プロテインの価値を実感しよう!目的別の効果的な摂取方法を知る
トレーニングやダイエットに励む方のなかには、日常的に「プロテイン」を飲んでいる方も多いのではないでしょうか。しかしながら「飲んでるけど実感がない」「プロテインを飲んで太ってしまった」なんて声もちらほら……。
選び方やタイミングが自身の目的とマッチしていないと、プロテインのメリットを享受できないこともあるでしょう。
今回のコラムでは、目的別に応じてプロテインの選び方や摂取タイミングの目安について解説します。
プロテインを飲む目的
あなたがプロテインを飲む目的はなんですか?実は、プロテインを飲む目的によって、飲み方やタイミングは変わります。
- 身体づくり
- ダイエット
- 現状維持しながらタンパク質補給目的
大まかにこの3つに目的が絞られるのではないでしょうか。自身がどの目的に当てはまるのか考えてみましょう。
また目的を持ってプロテインを飲んでいるはずなのに、身体づくりやダイエットがうまくいかない方は一度下記をチェックしてみてください。もしかするとプロテイン以外に原因があるかもしれません。
トレーニングをしているのに身体づくりがうまくいかない
自身に必要なエネルギー・タンパク質量を知らない(食事を制限しすぎている)
筋肉は常に合成と分解を繰り返しています。エネルギーやタンパク質が不足している場合、筋肉の分解が促進されます。栄養が足りているか確認してみましょう。
プロテインを食事代わりにしている
身体づくりの基本は、栄養のバランスです。さまざまな栄養素がタッグを組んで身体づくりがおこなわれています。糖質やビタミンなどタンパク質以外に栄養素を摂り入れることで、円滑に身体づくりがおこなわれるでしょう。
糖質を制限している
グリコーゲンとよばれる糖の一種が筋肉や肝臓に貯蔵されています。このグリコーゲンの貯蓄量が少ないと全身のタンパク質の分解が促進されてしまいます。理想の身体づくりのためにも糖質を摂取しましょう。
つまり糖質とタンパク質を一緒に摂取したほうが身体づくりには効果的なのです。
一回で多量のタンパク質を摂取している
メーカーが推奨している以上の量を1回で摂取していませんか?体内で1回に吸収できるタンパク質量は20g前後といわれています。20g以上摂取しても、体内での消化・吸収が追いつかず尿として排泄されてしまいます。
かえって負担にもなるので、1回20g前後を目安に数回に分けて摂取することで身体づくりをサポートしてくれるでしょう。
休養をとっていない
身体づくりの基本は「栄養・運動・休養」です。
トレーニングをすることで身体はダメージを受けた状態となります。このダメージを修復するには、48~72時間必要といわれています。しっかり休養をとることを忘れないでくださいね。
運動や食事管理を頑張っているのにダイエットがうまくいかない
自身に必要なエネルギー・タンパク質量を知らない
自身が1日に消費するエネルギー量をご存じでしょうか?消費エネルギーを知ることで具体的な食事量や運動量を設定できます。
タンパク質についても同様です。必要な量を知らなければ、現在摂取している量が適切であるか判断できません。一般的に1日に男性60~65g、女性50gといわれています[1]。日頃から運動をするなど活動量の多い方は、活動量に応じて1.4~2.0/kgを目安に摂取するとよいでしょう。
体重計測をしていない
ダイエットするなら1日1回は体重測定をおこないましょう。
食事のカロリー計算ができなくても、「体重増加なら摂取量>消費量」「維持なら摂取量=消費量」「減っているなら摂取量<消費量」とひとつの判断材料となります。可能ならアプリなどでグラフ化し、自身のリズムを確認するとなおよいでしょう。
プロテインを食事代わりにしている
プロテインだけでは身体に必要な栄養素をまかなえません。栄養不足によって身体に悪影響を及ぼすのでダイエットどころではなくなります。食事あってこそのプロテインであると忘れないでくださいね。
夕食が一番高カロリー
夕食後にエネルギー消費量が高まる活動をする機会は少ないですよね。ダイエット中は夕食の摂取エネルギー量を減らすように心がけましょう。
糖質を制限している
極端に糖質を制限していると筋肉が減少する恐れがあります。筋肉が落ちると代謝も落ちますので、太りやすい身体づくりをしているようなものです。
お菓子やジュースを習慣的に摂取している
ダイエット中はエネルギー管理が大切です。お菓子やジュースは1個約100~200kcalですよね?それらを控えるだけで体重が落ちるのではないでしょうか?ダイエット中の飲み物は砂糖の入っていない水やお茶にしましょう。
プロテインを頻回に飲んでいる
プロテインは高タンパク・低脂質と比較的ヘルシーです。しかしながら限度を超えれば体重増加の原因となります。飲みすぎには注意しましょう。
運動をしていない
運動せずに食事だけでダイエットに望むと、筋肉が大幅に減少し代謝が落ちてしまいます。代謝が落ちる=消費エネルギーが減ると同義です。つまり少量しか食べてないのに太るというエコな身体となってしまうのです。
プロテインの種類
一般的に市販されているプロテインは、
- ホエイプロテイン
- カゼインプロテイン
- ソイプロテイン
の3種類です。3種類とも成分や体内での吸収時間が異なります。それぞれの特性を知り、自身の目的に応じて使い分けることで、より効率よく身体づくりができるのではないでしょうか。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは牛乳が原料のプロテインです。「ホエイ」というヨーグルトの上澄みにできるタンパク質を、牛乳から抽出して作られています。
ホエイプロテインの特徴は、消化・吸収が早く(1時間程度)、トレーニング後の摂取に適しています。
おススメな方
- 身体づくりを目的としている方
- ダイエットしている方(トレーニングを積極的にしている)
- 現状維持を維持しながら、タンパク質を補給したい方
カゼインプロテイン
カゼインプロテインは、牛乳に含まれるカゼインと呼ばれるタンパク質を取り出して作られたプロテインです。
カゼインプロテインはホエイプロテインとは異なり、消化・吸収が緩やかで腹持ちがよく(6~8時間)、夜の摂取に適しています。
おススメな方
- 身体づくりを目的としている方
- 運動や食事管理をしながらダイエットしている方
- 現状を維持しながら、タンパク質を補給したい方
ソイプロテイン
ソイプロテインは、大豆が原料のプロテインです。
ゆっくりと消化・吸収される(3~6時間)ため腹持ちがよく、間食や夜の時間帯の摂取に適しています。大豆に含まれるイソフラボンなどの成分を摂り入れたい方に人気のプロテインです。
おススメな方
- 身体づくりを目的としている方
- 運動や食事制限によるダイエットしている方
- 現状を維持しながら、タンパク質を補給したい方
プロテインの摂取量とタイミング
自身の目的にあったプロテインが選択できたら、摂取量とタイミングについて考えてみましょう。
トレーニングと合わせて身体づくりを目的としている方
身体づくりを目的とされている方は、タンパク質を活動量に応じて1日あたり1.4~2.0/kgを目安に摂取するとよいでしょう。
3食のタンパク質摂取は均等に
3食均等にタンパク質を摂り入れたほうが、合理的に素早く身体に取り入れられるという報告があります[2]。
運動直後を目安にホエイプロテインを摂取
運動直後にタンパク質を摂取しましょう。45分以内を目安に摂ることをおススメします。その後、食事でしっかり糖質やビタミンなどを摂取することで、よりよい身体づくりができるでしょう。
間食や夜食としてプロテインやタンパク質食品を摂り入れる
体内のタンパク質は常に合成と分解を繰り返しています。なるべく分解時間を短縮することが身体づくりのポイントです。間食や必要であれば夜食にもゆっくり吸収されるプロテインを摂取しましょう。
運動や食事管理によるダイエットを目的としている方
18歳以上の男性が1日に必要なタンパク質は60~65g、女性の場合50gといわれています[1]。ダイエットはいかに筋肉を維持、もしくはアップしながら脂肪を落とすかがポイントです。
ダイエット中であってもタンパク質の必要量は摂取するようにしましょう。また筋肉トレーニングを積極的にされているなら、活動量に応じて1日あたり1.4~2.0/kgを目安に摂取するのもいいですね。
プロテインは高タンパク・低脂肪なのでダイエットにおススメしたところです。しかし魔法の飲み物ではありませんし、飲むだけ痩せるなんてことはありえません。
食事の管理が一番大切なのです。食事からのタンパク質が十分足りているにもかかわらず、さらにプロテインを飲むと太る恐れもあります。本当に必要かどうか見極めることが大切です。
間食を控えて食事回数は3回にとどめる
空腹時間に脂肪の燃焼が高まります。できる限り間食を控えて、空腹時間を設けましょう。
朝食>昼食>夕食のボリューム
朝食から夕食にかけてエネルギー量を減らしたほうが減量しやすいという報告があります[3]。
ダイエット中だからこそ、普段よりも食事のバランスを意識しましょう。タンパク質が不足するなら、「パン+サラダ+プロテイン」といった食事の一部として活用してみましょう。
運動直後にホエイプロテインを摂取
しっかりトレーニングされているなら、運動直後を目安にホエイプロテインを摂取しましょう。ただし、その後の食事でトータルエネルギーが過剰にならないように調整しましょう。
現状を維持しながらタンパク質補給したい方
前述のとおり18歳以上の男性が1日に必要なタンパク質は60~65g、女性の場合50gです[1]。プロテインは良質なタンパク質です。運動の有無にかかわらず、肉や魚などのタンパク質と同じ位置づけで食事や間食として摂り入れるとよいでしょう。
まとめ
目的にマッチしたプロテインを選択し、正しく活用することが大切です。
繰り返しとなりますが、プロテインは魔法のドリンクではありません。肉・魚・卵といった食品と同じです。飲んだからといって、劇的に変化というわけにはいきません。
継続は力なり!1ヶ月後なのか3年後なのかはわかりませんが、これまでの食事の結果があなた自身です。地道に継続することで、成果を実感できるのではないでしょうか。
参考文献
1. 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
2. Mamerow, M. M., Mettler, J. A., English, K. L., Casperson, S. L., Arentson-Lantz, E., Sheffield-Moore, M., … & Paddon-Jones, D. (2014). Dietary protein distribution positively influences 24-h muscle protein synthesis in healthy adults. The Journal of nutrition, 144(6), 876-880.
3. Kahleova, H., Lloren, J. I., Mashchak, A., Hill, M., & Fraser, G. E. (2017). Meal frequency and timing are associated with changes in body mass index in Adventist Health Study 2. The Journal of nutrition, 147(9), 1722-1728.