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GronG MAGAZINE
コンディショニング

五十肩・四十肩とは?痛みの原因と症状について

前田 修平
グロング専属 鍼灸師
最終更新日:2020.06.19

日本は世界でも有数の長寿国。厚生労働省が発表した簡易生命表によると、男性の平均寿命は 81.25 年、女性の平均寿命は 87.32年でした[1]

ところが今からわずか70年ほど前の戦後の時代、平均寿命は男性で50.6年、女性で53.96年でした。50代で亡くなるのが当たり前という時代があったことも驚きですが、この短期間でこれだけ寿命が伸びたことも素晴らしいことですよね。

中年以降に起こる代表的な症状といえば「五十肩」。よくある肩こりと混同されますが、実はまったくの別物。五十肩は自然治癒する症状ではありますが、中には夜も眠れないほどの激痛を伴ったり、回復するまでに数年を要する場合もあるのです。

長生きできるようになったが故に、身体に関する悩みも増えてきます。今回はそのひとつである「五十肩(四十肩)」に焦点を当て、掘り下げていきます。

五十肩(四十肩)とは?

五十肩は症状の通称です。正式には「肩関節周囲炎」といいます。

肩周辺の組織に炎症が起こり、疼痛や拘縮(関節が固まること)が出ます。症状がよく起こる年齢は中年期以降で、このことから40代なら「四十肩」、50代なら「五十肩」と通称が変わるのです。

全人口の2-5%が五十肩になるとされており、特に40歳から60歳の女性に好発する症状というデータがあります[2]。海外でも同様の症状は存在しており「Frozen Shouldar=凍結肩」と表現されます。人種に関係なく、五十肩は起こりうるのです。

また糖尿病の方は、五十肩になる割合が10%ほど多くなるという報告もあります[3]。肩の周囲を覆う関節包や腱板という組織は、もともとコラーゲン線維が豊富です。しかし血行が十分でないため、糖尿病による血行不良が症状を引き起こしやすいと考えられています。

五十肩(四十肩)の原因

五十肩(四十肩)の原因

では、なぜ「五十肩」になってしまうのでしょうか。実は現代の医学において、五十肩の原因はまだ特定されていません

肩甲骨には肩関節の動きに重要な4つの筋肉があります。

が「ローテーターカフ」というチームを組み、肩をスムーズに動かすのです。筋肉の端の方には腱板という組織があり、これが腕の骨についています。加齢や筋疲労などにより、機能が低下している状態で肩に刺激が加わると、小さな炎症を起こすと考えられます。

ローテーターカフ 腱板を構成する筋群

肩の関節周辺に「炎症が起こっている」ことは考えられるのですが、特定の原因は不明なままです。

ちなみに五十肩は70歳以降ではあまり起こりにくいです。そのためテストステロン※1やエストロゲン※2という筋肉や骨の形成に関わるホルモンの減少など、人のバイオリズムが中年期に変化することも大きな要因の一つではないかと考えられます。

※1 テストステロン:男性ホルモン。筋肉増大や骨格の発達に関わる。20代をピークに徐々に減少する。

※2 エストロゲン:女性ホルモン。コラーゲンの生成を助ける。骨密度を保つ。40代以降に急激に減少し、更年期障害の要因にもなる。

五十肩(四十肩)の特徴的な症状

五十肩(四十肩)の特徴的な症状

五十肩の特徴は個人差が大きいこと。症状は進行性で、長期化するというのも特徴です。

ほとんどの症状は自然治癒するものの、軽症の場合でも数か月、重症の場合は数年にわたって続くやっかいなものなのです。命にかかわるわけではありませんが、極端に肩の動きが制限されるため、著しく生活動作のレベルが下がり、日常の負担が大きくなります。

これって五十肩かな?と思ったら、以下の3つのチェックをおこなってみましょう。

  1. 前からバンザイをすると、「前にならえ」以上はあがらない。
  2. 腰に手を回すのが痛くてつらい、もしくはできない。
  3. 夜寝ているときにうずくような痛みがある

これらすべてに当てはまる場合、「五十肩」である可能性が非常に高くなります。

また病院でのレントゲン検査では五十肩の判断はつきません。「石灰化沈着性腱炎」や「腱板損傷」など痛みを伴うその他の症状では、画像診断などにより鑑別できる可能性がありますので、医療機関を受診するのもひとつの手段です。

また五十肩の症状は時系列で変化します。それぞれ急性期慢性期回復期の3つに分けて解説していきます。

急性期

急性期非常に痛みが強く、じっとしていても痛い、夜寝ているときにも痛いという非常に辛い時期です。

炎症期ともよばれ、はじめは「なんとなく痛いな」程度だった痛みが、徐々に増してくるのが特徴です。重症になると夜間痛が1年以上も続く場合もあります。急性期とはいえ、炎症が長く続いてしまう症状でもあります。

急性期は炎症が起こり、刺激を加えるとさらに悪化する可能性が高いため、ストレッチなどの肩の運動はせず、マッサージや関節を動かすような施術も控えましょう。急性期では、無理をせず安静にして、病院で処方してもらった薬を使うのも、痛みのコントロールにはある程度有効です。

慢性期

激しい痛みが治まったあと、肩関節が固まる時期があります。これは五十肩の慢性期にあたり、拘縮期ともいいます。

慢性期は痛みはある程度治まりますが、肩の動きが著しく制限され、「動かそうと思っても、動かない」という状態です。これは肩関節を覆う袋である「滑液包」の「線維化」が原因とされています。

本来、滑液包は水分に富んでいて柔軟性が高く、伸縮性があるものです。しかし袋の水分が失われ、周辺の血液循環が低下し、コラーゲンが線維化することにより可動域が制限されるのです。

慢性期に適切な対処をすることで、肩の動きは正常化します。痛みの出ない範囲で、エクササイズやストレッチをおこなうことで、少しずつ動きを回復させましょう。

回復期

うずくような不快な痛みや関節が固まって動かない時期のあと、ようやく長いトンネルの出口が見えてきます。長かった五十肩との付き合いも終盤。ここまできたら「回復期」です。

回復期には痛みや関節の運動制限もずいぶん治まってきているので、日常生活も少しずつ楽になり、積極的なリハビリも可能になります。筋肉をほぐして血行を良くしたり、慢性期におこなっていたようなエクササイズから少しレベルアップした運動療法をおこないましょう。

まとめ

五十肩は原因が不明であったり、回復までに時間を要したりと非常にややこしい側面があります。痛みや動きの制限によるストレスは心身のバランスを保つのが難しいですよね。

もし五十肩になってしまったときには、「日常生活がままならなくなること」「強い痛みが続くこと」で自分がどんな状態になるのかを知ることになります。

ただ「五十肩は辛かったなあ」と済ますのではなく、「病気やケガの予防に運動をはじめよう」「食生活を見直そう」という自分の変化のキッカケにして、その後の生き生きとした人生の糧にしましょう。

参考文献

1. 厚生労働省. 第22回生命表(完全生命表)の概況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/22th/index.html 

2. Bagheri, F., Ebrahimzadeh, M. H., Moradi, A., & Bidgoli, H. F. (2016). Factors associated with pain, disability and quality of life in patients suffering from frozen shoulder. Archives of Bone and Joint Surgery, 4(3), 243.

3. Bridgman, J. F. (1972). Periarthritis of the shoulder and diabetes mellitus. Annals of the rheumatic diseases31(1), 69.

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前田 修平
グロング専属 鍼灸師

GronG TEAM GEAR(チームギア)所属の鍼灸師。鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。