WRITER
島袋 好一
トレーナー(寄稿)
最終更新日:2018.12.04
こんにちは、GronG TRAINING LAB.の島袋です。
酷暑を極めた夏の暑さもようやく気配を消し始めた今日この頃。
空模様は入道雲から鰯雲に面持ちを変え、いよいよ秋本番といった感じ。
日本の国民的スポーツ行事のひとつである高校野球の影響か、野球と言えば「春」、「夏」と言う季節を安易に連想しがちだが…意外や意外。
実は、秋の野球も中々捨てたもんじゃない。
少年野球は息子の影響で数年見ているが、6年生はこの頃ぐっと逞しさを増して成長した姿を見せてくれるし、中学、高校野球は2年生主体の新チームが結成され、バイタリティ溢れるプレーを魅せてくれる。
大学野球や社会人野球は、明治神宮大会に日本選手権、そしてプロ野球は日本シリーズと野球好きにはたまらない最も充実したシーズンが実はこの季節だ。
近年は、色々なご縁があって年代の違う野球少年たちのトレーニング指導をさせて頂いているので、指導のアイデアや自身に気づきをもたらすために、時間があれば様々な年代の球児たちのプレーを「LIVE」で見るために足繁く球場に通っている。
聖地甲子園を筆頭に、地方球場や河川敷、小中学校の校庭など、白球を追いかける球児の姿があれば場所に糸目はつけない。
ともすればライフワークバランスのイニシアチブを完全に握っている日々が続くことも珍しくない。
そんな日々を送る中、野球少年たちに少しばかしの異変を感じている。
ついこの間の夏の甲子園大会でも、打ってはホームラン数の大会新記録が生まれ、投げては140km/h超のスピードボールを投げる投手が当たり前のように登場した。
私が高校球児だった30年前は、そんな投手が現れれば、「ひゃ…ひゃく よんじゅっきろ!!」という大きな感嘆符を持って、その姿を食い入るように見入ったものだ。
そのスピード表示には一流投手として類稀な能力を誇示する確固たる境界線を示す数字だったからだ。
技術レベルは格段にあがっているので、高校野球の下の年代の中学硬式野球レベルも例に違わず。
両翼90mを超えるいわゆる「野球場」での試合でもオーバーフェンスする選手にさほど驚かないし、中学3年生ともなれば130km/h近いスピードボール投げる投手を目の当たりにしても先に同じ。
異変とは格段にあがった技術レベルではなく別の所にある‥今日はそんなお話。
私が少年野球チームに所属していたのは、もう四半世紀以上も前。
当時はまだjリーグも発足していなかったので、「男の子の将来就きたい職業」もプロ野球選手が上位の一角を譲らなかった時代。
第2次ベビーブーム世代なので、子どもの数は今とは比べものにならない。
私が通う小学校だけでもチームがなんと5つも混在していたから、野球をしたことのない子どもを見つけるのはホントに至難の技だった。
そんな状況だから、子どもたちは勝手にメラメラとライバル心を燃やし、少しでも上手くなりたいと、近所の公園や空き地、稲の刈られた田んぼや路地裏など、スペースがあれば、所狭しと野球をして遊んだものだ。
場所やスペースが変われば「同じ野球」でも人数、道具、ルールを変える必要が生じて来る。
そんな環境の変化に適応することで、技術の多様性や力を調節する能力を必然的に向上せざるを得なかった。
表現は少し難しいのだが…
狭い場所やプラスチックバット、ゴムボールを使用する「3」ぐらいの力でする野球と、河原やグランドで軟式ボールや金属バットを使用する「10」の力でする野球に違う能力を使って楽しんでいた。
記憶を遡れば…明けても暮れてもボールを投げていたのに、当時の野球少年は肩肘の痛みを訴える子は今より格段に少なかったように思う。
私の指導するチームでも肩肘に痛みを訴える子どもは非常に多い。
昭和の野球少年の中にも肩肘の痛みを訴える子どもが皆無だった訳ではない。
それを言及すれば、勝利至上主義や痛みを我慢することが美徳、などと言ったそれ相応の因果に辿り着くことができた。
が、現代の子どもたちは通常の練習のキャッチボールや各種団体が規定する球数制限の範疇でも、痛みを発生してしまう子どもが数多くいる。
また、負荷に対する耐性やその表現力の乏しさにも難しさを感じる。
文科省のデータや子どもたちの体力、遊びの研究を長くされている有識者の著書などを参考にすると、現代の子どもたちは、からだはどんどん大きくなっているのに、それと逆行し体力や運動能力はどんどん低下している。
野球に関して言えば、前述したホームランや球速の例のように、技術は加速度的に進歩しているのに、それを支える体力や能力は脆弱になってしまっているのだ。
昭和の子どもたちにとっては、野球はどこでも誰でもできる遊びの延長のスポーツで、それを支える体力や運動能力を支えるものが数多く存在した。
雲梯にぶらさがったり、のぼり棒やジャングルジムに登ったり飛び降りたり、砂場で相撲を取って押し合ったり、Sケンでバランスを取ったり、胴馬で少々の痛みや衝撃に耐えたり。
先日息子の運動会で衝撃的な出来事がひとつあった。
演目の『組体操』の花形種目であるピラミッドが始まった。
3月生まれで列順で言うと真ん中より少し前のクラスメイトの中では、そう大きくない息子の姿を探してみる。
なんと6段ピラミッドの一番下にいる。
もはや早熟傾向のカラダの大きな子=力が強いという図式が成り立たないのだ。
徒競走やリレーを見ても、ヒストグラムの中央値、ベルカーブが見当たらず、ピンとキリだけが際立つ。
デッドヒートが起こらないレースの様相に「順位の付かない運動会」を受け入れた瞬間でもあった。
変わりゆく子どもたち。
指導者として何ができるのか、何をすべきかを秋の夜長に深く考えてみる。
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島袋 好一トレーナー(寄稿)
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