姿勢を良くするために外せない3つの方法
ひとつの結果を出すには、どんな分野においても外せない鉄板のセオリーがあります。
たとえばダイエットなら、摂取したカロリーよりも消費したカロリーを多くすること。これなしに減量はできませんよね。そんな鉄板の法則が、「姿勢」にもあるのです。
姿勢は見た目だけでなく、肩こりや腰痛などの大きな要因にもなりうるため、気になる方が多いトピックでもあります。
今回は「姿勢を良くするために外せない3つの方法」についてお伝えします。
姿勢を構成するもの
骨格
骨格は文字どおり身体の骨組みになる基礎構造で、筋肉や他の軟部組織の支柱になるパーツです。
頭からつま先まで約206個※の骨で構成され、生後から成人になるにつれて骨の数は減少します。赤ちゃんのときは300個以上の骨があり、成長段階で小さな骨同士がくっついて大きな骨になるのです。
※尾てい骨の数は人により3~5個と差があるように、微妙に数が異なる。哺乳類の骨はだいたい200個~206個といわれている。
筋肉・軟部組織
筋肉は末端部が腱や腱膜となり骨に付着します。関節を跨ぐものや、骨の周囲を囲むようにして付く筋肉などさまざまです。また骨を動かしたり、骨を支える役割もあります。
靱帯や椎間板、滑液包などの軟部組織は関節を保護、支持するための大切な組織です。学校の実験室にある骨模型をイメージすればわかるように、骨だけでは姿勢を支えられません。
脳のコントロール
姿勢には脳の役割が大切です。中脳では視覚や聴覚からの情報を整理し、小脳では平衡感覚や筋肉の収縮具合から位置関係を把握し、運動を円滑におこなうように制御されています。
「脳幹」は姿勢中枢ともよばれ、この働きにより姿勢が決まるのです。
姿勢が崩れる原因
同じ姿勢を取り続ける
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けることは、筋肉と姿勢中枢に影響を与えます。
筋肉は持続的に収縮することで、過活動状態になる場所と不活動状態になる場所が生まれます。これにより筋肉のバランスが偏り、姿勢が均整を保ちづらくなるのです。
また筋肉や軟部組織を覆う筋膜(myofascia)は同じ姿勢を取ると、水分量が減少してコラーゲン繊維が高密度化します[1]。これにより筋肉が硬くなり、動きづらくなることで姿勢に偏りが生まれるのです。
筋肉の脆弱(ぜいじゃく)化
運動不足によって筋肉量が減少し、筋力が低下すると骨を支える筋肉の役割が機能しにくくなります。
また前述のデスクワークのように、特定の筋肉に負荷をかけた状態と、不活動状態の筋肉の差が大きくなることで筋緊張に差が生まれ、コントロールセンターである姿勢中枢に影響します。
心理状態
心理状態と姿勢も相関関係があります。痛みやストレスを回避するような姿勢は背中が丸くなりやすく、本来のポジションとは異なる位置に重心が移動します。
慢性痛や社会環境によるストレスは、姿勢を乱す要因にもなり得るのです。うまくストレスを発散したり、専門家に痛みを取り除いてもらいましょう。
姿勢を良くする3つの方法
①ほぐす
姿勢を良くするには、まず筋肉で骨格を引っ張り動かさなければなりません。筋肉のアンバランスを招いている硬い筋肉とその周辺をほぐすことが第一優先といえます。
猫背で身体の前やわきの下が硬くなっている場合は、まずそこから手をつけましょう。ほぐし方はさまざまですが、ストレッチをしたり専用のグッズを用いて適宜おこなうとよいでしょう。
②正す
姿勢は日常生活における習慣の積み重ねが反映されたものです。これまでの習慣を少しずつ見直すように筋肉のバランスを整えることがポイントになります。
たとえば鍛える前に、背中をまっすぐに伸ばすために必要なおしりや太ももの後ろを動的ストレッチで刺激しておいたり、背骨をまっすぐに保つための脊柱起立筋や腸腰筋などの体幹部を簡単なエクササイズで目覚めさせることで、姿勢保持しやすいバランスに整えることも非常に重要です。
③鍛える
座る・立つ・歩くなどの日常生活における基本動作は、重力に負けないように身体を支えながらおこなう必要があります。
身体には抗重力筋とよばれる筋肉が全身に存在しています。それらの働きが姿勢の安定保持につながっているため、筋力トレーニングをはじめとする運動で鍛えておくことが大切です[2]。
なかでもスクワットは、下肢や骨盤、脊柱という身体の支柱になる周辺の筋肉をほぼ網羅できるため、欠かせないトレーニングのひとつとしてあげられます。
まとめ
なにかをよくしたいと働きかけるとき、そこには必ず労力がかかります。おいしい料理には手間と丁寧な下処理がおこなわれているように、良い姿勢も時間と手間を惜しまず基本に沿って継続することがなにより重要です。
これまでの負担をすべてなかったことにしてくれる魔法のようなメソッドはありません。姿勢を良くするために外せない3つの方法は、誰もが目をそむけたくなるような地道なものなのです。
参考文献
1. 竹井仁. (2013). 姿勢の評価と治療アプローチ. 脊髄外科, 27(2), 119-124.
2. 厚生労働省. 抗重力筋 | e-ヘルスネット. 閲覧2020-08-19, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-093.html