30年国民健康・栄養調査」によると、ほとんどの層において男女ともに不足していました[2]。とくに20~40代の若者や働き盛り世代の食物繊維不足が顕著です。
1950年頃は、1日20g以上摂取していたといわれています。しかしながら穀類や芋類、豆類の摂取量の低下にともなって、食物繊維不足が加速しているのです。
厚生労働省 平成30年「国民健康・栄養調査」より作成[2]
食物繊維を上手にとり入れるポイント
食物繊維の1日の目標量は成人男性21g以上、成人女性18g以上でした[1]。一方、食物繊維の平均摂取量は14.4g[2]。目標に5gほど届いていないのです。
健康効果が期待できる食物繊維、積極的にとり入れたいですよね。それでは食物繊維を上手にとり入れるポイントについてご紹介しましょう。
1日350g野菜を食べよう
食物繊維といえば野菜ではないでしょうか。
1日の野菜の目標量は350g以上といわれています。サラダや和え物、スープ、みそ汁に野菜をたっぷり入れて、野菜料理を1日5皿を目標にとり入れてみましょう。
野菜の皮も食べよう
皮ごと食べられる野菜は、なるべく皮のまま料理し食物繊維を余すことなく食べましょう。
また野菜の皮には、食物繊維だけはなくビタミン・ミネラルなどの栄養素もたっぷり含まれています。人参やカボチャなど皮ごと食べられる野菜は、しっかり洗って栄養素を丸ごといただきましょう。
繊維の多い主食を食べよう
なかなか野菜だけで目標量達成は難しいでしょう。そこで主食に工夫を凝らすのもひとつの手です。
残念ながら、白米には食物繊維がほとんど含まれていません。そこで玄米や半つきに変えたり、白米の中にもち麦などを入れて雑穀ごはんにするのもおススメです。そうすることで1食あたり1~2gほど食物繊維がアップできます。
また玄米や大麦は食物繊維だけではなく、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているのも嬉しいですね。
文部科学省 食品成分データベースより作成[3]
水溶性と不溶性食物繊維どちらも食べよう
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の性質は少し異なりました。そこで大切なのが水溶性と不溶性のバランスです。どちらかに偏って食べると、かえって健康に良くないことも……。
水溶性食物繊維は、果物や野菜、海藻、大麦などの食材に含まれます。不溶性食物繊維は、ごぼうやきのこなどの野菜や豆類などに含まれています。日々の食事でまんべんなくとり入れるようにするとよいでしょう。
まとめ
食物繊維の1日の摂取量と効率よく食べるポイントをご紹介しました。
食物繊維には、腹持ちが良く、すっきり生活のためにはうれしい働きがありました。また健康維持のためにも重要でしたね。
しかしながら日本人の食物繊維摂取量は不足しています。意識してとり入れないと目標量の摂取はなかなか難しそうですね。今回ご紹介したポイントを実践し、食物繊維生活はじめてみてはいかがでしょうか?
参考文献
1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版).
2. 厚生労働省. 平成30年「国民健康・栄養調査」.
3. 文部科学省. 食品成分データベース.