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中学生の野球チームに体力測定を行う意義

島袋 好一

WRITER

島袋 好一

トレーナー(寄稿)

最終更新日:2018.12.03

こんにちは、GronG TRAINING LAB.の島袋です。

GWも終わり、新しい年度の喧騒もようやく落ち着く頃ですね。

学生のスポーツもこれまた然り。

新入部員は新しい環境の部風・慣習と言った独特の緊張感から解き放たれ、2年生は下級生が出来た自覚とともに更なる高みへ、そして3年生はラストイヤーへの集大成、そして次の目標となるステージへの布石としてより一層、自身の大好きなスポーツを謳歌するのに最も良い季節だと感じます。

私がトレーニング指導させて頂いている中学野球チームも例に違わず、部員たちは大人たちに眩いくらいのキラキラした姿で日々白球を追いかけています。

様々な年代の選手の指導をさせて頂くにあたり、難しさもありながら沢山の気付きや学びを与えてくれるのがこの年代です。

新年度のチームのプログラムを考えるにあたり、事前に実施したアンケートの身体データと体力測定のデータ集計が終わり、傾向や相関を考察する過程で様々なものが見えてきました。

厳密にはプログラムを考えると同時に、日頃自身の知識向上や情報収集の中で生じた疑問や、まことしやかに論じられる定説や新説がどれくらい信憑性のあるものなのかを自分自身の眼で探求し、解明するためと言った方が正解かも知れませんが…。

体力測定の目的

今回の目的課題は3つありました。

①PHV年齢の実態と体力レベルの高さの相関性

もうすでに多くの有識者の方が異論を唱えられている、通常のゴールデンエイジの概念。

身体の発育や技術の習得過程は、通り一辺倒に皆同じ時期に訪れるものではなくて個体差があるという事。

チームのデータから紐解き、体力測定の結果やカラダの大きさが『投、走』といった野球の基本動作にどんな影響をあたえているのかと、各々のPHV年齢を鑑み、今後の能力の伸びしろや補強すべき体力要素の方向性を見出す事。

②個々の発育段階の違いが体力レベルと野球の技術にどう影響を与えているか?

発育過程のカラダと成熟期に向かうカラダの個体差が体力レベルと野球の専門技術にどんな影響を与えているかを言及し、指導者の皆さんと共通認識を持つこと。

③幼少期のスポーツ体験の高さと現時点での専門技術の因果関係

数多あるスポーツの中で、攻守別々の道具や動作で行う野球というスポーツ。

この独自の競技性に与える運動体験はどんなものかを探ること。

多くの球技で思春期と呼ばれるこの時期特有の発育の個体差が、残酷なほど競技成績に影響を与えます。

例えばバスケットボールやバレーボールなら身長が突出すれば、ほとんどジャンプをせずとも安全空間内でシュートやスパイク動作を行うことができます。

野球に限って言えば、関節トルクやモーメントアームの大きさがバットの遠心力等で格段の優位性を持つことが出来るので、少し乱暴な例えを用いれば、ゲームや練習では『山椒は小粒でもぴりりと辛い』と言う場面より『大は小を兼ねる』と言った場面を数多く目の当たりにします。

それ故に早生まれの子どもたちや発育が遅い子どもたち、競技経験の浅い子どもたちは自身のカラダや能力にコンプレックスを持っていたり、また充分な発育はあっても運動体験の乏しさや急速な成長に感覚が追い付けず、身体操作の不器用さからその体躯を持てあますといったジレンマを抱えていることが多いのです。

おわりに

今回、このチームも事前のアンケートで3年生はすべてが11月までの生まれ、2年生は4.5月生まれが30%、早生まれが20%混在する母集団であることが解かっていましたし、トレーニング指導中に隊列を組んでも身長が3年生はおおよそ均一化しているのに対し、2年は175cmオーバーが数名と140cm台が数名とバラつきが在ることも把握出来ていました。

この時期の子どもたちに実施するアンケートや体力測定は身体ポテンシャルの優劣をジャッジするためのものでもなければ、タレント発掘のためのものでもありません。

おおよその経験則や感覚で捉えていたことも、数値は雄弁です。

平均値や標準偏差と個人の値との比較、身体ポテンシャルと測定項目の相関を睨めっこしていると、色んなヒストリーが見えてきます。

競技人口の減少が嘆かれている昨今、こういったトレーニング指導者の取り組みが集団における最大公約数的なプログラム提供から、より個人に寄り添ったプログラム提供にシフトすることになればとの想い。

一過性のものであれ、この時期にくる経験が負の経験にならず、野球少年たちを次のステージに誘う成功体験の一助となればと願う今日この頃です。

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島袋 好一

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島袋 好一

トレーナー(寄稿)

トレーナー。体育学修士、JATI-AATI(上級トレーニング指導者)保有。トレーニング歴は30年にも及ぶ。「知識と実践の融合」、「担がざるもの教えるべからず」を最大のテーマに日々のセッションに対峙。専門学校講師時代は最大年間1000時間以上の座学、実技の講義及び運動指導者資格の対策講座を担当。