お買い物
menu

『スポーツ1万時間の法則』に思うこと│誰よりも早く始める事はアドバンテージになるのか?

島袋 好一

WRITER

島袋 好一

トレーナー(寄稿)

最終更新日:2018.12.03

幼少の頃からゴルフを始めたタイガーウッズ・宮里藍選手

先日、2つのセンセーショナルなニュースがゴルフ界を駆け抜けました。

皆さんも良くご存知の通り、1つは男子ゴルフ界のスーパースター「タイガー・ウッズ」選手の逮捕報道。

そしてもう一つは女子ゴルフ界のスーパースター「宮里藍」選手の電撃引退。

私が社会人としてトレーニング指導のキャリアをスタートした時、最初に特化したスポーツが“ゴルフ”だったので、この2つの報道には感慨深いものがあります。

タイガー・ウッズ選手は、先に触れた私がゴルフのトレーニング指導を開始した1997年に、世界最高峰の舞台”マスターズ”を史上最年少で制覇。

そこから瞬く間にゴルフ界のスターダムにのしあがりました。

当時の日本のスポーツ界では閉鎖的だったウエイトトレーニングを取り入れていたことや、アメリカ・ゴルフ版『巨人の星』とも形容すべき、お父さんとのゴルフ修行のヒストリーや『タイガーチャージ』と呼ばれた最終日の爆発力と赤の勝負服等々…

興味を惹かれるものが数多くあり、書籍や雑誌記事を読み漁ったものでした。

一方、ゴルフ界で『宮里』姓を私が知ったのは、藍選手ではなく兄の優作選手でした。

“うちなんちゅーあるある”とも言うべきか、沖縄出身者には特別感情移入してしまう節があるのはDNAの性か‥、その活躍をかねてから注目していました。

当時はゴルフのトレーニング指導と併せて高等学校の大会運営のサポートもしていたので、優作少年のプレー、立ち居振る舞いに触れる機会が1度だけありました。

大会当日は夜明けから雨が降り注いでいて悪コンディションが想定されました。

まだ春先の三寒四温の寒さを肌で感じる天候。

ほとんどの子がスタート前の打球練習場で、雨の状況を憂いたり、疎ましそうにしていたし、中には親御さんと思われる方に傘をさしてもらいながらボールを打つ子どもなんかも居ました。

そんな最中、一人何食わぬ顔でレインウエアを着こみ練習場に現れた優作少年は、淡々と球を打ち始め、濡れたグリップの感触を確かめ、さながらいつものルーティンと思われる準備を終えて颯爽とコースに出て行った光景を鮮明に記憶しています。

当時の沖縄のスポーツ選手と言えば、素質や身体能力に恵まれているものの、気質独特の大らかさや人の良さがあいまって、勝負とは不向きな印象与える選手が非常に多かった。

高校野球などでは激戦区の大阪を離れ、沖縄の地に野球留学するような前例は沢山ありましたが、単身で沖縄から大阪と言う逆ルートでゴルフ留学。

そう、かつての判官贔屓の代名詞と揶揄された選手のイメージは全く感じさせない、「島の少年」の雄姿に心躍らずにはいられなかったのです。

その数年後に、今度は女子ゴルフ界で兄をも凌ぐ旋風を巻き起こす「島の少女」の存在を知る事になりました。

優作選手も藍選手もタイガー・ウッズ選手同様、幼少の頃から父の優さんの指導を受けていたことはあまりにも有名です。

スポーツ1万時間の法則と言うのを聴いた事があるでしょうか?

フロリダ州立大学のアンダース・エリクソン教授が世界のトップレベルの音楽学校でバイオリンを学ぶ学生を対象に行った研究で、その能力は彼らが行なってきた練習方法と練習時間によって説明でき、後にマルコム・グラッドウェルの自著で紹介され多くの人に知られました。

ピアノやバイオリンなどの音楽の世界に限らず、スポーツの分野においても世界のトップレベルになるためには「1万時間」必要だと定義付けられたものです。

単純に1日3時間ずつほぼ毎日練習を行ったとしても、10年は要するとてつもない作業です。

14種類もの道具を自分の手と同じように自由自在に扱う専門的なスキルを要求される「ゴルフ」と言う競技のアドバンテージは「誰よりも早く始める事に…」にあるのかも知れません。

事実、私がトレーニング指導をさせて頂いていたプロゴルファー養成スクールにも、10代後半から20代半ばの運動能力が高く、1500m走を4分台で走れるような体力要素的に優れた生徒が数多くいました。

中には甲子園常連校のクリーンアップを打った猛者も。

が…、幾度となく競技大会やプロテストでJr出身の選手の前に敗れ去ったのを目の当たりにしました。

後発的に競技を始めたが故に辛酸をなめる多くの選手が存在するのとは対照的に、両選手は若くしてトップの座に君臨しながら怪我やイップス、モチベーションの維持に苦悩している、していたと言います。

他の競技とは違い50代と10代の選手が同じ舞台で勝負できる稀有な競技がゴルフです。

タイガー・ウッズ選手41歳と宮里藍選手31歳という2人の年齢を考えればバーンアウトや「盛者必衰」という安易な言葉で片付けるには少々寂しい気がします。

個人的な想いは『藍選手の米国メジャー制覇を観たかったし、人生のタイガーチャージも観てみたい。』

勿論、両選手はご両親の愛情たっぷりに競技慣れ親しんだに違いない。

が、年齢的には余白のある2人のプレーヤーの行動と判断の背景に何が起こっていたのか興味は尽きません。

多くのスポーツで、いまジュニアのスポーツ指導の在り方が注目されています。

2020年に向けその気運は高まるばかり。

トレーニング指導者として、子を持つ親としてその関わり方についてまだまだ多くの事を学ばなければいけないと思っています。

この記事をシェアする
GronG OFFICIAL SNS

GronGでは日々SNSを通じて、製品やサービス情報、イベント情報などさまざまな発信をおこなっています。
既に製品をお使いの方はもちろん、はじめてGronGを知ったという方からのフォローもお待ちしております!

GronGのLINE公式アカウントをフォローして
新製品情報やお得なセール情報をGETしよう!

その他SNS公式アカウント

島袋 好一

WRITER

島袋 好一

トレーナー(寄稿)

トレーナー。体育学修士、JATI-AATI(上級トレーニング指導者)保有。トレーニング歴は30年にも及ぶ。「知識と実践の融合」、「担がざるもの教えるべからず」を最大のテーマに日々のセッションに対峙。専門学校講師時代は最大年間1000時間以上の座学、実技の講義及び運動指導者資格の対策講座を担当。