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スポーツ外傷の応急処置!「RICE(ライス)処置」とは?

前田 修平
グロング専属 鍼灸師
最終更新日:2020.06.22

スポーツにはケガがつきもの。ケガをしないに越したことはありませんが、起こってしまうリスクは避けられません。

ケガはその後の応急処置によって、治癒過程が大きく左右されます。今回はスポーツ外傷の応急処置の基本となる「RICE(ライス)処置」についてご紹介します。

RICE処置とは

RICE処置とは
  • Rest(安静)
  • Icing(冷却)
  • Compression(圧迫)
  • Elevation(挙上)

この4つの頭文字をとって「RICE(ライス)」とよばれています。お米と関係の深い日本人なら覚えやすいですね。

スポーツに限らず、日常生活での外傷でも使える方法です。前提として、医療機関を受診するまでの間に「現場でおこなう処置」であることを覚えておきましょう。

運転免許の講習で、必ず心肺蘇生法(CPR)とAEDの講習を受けますよね。それらと同じように、病院の先生のところに行くまでに「負傷者の救護」をするための基本的な処置です。

RICE処置の目的

RICE処置の目的は、患部の

  • 損傷
  • 出血
  • 腫脹
  • 疼痛

を最小限に抑え、炎症の拡大や二次障害(細胞壊死、腫脹)を未然に防ぐことにあります。

受傷初期の処置が速やかに、かつ適切におこなわれれば、軽度ですむような外傷でも、多くの出血(皮下出血)や強い腫れが生じてしまうとその分回復が遅れることになります。

RICE処置の効果

Rest(安静)

安静にして筋肉や関節の動きを抑えることで、損傷部位を保護し、さらなる炎症の拡大を防ぎます。

Icing(冷却)

冷却することで、患部の代謝レベルを下げ、血中の酸素や栄養の供給量を抑えます。出血による腫れや患部周辺の正常な細胞の破壊を最小限に留められます。

Compression(圧迫)

圧迫することで患部の出血量をコントロールし、損傷を最小限に抑え、腫れを防ぎます。

Elevation(挙上)

患部を心臓よりも高くあげることで、血流量を抑え、腫れを防げます。大きい筋肉は腫れや内出血を吸収する能力が高いため、末梢の小さな筋肉に内出血や腫れが広がるのを抑えることで、早期回復につながります。

RICE処置のやり方

用意するものリスト

  • 氷(クーラーボックスなどで管理)
  • ビニール袋
  • 氷のう(アイスバッグ)
  • 弾力包帯
  • ラップ
  • テーピング
  • 毛布
  • タオル

など、救急箱にある応急処置のセットにプラスして、これらの備品が揃っているか事前に確認しておきましょう。

Rest(安静)

患部を動かさないよう、安静にします。

「安静=横になる」ことではなく、患部にとって一番負担の少ない姿勢を取るようにしましょう。例えば、腕をケガしているのに横になると、次に起き上がるのが辛かったりします。

足をケガしたなら、寝転がってイスや台の上に足を挙げるなど、臨機応変に対応しましょう。痛みが強い場合は、無理に体勢を変えると負担が大きいので、そのまま冷却の処置に移ってもよいでしょう。

Icing(冷却)

ビニール袋やアイスバッグに氷を入れ、少量の水を加えます。中の空気を口で吸うか、ビニール袋や氷のうを捻り、できるだけ氷が空気に触れないようにしましょう。

氷は溶けるときに患部から熱を奪います。これが患部の炎症を抑えてくれますので、水をほんの少し入れるのがポイントです。

はじめはとても冷たく感じますが、数分もすれば「冷たい」という感覚はだいぶおさまります。15分~20分程度を目安に冷やしましょう。氷のうやビニール袋が動いてしまう場合はテーピングやラップを巻いて固定するとよいでしょう。

アイシングを外し、また痛みが出てきたら15~20分冷やすというサイクルを続けます。氷が溶けてしまったら、新しい氷に交換します。アイシングの間隔は40分ほど空けるようにしましょう。

ちなみに、よくある質問で「冷湿布や保冷材ではダメですか?」と聞かれます。冷湿布はひんやり気持ちいいので、冷やしているように感じますが、深部を冷却する効果はありません。皮下出血が起こっているような場合、患部は身体の深い位置にあることが多いので、氷水を使いましょう。

また凍った状態の保冷材は温度がマイナスになっています。マイナスの温度は短時間であっても、凍傷を起こすリスクがありますので避けましょう。

Compression(圧迫)

患部を中心に腫れがないところまでを、テーピングや包帯などで軽く圧迫します。これは血流量をコントロールするために重要です。氷のうの上から圧迫すると、安静と冷却と圧迫を兼ねた状態にもなりますのでおすすめです。

過度な締め付けによる圧迫は循環障害を引き起こす可能性があるので、あくまで「軽く」というポイントをおさえておきましょう。

Elevation(挙上)

血液は心臓に向かって流れていきます。患部を心臓よりも高い位置に挙上し、血流を最小限に抑えます。毛布やバスタオルなどを下に敷き、イスや台で高さを作って、負傷者が脱力できるようにしておきましょう。

いつまで続けるべきか

炎症は受傷後~72時間が急性期にあたります。この時期に出血量をいかに抑えられるかが、早期治癒につながるための必要条件なのです。

軽度のケガであればそのまま競技を継続してしまい、重症化する人もいます。応急処置を軽視することで、ケガの回復が遅れてしまうこともあるのです。

特に理解しておきたいことは、筋肉や靭帯の回復には約3週間ほどかかることです。

もちろん、この期間にまったく動かせないというわけではありません。筋肉や靭帯は腫れが治まれば、1週間ほどでストレッチや軽い運動などは可能になります。しかしケガの回復を風邪症状と同じように考えている人がいるのも事実です。

腫れや痛みが治まれば、そのまま運動ができるようになるわけではありませんので注意しましょう。

大切なことは「初期の対応」です。適切な処置で「出血」「腫れ」を抑えられれば、患部の損傷は最小限に留められます。血液の循環を促し、組織の修復を早めるためにも「RICE処置」は必須なのです。

病院を受診する

RICE処置をした後、できるだけ速やかに医療機関を受診しましょう。

あくまでも、医療機関までの「つなぎ」の処置であることを忘れてはいけません。損傷した患部の状態を把握して、回復までの道筋を見立ててもらうことが大切です。

気をつけたい状態

負傷者の状態によっては応急処置ではなく、速やかに救急車やドクターを呼んだ方がよい場合があります。以下の状態であれば、躊躇することなく対応しましょう。

骨折・ショック状態

  • 脱臼(肩・肘・膝・足など)
  • 骨折が疑われる顕著な変形、けいれんなどの発作

これらはRICE処置の対象にはなりません。速やかに救急車やドクターを呼びましょう。

脱臼を無理に修復しようとしたり、曲がった状態の骨や関節を真っすぐにしようなど、間違ってもおこなわないようにしましょう。

また関節の変形をともなう負傷やけいれんなどの状態は、負傷者だけでなく、周囲にもショッキングな印象を与えます。特にジュニア世代や思春期を迎えるような年代の方がいる場合は、衣服などで負傷した部位を覆い隠しましょう。

直接ショッキングな状態を見えないようにして、心理的なケアに努めるのも大切な対応のひとつです。

意識消失

  • 頭部・頸部・背部の損傷
  • 大量出血

スポーツ中に強く頭を打ち付けたり、背中から落ちたりすることで大きな損傷を負うことがあります。負傷者の意識がなかったり、ろれつが回らずに意識もうろうとしている場合は、速やかに救急車を呼びましょう。

また外傷の度合いが強く大量に出血している場合であれば、出血性ショックを起こす可能性があります。速やかに救急車かドクターを呼びましょう。可能であれば、圧迫して出血を抑える処置をおこないましょう。

いずれにしろ、むやみに患部を動かしたり、なにかを施すことは間違った処置につながる場合があります。上記のような例の場合は負傷者の方のためにも、専門機関に対応を託しましょう。

まとめ

ケガした人を目の前にすると、どうすればいいのかわからなくなったり、知っていても処置をするのに少し戸惑ってしまったりという気持ちがありますよね。

「うまくいかなかったらどうしよう」と考えるのも無理はありません。でもその後で先生が待っていると考えれば、少し安心です。

今回の記事をスマホで見ながらでも構いませんので、できる限り負傷者の気持ちに寄り添うような「RICE処置」を心がけましょう。あなたの行動が、きっと負傷者の早期回復につながるはずです。

あなたがケガで困っているとき、人に同じようにしてもらえたら嬉しいなという気持ちであれば、自然と身体は動いてくれると思います。

参考文献

公益社団法人 日本整形外科学会. スポーツ外傷の応急処置. 閲覧2020-06-20, https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/athletic_injury.html

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前田 修平
グロング専属 鍼灸師

GronG TEAM GEAR(チームギア)所属の鍼灸師。鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。