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トレーニング

インナーマッスルの嘘や噂?そのトレーニングはなんのため?

前田 修平
グロング専属 鍼灸師
最終更新日:2020.08.31

「いったいなにが正しいのかわからない」

世の中にまつわるあれこれには、絶対的なセオリーがあるようでないというのが実情です。常識と思っていることに対して、センセーショナルな反論をすると、今ではSNSを賑わせる炎上騒動につながってしまいます。

トレーニングにおいても、それは時代ごとに繰り返されています。「水を飲んではいけない」とされてきた時代から「水は飲まなければいけない」と180度価値観が変わりました。

今回のコラムでは、インナーマッスルにまつわる気になる嘘や噂を徹底解説します。「あーでもない、こーでもない」と、なにを信じればいいのかわからない現代において、皆さんの指針となれば非常にうれしいです。

インナーマッスルとは

インナーマッスルは身体の骨格を構成する筋肉のひとつで、主に姿勢の保持や関節の安定、大きな筋肉との協働によりスムーズな関節運動を支える役割があります。

大まかには深層筋という分類をされるのですが、言葉とは裏腹にすべての筋肉が深層にあるわけではありません。便宜上の種類分けだと考えていただくのがよいかと思います。

ではインナーマッスルにまつわる嘘や噂について、その真偽を解明していきましょう。

インナーマッスルにおける嘘や噂

インナーマッスルにおける嘘や噂

①インナーマッスルは軽い負荷でも鍛えられる

この噂の真相は「軽い負荷でも鍛えられ、重い負荷でも鍛えられる」です。つまりインナーマッスルはどんな運動でも働く筋肉なのです。

ある研究で、四肢を動かす際にインナーマッスルのひとつである腹横筋は、主動筋である手足よりも先に収縮していることが明らかになりました[1]。つまりインナーマッスルを意識的に鍛えなくても、手足を動かして全身運動していれば自然に筋肉が働き、鍛えられるのです。

腰痛があったり、運動の経験が少ない初心者以外は、特別にインナーマッスルを鍛える時間は持たなくてもよいことになります。「シンプルできつい」ことは「複雑でかるい」トレーニングに勝るのです。

②体幹トレーニングをすれば“軸”ができる

トレーニング雑誌やムック本などでも「」「コア」という表現がよく使われます。でも軸ってなんでしょう?軸がどのように身体に作用するのでしょうか?

身体には正中線という位置づけがあり、頭蓋骨から背骨にかけてのラインが、身体の重心の中心軸であるという考え方から「軸」という表現がなされているようです。

ただし、軸(コア)は四肢による大きな力を対象に伝えるための機能を持っていて、それ自体が大きな力を発揮するわけではありません。体幹を鍛えたとしても四肢の筋力が強化されていなければ、全体的な機能の向上には結びつきにくいというのが現実です。

筋力不足を課題とするアスリートが、真にパフォーマンスアップを望むのであれば、体幹トレーニングのみにこだわることなく、全身を使った負荷の高いレジスタンストレーニングが重要になります。

③インナーマッスルは鍛えても意味がない

インナーマッスルの特徴は機能が限定されているところにあります。

ポイントは靱帯に近い役割であるという点です。関節のポジションを安定させ、保持するために働きますが、インナーマッスル自体が大きな力を発揮することはできません。つまり単独でその筋肉を鍛えたからといって、筋力強化にはつながりにくいのです。

意味がないというと語弊があるかもしれないですが、運動不足の方以外はあえて時間を割く必要性があるのかという点で、要検討項目でしょう。

インナーマッスルという言葉の弊害

インナーマッスルという言葉の弊害

ガラパゴス化している日本の「インナーマッスル」

日本人はいまだに筋トレに対する偏見がありますよね。「ムダな筋肉をつけたくない」「筋肉をつけると身体が重くなる」「柔よく剛を制す」などという意見は根深く残っています。オフシーズンのウエイトトレーニングによって身体を大きくした野球選手が喝を入れられてしまうように。

もちろん、個体差に合わせたトレーニングをおこなうのも重要です。しかしその前に、筋力トレーニングに対する理解を深めずに意見をいうのは、そろそろ終わりにしなければいけません。ラグビー日本代表の活躍は記憶に新しいと思いますが、彼らの躍進は徹底的なフィジカルトレーニングが背景にありました。

「日本らしさ」はとても素晴らしいことです。しかし一方で世界との差を埋めるには、基礎体力の向上が求められます。技術の向上には競技練習だけでは越えられない壁があるのです。

なんのために筋トレするのか?

ここまでは少し辛辣な意見となりましたが、もう一度皆さんがインナーマッスルを鍛える理由はなにか考えてみましょう。

「姿勢を美しくしたい」「しなやかな筋肉を作りたい」さまざまな目的があると思いますが、骨格を変化させるのはインナーマッスルだけではありません

実はあなたの目的は、アウターマッスルを鍛えないと達成できないことかもしれないんです。「筋トレをすると、すぐに筋肉がついて脚が太くなるからイヤだ」という意見をよく聞きます。もしかすると、目的に対して取り組んでいる内容が間違っている可能性も考えられますよね。

妄信的な思い込みは真実を歪曲させる力があります。一度、インナーマッスルについて専門家の意見を仰いでみてください。

まとめ

インナーマッスルにまつわる噂は、もうすでに明らかになっていることがほとんどです。

科学がなかった時代とは異なり、現代は多くの研究者たちの功績により効率的な運動が可能になりました。「ムダなことはない」といっても、わざわざ回り道をしなくてもよいことだってあります。

「インナーマッスル」という言葉を使う人がいたら、その人がきちんと真実を理解しているか確認するチャンスです。意地悪でもなんでもなく「どんな効果があるんですか?」と尋ねてみましょう。

参考文献

1. 大久保雄. (2019). 体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング. 日本アスレティックトレーニング学会誌, 5(1), 3-11.

2. Strength & Barbells. Starting Strength. 閲覧2020-08-26, https://startingstrength.com/article/strength_fitness

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前田 修平
グロング専属 鍼灸師

GronG TEAM GEAR(チームギア)所属の鍼灸師。鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。