低GI食品のもち麦の働きと活用術について解説
スーパーやコンビニでよく見かけるようになったもち麦。「なんとなく健康によさそうだから……」と取り入れている方も多いのではないでしょうか。
そんなもち麦はGI値が低いことをご存じでしょうか?今回の記事では、「もち麦とGI値との関係や活用術」についてご紹介します。
血糖値の上昇はなにがダメなのか
ごはんやパンなどの炭水化物を食べると、胃と腸でブドウ糖に消化され、腸から吸収されます。人間の主なエネルギー源はブドウ糖。腸から吸収されたブドウ糖は血液を介して全身に運ばれ利用されます。
通常、血糖値は膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンのおかげで一定の範囲内で保たれています。しかしながら、暴飲暴食や砂糖たっぷりのジュースなどの炭水化物を過剰に摂りすぎると、血液中に大量のブドウ糖が流れこみ、インスリンの処理が間に合わず急激に血糖値が上昇してしまうのです。
血糖値が上昇しても痛くも痒くもありません。ところが血管へのダメージは大きく、糖尿病や動脈硬化のリスクが高まるので注意が必要です。
最近では、高血糖に対する注意が高まったり、ダイエットブームで「糖質制限ダイエット」が流行ったりもしました。しかしなかには極端に制限しすぎて体調を崩したという声も。
人間は糖質なしに生きられません。糖質が悪いのではなく過剰摂取したり、急激な血糖値の上昇を招く食べ方がよくないのです。血糖値の上昇を抑制する食べ方が重要です。
もち麦とは
そもそも「もち麦」とはなんなのかご存じでしょうか?
もち麦は、ビールや焼酎の原料となる大麦の一種です。大麦は稲穂の形の違いによって「二条大麦」と「六条大麦」に分類され、もち麦は六条大麦に属します。
六条大麦にはもち性とうるち性があり「もち性=もち麦」、「うるち性=押し麦」です。名前のとおり、押し麦に比べてもち麦のほうが「もちもちとした食感」が特徴的です。
もち麦のメリット
GI値を低く抑える目的で「ベジファーストをしている」「玄米を食べている」などあるでしょう。では、もち麦はどうでしょうか?
野菜に負けない食物繊維含有量
食物繊維といえば野菜を想像しがちですが、もち麦には野菜にひけず劣らず食物繊維がたっぷり含まれているのです。食品100gで比較すると、きのこの約4倍、ごぼうの約2倍含まれています[1]。
水溶性食物繊維「β-グルカン」
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、もち麦はどちらも豊富に含んでいます。とくに注目していただきたいのが、水溶性食物繊維の一種「β-グルカン」。
β-グルカンは酵母から発見された水溶性食物繊維で、きのこや野菜などに含まれています。とくに大麦は水溶性食物繊維の大部分がβ-グルカンといわれるほど豊富なのです。
β-グルカンは消化されない成分で腸に入るとゲルを形成し、体内からのキレイをサポートして、ゆっくり移動して排泄されます。このゲルが他の栄養素を巻き込みながら移動するため、GI値を低く抑えるのです[2]。
もち麦のGI値は比較的低い
GI値(グリセミック・インデックス)という言葉を聞いたことはありますか?
GI値とは、簡単にいうと「ブドウ糖を100とした場合の、他の食品での血中ブドウ糖濃度の割合」を数値化したものです。
もち麦(大麦)は白米や玄米と比較してGI値が低い食品といえるでしょう。
Atkinson F. S.ら(2008)[3]より作成
セカンドミール
セカンドミールとは、「最初に食べた食事が次の食事に影響すること」です。GI値を提唱したトロント大学のジェンキンス博士が提唱しました。
たとえば朝食にもち麦を食べると「β-グルカン」のパワーにより、食物繊維の働きが持続して昼食のGI値もおさえるというものです[4]。
ごはんに混ぜたり、サラダやヨーグルトなどにトッピングして朝からもち麦生活をはじめるのもいいかもしれませんね。
その他のもち麦健康パワー
もち麦は様々な働きにより、健康維持に役立つといわれています。またすっきり生活なども期待できるでしょう。
そのほか、白米と比較してビタミンやミネラルが豊富に含まれています。美容やコンデション維持サポートなど嬉しい働きがたくさん得られるかもしれませんね。
まとめ
今回の記事では「もち麦のメリット」について解説しました。もち麦はβ‐グルカンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富で、GI値を低くおさえるのに活躍していました。
日本人の食物繊維摂取量は低下傾向です。その原因のひとつとして「米離れ」が考えられています。実はごはんなどの主食にも食物繊維が含まれており大切な供給源です。
ぜひ、今日からもち麦ごはんで食物繊維をしっかり食べてメリットを体感してみてくださいね。
参考文献
1. 文部科学省. 食品データベース.
2. Behall, K. M., Scholfield, D. J., Hallfrisch, J. G., & Liljeberg-Elmståhl, H. G. (2006). Consumption of both resistant starch and β-glucan improves postprandial plasma glucose and insulin in women. Diabetes care, 29(5), 976-981.
3 Atkinson, F. S., Foster-Powell, K., & Brand-Miller, J. C. (2008). International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes care, 31(12), 2281-2283.
4. Wolever, T. M., Jenkins, D. J., Ocana, A. M., Rao, V. A., & Collier, G. R. (1988). Second-meal effect: low-glycemic-index foods eaten at dinner improve subsequent breakfast glycemic response. The American journal of clinical nutrition, 48(4), 1041-1047.