「EAA」「BCAA」というアミノ酸をご存じでしょうか。名前は聞いたことがあるけど、なにが違うのかわからないという方も多いはず。
このコラムで「EAA」「BCAA」それぞれの成分や役割などを比較して、理解を深めるとともに、アミノ酸選びに役立てていただければ幸いです。
必須アミノ酸について

必須アミノ酸は体内で合成することのできない栄養素で、体外から摂取する必要があります。身体を構成する20種のアミノ酸のうち9種類が該当します。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- ヒスチジン
- リジン(リシン)
- メチオニン
- フェニルアラニン
- スレオニン(トレオニン)
- トリプトファン
EAAとBCAAはいずれも必須アミノ酸のため、身体の機能を構成する際に欠かせない成分を含んでいます。
EAA ⇒ Essential Amino Acids(必須アミノ酸)
BCAA ⇒ Branched-Chain Amino Acids(分岐鎖アミノ酸)
2つのアミノ酸はそれぞれの頭文字をとった略称です。
EAAは必須アミノ酸を英語で表現しています。タンパク質も英語ではプロテインですよね。
BCAAは日本語で分岐鎖アミノ酸といい、アミノ酸の構造が枝分かれをしていることが由来です。
EAAとBCAAの違い

成分の違い
EAAはアミノ酸の中でもとくに欠かせない9種類で、身体の成長時に重要な栄養素です。また、身体の組織やホルモン神経伝達物質の材料でもあり、丈夫な身体づくりに役立ちます。
このうちスポーツの現場で意見が分かれるのが「トリプトファン」です。トリプトファンは体内でセロトニンというホルモンの材料となります。ゆっくり休みたいときには就寝前のホットミルクがすすめられるように、精神を落ち着かせたり身体をリラックスさせるための休息時間におすすめなのが、トリプトファンです。逆の状態である運動など神経や肉体を興奮させるような場合には適さないとする意見もあるようです。
一方でBCAAは、必須アミノ酸のうち「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3種類からなります。BCAAは筋タンパク質中の必須アミノ酸の35%を占めています[1]。
BCAAは主に筋肉に存在し、運動中のエネルギー源となるほか、筋肉の材料として重要です。とくにロイシンには、運動時に必要になる筋肉としての材料、幼児期の成長時に必要な栄養素、その他体内からバランスよく健康維持としての役割があります[2]。
役割の違い
身体をひとつの家としてとらえてみましょう。家を建てたり、修繕したりするには土地や材料、大工さんや機械が必要ですよね。必須アミノ酸は家を建てる際の基礎にもなれば、材料にもなり、大工さんにもなります。
EAAは必須アミノ酸9種類すべてですから、身体を作るのに必要なものが不足なくそろっている状態です。家を建てるときに、大工さんと材料の両方が必要になりますよね。
身体づくりに欠かせない中心となる材料が必須アミノ酸。大黒柱のように大きな骨組みや土台となる基礎工事のようなものでしょうか。頑丈な木材や鉄筋コンクリートのような素材は、紙やガラスでは役割が務まりませんよね。「他の材料では決して替えが効かないもの」と考えましょう。
BCAAはEAAの中にも含まれており、言わば監督です。大工さんに指示を出さなければ家は建ちませんが、大工さんは指示や材料がなければ家を建てられません。
BCAAは体内において、丈夫な身体づくりの司令塔です。運動をしながらもBCAAの濃度が高まると(材料を用いて大工さんの仕事を指示する)ことで、理想の身体がつくられる(家が建つ)というわけです。
ただしBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)だけでは筋肉を合成できません。20種類のアミノ酸が不足していると、身体は体内の別の場所から分解してアミノ酸を捻出し、必要な部分にあてようとします。文字通り「身を削っている」わけですね。
BCAAがうまく機能するのは、あくまでも「身体を作る材料であるアミノ酸を十分に摂取できている」ことが前提になります。食事のバランスが崩れているとあまり意味がないのです。
目的の違い
EAAやBCAAを摂取する目的はなんでしょうか。体内での役割に違いはあるにしろ「身体のサイクルをスムーズにする」という点は共通のポイントでしょう。それぞれの特徴をしっかりと活かすには、すべてのアミノ酸が機能するのに必要十分な量を摂取することが大切です。
身体がアミノ酸を大量に必要とするとき
- 仕事などで忙しく余裕のない状況
- 激しい運動をした
- 成長時や妊娠時など
上記のように何かしらの刺激を受けたときや、物理的に必要量が増えたときにはたくさんのアミノ酸を利用します。
ここまでの説明ですでにおわかりのように、必須アミノ酸は体内では合成できません。アミノ酸が十分な状態で、身体のサイクルはスムーズになります。毎日の食事でタンパク質不足の可能性がある方は、刺激などに対抗しようと頑張っているのに、身体がうまくい対応できない事態になってしまうのです。基本の食事が大切であることは言うまでもありません。
EAAの中にはBCAAを含むすべての必須アミノ酸が含まれます。そのため、EAAが身体全体に分布しているのと比較するとBCAAは存在範囲が筋肉付近に限定されがちになりますね。EAAは運動全般の身体づくりとしてのエネルギー源になるのに対して、BCAAに限らず、集中力や持続力を必要とするスポーツや、トレーニングによる筋力アップの素早い補給サポートなど、用途の目的を明確にしておかないと必要なアミノ酸を選び、働きを活かすことは難しいかもしれません。
どんなものであれ、その栄養素がもつ特徴と身体への影響をしっかりと理解して利用しましょう。
プロテインの摂取量における適解!自分に適切な「飲む量」を知る
GronGのEAA

必須アミノ酸のうち「ヒスチジン」というアミノ酸は、子どもの体内では作られないのですが、大人の体内では作り出せる少し変わったアミノ酸。それらを考慮した上で、必須アミノ酸8種類にトレーニング時に大切な非必須アミノ酸を加えたEAAシリーズ。
クレアチンのもとになるグリシンと、エネルギーの代謝に作用するアスパラギン酸を加えています。また、アミノ酸特有の苦みを押さえるような配合にもなっているんです。
フルーツ風味を中心に豊富なラインアップをご用意していますので、好みに合わせて選んでいただけます。


もうひとつは、必須アミノ酸9種類全てが含まれたCOMPLETE(コンプリート)EAA!
こちらは人気のエナジードリンクを筆頭に、運動中にも飲みやすいさっぱりした風味をご用意しています。1食ずつ味を確かめられるトライアルパックもございますので、ぜひあなたのお気に入りを見つけてみてくださいね。個人的にはピンクグレープフルーツ風味がおすすめです。トレーニング中にもゴクゴクいけます。
いずれにせよ、EAAは必須アミノ酸を網羅的に摂取できる特徴があります。
大は小を兼ねるといいますから、アミノ酸を充分にチャージして、安心して身体づくりに取り組みたい方におすすめです!
GronGのBCAA

一方でBCAAは、必須アミノ酸のうち「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3種類からなります。BCAAは主に筋肉に存在し、運動中のエネルギー源となるほか、筋肉の材料として重要です。とくにロイシンには、運動時に必要になる筋肉としての材料、幼児期の成長時に必要な栄養素としての側面があります。
ただし、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)だけでは筋肉を合成できません。20種類のアミノ酸が不足していると、身体は体内の別の場所から分解してアミノ酸を捻出し、必要な部分にあてようとします。文字通り「身を削っている」わけですね。
BCAAがうまく機能するのは、あくまでも「身体を作る材料であるアミノ酸を十分に摂取できている」ことが前提になります。食事のバランスが崩れているとあまり意味がないのです。
日常的な食生活において、バランスよく充分にタンパク質やアミノ酸を摂取出来ている方は、トレーニング中の水分、栄養補給として取り入れていただくのもおすすめです!
フレーバーは運動中に飲みやすいさっぱりしたものが中心です。どれも甘さ控えめで、すっきりした味わいが特徴です。
まとめ
とある大手ハウスメーカーが家を新築する際、材料を工場である程度の段階まで作りこんでおいて、実際の土地に据え付けるだけ。なんとたった1日で家が建ってしまうのです。製造工程を簡略化すれば、大規模な工事も短時間で可能になるんですね。
EAAのように身体を作るために必要な栄養素と、BCAAのように身体を作るにあたってある役割に特化した栄養素がうまくバランスをとっていることで、はじめてサイクルはスムーズになり、理想の身体づくりの助けになります。いくら「大(EAA)は小(BCAA)を兼ねる」といっても、優秀な大工さんへ的確な指示ができない建築現場はうまく回りませんよね。
より質の高い身体づくりのために、バランスのよい食習慣を心がけましょう。
参考文献
- Yoshiharu Shimomura, Taro Murakami, Naoya Nakai, Masaru Nagasaki, Robert A. Harris, Exercise Promotes BCAA Catabolism: Effects of BCAA Supplementation on Skeletal Muscle during Exercise, The Journal of Nutrition, Volume 134, Issue 6, June 2004, Pages 1583S–1587S,
- 国立健康・栄養研究所. 健康食品の安全性・有効性情報. 閲覧2020-12-17, https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail633lite.html
この記事を書いた人

前田 修平
鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。