WRITER
島袋 好一
トレーナー(寄稿)
最終更新日:2018.12.04
こんにちは、GronG TEAM GEARの島袋です。
今回は、「子どものバランス感覚の重要性と足裏の驚くべき機能」についてお話をします。
ヒトは「オギャー」と産声をあげてから、成長に伴った様々な身体活動による刺激によって運動器を発達させていきます。
※運動器とは、骨・関節・靭帯、脊椎・脊髄、筋肉・腱、末梢神経など、体を支え(支持)、動かす(運動、移動)役割をする器官の総称
そして受けた刺激に適応し運動機能を身につけていきます。
※運動機能とは、筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、瞬発力、巧緻性、平衡性等の体力要素のこと
運動機能を発達させる主な機会は、日常生活における作業動作や幼稚園のお遊戯、小学校~高校までの体育の授業、それに加えて地域の各種競技のチーム活動、中高のクラブ活動といったところでしょうか。
それぞれの過程で年齢や運動刺激に応じた機能を発達させていきます。
しかし、一昔前と比べて圧倒的に違うのは『遊び』の中での身体活動の減少です。
昭和40年代~50年代の子どもたちは、日常生活の遊びの中で様々な運動刺激を受け、自然に運動機能を発達させていました。
例えば、竹馬や鬼ごっこ、缶蹴りやSけん、馬跳びやどうま、めんこやコマ回しなど、数えればキリがありません。
対して現代の子どもたちは、ゲーム機やスマホアプリ等の普及により『遊びの様式』が様変わりし、「子どもの運動機能の低下」が叫ばれて久しく、現代社会の深刻な問題の一つとなっています。
また各種競技スポーツの能力も、基礎的な運動機能に上積みされたものでなく、お習字やピアノ等の「お稽古事」の様相が強くなる傾向があります。
例えば、スイミングを習っているので泳げるけど、かけっこは苦手。サッカーは得意だけど、ドッチボールをすると上手くボールを投げられない…など、
経験値の高いひとつのスポーツに対しての習熟度は高くなるが、それと関連しないスポーツは上手くできないという傾向です。
子どもたちの運動能力の低下が叫ばれる昨今、いま注目されている運動能力が「平衡性(平衡感覚:バランス能力)」です。
「ピンとまっすぐ立つ」、「カラダを元の位置に戻す」、「転ばないようにバランスを保つ」といった反射的なコントロールは、この平衡感覚(バランス能力)が担っています。平衡感覚(バランス能力)があるおかげで、刻々と変化する体の位置を正確に判断し、適応させることができています。「平衡感覚(バランス能力)」は、身体のさまざまな器官が関わって、その能力を構成しています。
ここでは具体的にどのような器官の関わりと作用が、この体力要素を構成しているのかをわかりやすく解説していきます。
ヒトは唯一、完全直立二足歩行ができる動物です。長い進化の過程で重力に抗い、形態的、機能的に変化を遂げてきました。
その姿勢を保持するために、二つの支持基底面(足裏)を上手く利用しています。
他の動物と違い、あんなにも小さい足裏の面積だけで、そこから上の質量(体重)を支えられる理由は、「メカノレセプター」という重要なセンサー機能の役割があります。日常のあらゆる立位での動作(生活作業、仕事、スポーツ等)の中で、刻々と変化する体の位置を正確に判断し、「まっすぐに立てているか」「左右どちらかに傾いていないか」「体重がどこにのっているか」 などの情報を足裏は感じとっています。
そしてその刺激は、神経回路を通じて「脳」へ伝達されます。その他、脳では、眼(視覚)や平衡感覚器(耳の奥にある頭の傾きや体の回転を感じる器官)からの情報を統合的に分析しています。
この情報を元に脳が瞬時に筋肉に指令を出して、「カラダを元の位置にもどす」「真ん中に保つ」「転ばないようにバランスをとる」いった行動を反射的におこない、姿勢や動作をコントロールしています。
ところが厄介なことに現代社会では、このバランス能力を阻害する要因が沢山あります。
例えば、
など数えればキリがありません。
※中南米では、幼少時代を非常に貧しい家庭環境で過ごしたサッカー選手は少なくありません。路地裏で裸足でサッカーボールを蹴っていた子どもが後の世界のスーパースターになったというシンデレラストーリーも数知れず
天文学的な年数を費やして身に付けてきた繊細な身体の調節機能が今、文明の発達とともに急速な勢いで失われているといっても過言ではないのです。
近年の「スポーツ医科学」の発達により、一昔前は「感覚的」にしか捉えることができなかったり、測定をするにしても1台数百万円もするような測定器が必要であった運動能力要素測定が、スマホのアプリでも高い精度での測定が可能な時代になりました。
体力要素の中でも、
などは、いち早くその対象となって数値化され客観的指標をもつようになった一方で、遅れをとり軽視されてきた要素が「バランス能力」でした。
近年の研究では、バランス感覚の鈍さや低さが、スポーツシーンでの怪我の受傷率に影響したり、怪我の後の手術やリハビリ後のパフォーマンスに大きく関わっていることが示唆されています。
現代の子どもたちは、「自ら積極的に運動の機会を設けなければ、必要な時期に運動機能を発達させられない」時代で生活しているといっても過言ではありません。
しかしながら、そうった現代も悪いことばかりでもありません。インターネットやSNSを主体とする媒体から発信される運動や健康に関する情報が手軽に入る時代でもあります。多くの子どもたちが日常生活で運動やスポーツと関わりが少なくなった「運動刺激飢餓時代」に、家庭でもできる簡単なことから始めてみれば良いのです。
またそういった運動を始めるにも、特別なチームや団体に入ってスポーツを始めずとも、様々な運動能力の基盤を形成することができる、フィットネス器具をインターネットや通販を使って気軽に比較的安価で手に入れることができる良い時代です。
「運動やトレーニング」と聞くと、それ相応の施設や器具でプログラムを専門家に指導してもらわないと意味がないと思われる方も多いかもしれません。しかしそうではなく、運動の効果を最大限に引き出すための一番の要因は、「小さなことの継続」です。
そしてコーチは「パパやママ」で良いのです。一緒に遊んであげる、時には競争しながら「古き良き昭和」の時代のように、遊びの感覚の中で子どもたちが自然にその環境に身を置くことが大切なのです。
リオデジャネイロ五輪も終わり、2019年のラグビーW杯に2020年の東京五輪は自国開催。自然とスポーツへの関心は高まります。
そんな気運にあやかって、お子様となにか一つはじめてみてはいかかでしょうか?
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島袋 好一トレーナー(寄稿)
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