ダイエットを成功させるための5つの法則
「成功者の言葉」って魅力的ですよね。結果として「成功」してしまえば、それまでの過程はすべて必要なことに変わってしまうくらいの意味合いがあります。
「ダイエットに成功して痩せた!」という体験談を読んではうらやましく思ったり、ときには真似してみたこともあるでしょう。
さて、成功者はその後も身体をキープできているのでしょうか?リバウンドしてはまたダイエットをして……と繰り返していたりしませんか?
今回は「ダイエットの成功に必要な5つの法則」ご紹介します。この黄金のルールさえ守れば、あなたが人生で取り組む「最後のダイエット」になるかもしれませんよ。
ダイエットはなにをもって成功なのか
成功の価値観はひとにより異なります。誰かの成功が自分の成功だとは限りませんよね。
目標とする体重、体脂肪の減少はもちろん大切です。さらに自分がダイエットをして、以前よりも「前向きな気持ち」や「新たな価値観」を手に入れたとき、はじめて「成功した」といえるのではないでしょうか。
ダイエットに取り組む人は「現状のままではいけない」という気持ちをもっています。それを前向きなエネルギーに変えることがダイエットを成功させる秘訣かもしれません。
それでは具体的な成功法則に話を移しましょう。
5つの成功法則
健全なダイエットには、達成のための成功法則があります。身体のメカニズムに沿って適切に取り組んでいけば、結果につながることは間違いありません。
ここからはダイエットにおいて外すことのできない5つの成功法則について紹介します。
①食事のバランスを知る
「三大栄養素」をご存じですか?
- 炭水化物
- タンパク質
- 脂質
の3つのことで、これらは身体の機能を構成するために不可欠な栄養素です。ダイエットにおいてはこの3つのバランスを知ることがとても重要になります。
3つの中でもダイエットの際に最も大切な栄養素はタンパク質です。
ある研究のレビューでは「ダイエット中はタンパク質の摂取量を体重の2.3~3.1倍(g)、脂肪を総摂取カロリーの15~30%、総摂取カロリーの残りは炭水化物で摂る」という割合で摂取したところ、筋肉量を減らさずに体脂肪が減少したという報告があります[1]。
基本は高タンパク質、低脂質の食事が中心です。一日の食事の中で、タンパク質は自分の体重比の2.0倍(g)程度は確保するようにしましょう。
実はしっかり食べないと痩せるのは難しいのです。
「太る」と「痩せる」の分岐点を知る
ダイエットにおいては「カロリー収支」がとても大切です。
体重を維持するための「メンテナンスカロリー」という基準値があります。このカロリーを摂取していれば、太りもしないし痩せもしないという分岐点です。
メンテナンスカロリーは、その人の身長と体重から計算した「基礎代謝」に「身体活動量」をかけたものに応じて決まります。基礎代謝の概算を計算できる便利なWEBサイトもありますので、利用してみましょう。
体脂肪を1kg燃やすのに、約7,000kcal必要です。1週間で0.5kg痩せる(1ヶ月で2kg、3ヶ月で6kg、半年で12kg)なら3,500kcal。
つまり3,500kcalを7日間で割るので、計算上は一日約500kcalのカロリーコントロールをすればOKです。
メンテナンスカロリーの計算方法
メンテナンスカロリー(kcal)=基礎代謝(kcal)×身体活動レベル(1.5-2.0)
- レベル1:1.5(生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合)
- レベル2:1.75(座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客など、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツなどのいずれかを含む場合)
- レベル3:2.0(移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合)
※厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)より作成[2]
③点ではなく線で考える
早く「結果」を出すためにおこなう、極端なカロリー制限(1000kcal以下/日)や糖質制限(炭水化物50g以下/日)は、一時的な体重の減少を生み出します。
ダイエット初期にはとくに「滑り出し好調!このままどんどん痩せるぞ!」と思いがち。しかし身体は、体内の水分量が減少することによって体重が落ち「痩せているようにみえること」がほとんどです。
いつも入ってくる栄養が入ってこないため、飢餓状態と勘違いして緊急事態モード(代謝適応※)に入ります。
あるところまではスルスルと体重が落ち、理想的なダイエットと勘違いしてしまいそうですが、それはあくまでも「点」の話。長期間で考える体重減少の下降「線」にとっては、あまり歓迎できるやり方ではありません。
良質なダイエットほど、続けることへのストレスは少ないものです。体重のマイナス幅、ダイエット期間の設定が重要になります。
短期間での大幅なダイエット計画はおススメできません。
※ 代謝適応:摂取カロリーが極端に少なくなることが続くと、身体は代謝を下げて消費カロリーをセーブし、入ってきた栄養からできるだけ脂肪を蓄えて生き延びようとするための準備をする。
④運動をする
ダイエットで気にしてしまうのは多くの場合「体重」ではないでしょうか。では同じ身長と体重でも見た目が違うのはどうしてでしょう?それは筋肉と脂肪では「体積」が大きく異なるからです。
1kgあたりの体積は、筋肉:脂肪の比率でいうと4:5ほどの差があります。つまり同じ重さでも筋肉と脂肪では、見た目に1.25倍もの差が生まれるのです。
とくに筋トレ(ウェイトトレーニング)をおこなうと、筋肉量の維持または増加に役立ちます。またトレーニング後の炭水化物摂取は体脂肪になりにくいというメリットもあります。
見た目の引き締め効果と、体内の代謝の向上が期待できますので筋トレはおススメです。健康的な減量には筋トレが欠かせないのです。
⑤習慣にする
「習慣=ルーティン」です。
みなさんの食生活はどのような感じですか?よほどの食通でない限り、毎日違うレストランで食事をすることはないでしょう。
また日々の生活では似たような食事を選んでいるのではないでしょうか。スーパーやコンビニにいってカゴに入れている商品をみると大抵の食習慣がわかります。
ダイエットで身体が変わり始めると、これまでに摂っていた食事がいかにカロリーの高いものであったか、ジャンクであったかがわかると思います。
しかし体型をキープしている人だって、ジャンクなものや脂っこい食事をまったく摂らないというわけではありません。たまには食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ食べてもいいんです。いいんですか?いいんです。
ただし、それが習慣になっている人は過度に太ってしまうというだけのこと。身体が変わり、前向きな気持ちになれば、ダイエット時に食べていたような食事を自然と欲するような状態になるでしょう。
また筋トレや軽い有酸素運動の継続も、良好なメンタルを保つために役立ちます。
まとめ
ダイエットに必要なことは、面倒なことに対する価値観を変えることにあります。
今すぐに結果は出ないこと。簡単に短期間で健康的に痩せる方法はないこと。健康的に痩せるには運動が欠かせないこと。どれも知ってはいたけれど、どうにかしてごまかしたり、見ないふりをしてやり過ごしていたのではないでしょうか。
世の中には「うまい話」はありません。安易な儲け話、必ず利益の出る投資などはその類ですが、ダイエットに関してもそれは同じ。ネットに出まわる情報や商品も多くはそんな背景をもったものでしょう。
「飲むだけで痩せる」「食べた食事をなかったことにする」なんてことはあり得ません。そんな安易な発想から抜け出せない限り、自分の望むような結果に至ることはないでしょう。
参考文献
1. Helms, E.R., Aragon, A.A. & Fitschen, P.J. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation. J Int Soc Sports Nutr 11, 20 (2014).
2. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020 年版).