WRITER
島袋 好一
トレーナー(寄稿)
最終更新日:2018.12.04
こんにちは、GronG TEAM GEARの島袋です。
今回は、「野球におけるバランス能力の重要性とバランスボードを使ったトレーニング方法」についてお話をします。
※「野球におけるバランス能力の重要性の考察」の続きです
プロ野球では、日本シリーズやドラフト会議も終了し、各チーム秋季キャンプ真っ最中。社会人や大学、高校などあらゆる段階の野球も主要な地区大会、全国大会を終えればいよいよオフシーズンに突入します。
この期間は、シーズン中と違い、より多くの時間を技術練習だけでなく、その土台となる体力要素の充実と向上を図るためのトレーニングに割くことが当たり前になってきています。
何度かこちらのコラムで取り上げているように、ひと昔前に比べるとそれらに纏わる情報が本当に簡単に入手できるようになりました。
当然、私の職業柄SNSや各種媒体から否応なしに、毎日何十個という情報が目に飛び込んできます。興味のあるものには、その内容に深く言及しエビデンスや基礎となる学問にふれて、自分なりの結論を持って理解につとめます。数多ある情報をもって取捨選択しながらクライアント様からのオーダーにこたえられるように、そのプログラムを作成、実践していくのです。
私がこういった作業ができるのは、料理人さんが調味料や食材の知識とレシピが豊富、自動車ディーラーの営業マンが車種や性能、自動車保険に精通しているが故に「食べたい料理」「欲しい車」の要望に対応できるのと全く同じ理屈です。
ですが、これだけ情報が氾濫してしまうと、その専門知識を持ってしてもまだまだ試行錯誤の連続。当然その専門域にいない方々は、その妥当性のジャッジが難しいのは至極当然です。
とはいえ難しいながらも、様々なトレーニング方法が体力要素の向上に貢献するという大よその検討はつけることができます。中でも「筋力」と「柔軟性」といった要素は、その優劣が野球の競技力に反映されるであろうという想像がしやすいのではないでしょうか?
例えば「筋力が強い=スイングが速そう・遠くに飛ばしそう」「柔軟性が高い=怪我をしにくそう・曲げ伸ばしの範囲が大きいそう」などといった具合に。
しかしながら「バランス能力の優劣は?」となると、答えに詰まりそうですね。本日は、前回からの続きで「野球」の「ッティング動作」にフォーカスして、バランス能力の重要性を解説していきます。
(図1)
図1をご覧ください。
バッティング動作とバランス能力の関わりを理解する上でまず知っておきたいのは、この「3つの面」です。
<3つの面>
前回コラムの文章「安定したパフォーマンスを発揮するためには、その良い状態をいついかなるときも、同じ状態で再現できるかということがポイント」という一節を引用するなら、「ヒトそれぞれにあったバランスの良い状態のポジションを、静止時も動作時もこの3つの面の中に見つけておき、その再現性を高めておく」ということになります。
※普段の練習から、自身の打撃フォームの特性を、指導者とのコミュニケーションによって相互理解を高めて、最適な3つの面を見つけていきます
さらに詳しくいえば「できるだけ早い動作で先の重たいバットの遠心力を利用し、前額面の上下動や前後動なく(前脚の踏み込み時の状態の下降は加味しない)、矢状面の前傾、後傾なく水平面の回旋動作をいつも同じ感覚で再現できる』という感じになります。
素振りやトスバッティング、マシン相手の打撃だと、各体力要素の基礎が確立した選手は技術を高い確率・レベルで反復再現することが可能になってきます。
しかし相手投手と対峙すれば、ボールスピードの緩急によって前額面の前後動やコースの投げ分け、変化によって、矢状面の前傾(野球用語では泳ぐや引っ掛けると表現される)、後傾動作の振幅を余儀なくされます。
※少年時や中高生くらいになっても、身体操作にバットの重さが大きく影響を与えるであろう段階では、筋力や柔軟性の向上が大きく貢献する(優先される)場合が多いと考えています
過去のコラムで解説してきた、身体の「バランス感覚をつかさどる」器官におけるそのプログラムが、どんどん誤作動を起こし易くなっていくということです。
その誤作動の主たる原因のひとつとして、あらゆる書籍の解説や指導者からの話をきいても「バッティング動作時における支持基底面(足の裏)の体重の乗せ具合と移動の感覚」と表現されるものは非常に多いです。その誤作動からのエラーメッセージをいち早く受け取り修正する能力、もしくは、相手投手の揺さぶりにも適応できる能力を養っておくことは非常に有益だと考えられます。
こちらはバランスボードというトレーニング器具ですが、日常の何気ない時間や場所でもその感覚をトレーニングすることが可能です。
使用開始時は、潜在化にある感覚を顕在化し時間を決めて〇〇秒、何セット行うという方法が良いでしょう。慣れてくればテレビを観ながら~とか、ヘッドフォンで音楽を聴きながら~とか「無意識にこのボード」に乗っていられるように反復してください。
慣れてくれば、
写真のように1~2kg程度の重りを持ったり、さらに発展させて片足で乗っても有効です。
これも初めは写真のようにグラつきますが、
徐々に写真のようにまっすぐ立てるようになっていきます。
少しの重量の重りを、写真のように体の中心軸から遠い位置であえてバランスを悪くする状況を作り出し、それを補正する感覚を身に付けます。
慣れたらゆっくりと体の前に弧を描くようにおもりを動かします。上肢の回旋動作と、反対方向に骨盤の捻転動作がおこります。左右回数をバランスよくおこなってください(左右10回を目安に)。
今回は、私が最も深く関わり経験値の高い「野球」のバランストレーニングについてコラムを展開してみましたが、いかがでしたか?
以前は、私にもこういったチマチマした地味なトレーニングに興味を示さず、ともすれば少し馬鹿にした風潮さえありました。しかしふとしたきっかけで観たひとつの映像から、このバランス能力のトレーニングについて探求するようになりました。
それは2年連続でトリプルスリーを達成した東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手の入団会見時の映像でした。
当時、取材に来ていた記者に「特技は?」と質問された山田選手が「逆立ち」と答え、こともなげに制服姿のままそれをやってみせたのです。約10mほど前進した後、驚きはそこでもう一つ。逆立ちのままくるっと踵ならぬ手首を返し元の位置まで戻って見せたのです。
山田選手といえば、打撃動作時の軸が安定しその回旋動作に定評のある選手です。
むかしの選手の中にも家業の漁業を手伝い、幼少時から荒波の上で小船に乗りその感覚が磨かれた……というようなエピソードを残した選手もいました。これは「バランス能力という要素が野球というスポーツのパフォーマンスに大きく関わっている!!」と感じた瞬間でした。それ以来ここ数ヶ月は「バランス能力」と言う体力要素の面白さに魅了されています。
またそれに波及し、子どもや中高年者のトレーニング、他の競技へとの関心も高まり、このシリーズ投稿に至りました。特に高齢者と福祉、社会保障との問題は、これからの国の行く末に大きく関わる問題です。
僭越ながら私たち運動指導者が、このようなコラムで情報発信することでその問題改善の一翼を担えればと夜ごとキーボードを叩いています。
また投稿だけに留まらず、ご紹介した関連要素の事実に究明のため、自ら測定やデータ収集も行っていきたいと思います。そのような開示も含め、これからも様々な健康・トレーニング情報を発信していきますので、お時間あればお付き合いお願いいたします。
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島袋 好一トレーナー(寄稿)
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