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アミノ酸とは?知っているようで知らないアミノ酸について詳しく解説します

坂口 真由香
最終更新日:2022.07.01
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

私たちの身体を構成しているアミノ酸

なんとなく身体にとって大事な栄養素だとわかっているけれども、いざ「アミノ酸とは?」と聞かれると、なんだっけ?となる方も多いと思います。

今回は、知っているようで知らないアミノ酸について詳しく解説します。

アミノ酸が人類をつくった

アミノ酸は人類をつくった

地球の生命の誕生とアミノ酸には深い関わりがあります。原始の地球は、

  • メタン
  • アンモニア
  • 水素

であったいう説があり、これらの成分からアミノ酸がつくられたと考えられていました。原始の大気の中でアミノ酸と生命の源である核酸ができ、それらが海中に溶け込んで微生物が誕生。そして微生物から生物が誕生したのではないか?と考えられています。

1953年にアメリカの科学者ミラーが水、メタン、アンモニア、水素からグリシンやアスパラギン酸など簡単な構造のアミノ酸ができることを証明しています。さらに5億年前の化石からアミノ酸の一種であるアラニンが発見されており、生命の始まりはアミノ酸であったのかもしれません。

DNAに刻み込まれたアミノ酸のレシピからタンパク質ができるまで

DNAに刻み込まれたアミノ酸のレシピからタンパク質ができるまで

自然界には約500種類のアミノ酸が存在しています。そのうちのたった20種類で人間の身体はつくられています。なぜたった20種類で複雑な人間の身体がつくれるのでしょうか。

人間の細胞は37兆個といわれています。その細胞一つひとつに存在する核酸(DNA・RNA)に、筋肉や髪の毛などをつくるレシピ(遺伝情報)がそれぞれ存在。

約10万種類のタンパク質をつくるレシピがDNAには刻まれており、たった20種類のアミノ酸から約10万種類ものタンパク質を合成し、人間をつくりあげています。(人間に限らず、動物のタンパク質は20種類のアミノ酸でできています)

筋肉や髪の毛など人間をつくるタンパク質は、アミノ酸が数十個から数万個連なってつくられています。たったひとつ配列が異なったり、アミノ酸の種類が異なるだけで、まったく機能の異なるタンパク質ができあがるのです。

アミノ酸の消化・吸収

体内でアミノ酸からタンパク質をつくるためには、材料となる食べ物を食べなければなりません。材料となるのは肉や魚、卵といったタンパク質食品です。タンパク質を食べると胃と腸で消化、腸からアミノ酸が吸収されます。吸収されたアミノ酸は臓器や肌、髪の毛など人間をつくる材料として利用されます。

牛や鶏など動物のタンパク質を食べても、人間の身体が牛や鶏になりませんよね。私たちの身体はDNAに刻まれた遺伝情報(人間をつくるためのレシピ)をもとに、人間のタンパク質をつくっているからです。

レシピには筋肉など人間のタンパク質をつくるためのアミノ酸の配列が書かれています。しかしながらこの遺伝情報は、細胞の核の中に存在する大切な情報のため、簡単に外へと持ち出せません。

そこで登場するのがRNA。比較的自由に動けるRNAがレシピ(遺伝情報)をコピーし、その情報をもとにアミノ酸を組合せて筋肉など人間のタンパク質をつくっているのです。ちなみにこのレシピが親から子へと受け継がれていくので、親に似た髪の色や肌質となるのです。

アミノ酸の働き・パワー

アミノ酸の働き・パワー

さらにアミノ酸はエネルギーをつくったり、神経伝達物質をつくるなど生命活動にとても重要な働きをしています。

エネルギー源にもなるアミノ酸

タンパク質をつくる次に大切なアミノ酸の働きは、エネルギー源となることです。体内では主にグルコース(ブドウ糖)がエネルギー源として利用されています。しかしながら長時間の絶食や運動時にグルコースが不足してくると、アミノ酸が重要なエネルギー源となるのです。

長時間の絶食や運動時には、筋タンパク質が分解されてアミノ酸(主にアラニン)となり、エネルギーとして利用されています。

とくに、

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

といわれる分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋肉に存在し、必要なときにエネルギー源として効率的に利用されるため、とくに運動時に重要なアミノ酸と考えられています。

神経伝達物質やホルモンをつくるアミノ酸

快適な毎日のために必要になっているのがドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質です。これら神経伝達物質もアミノ酸からつくられています。

また体内には、アミノ酸同士で結合してタンパク質をつくらずに単体で働くアミノ酸もあり、このようなアミノ酸を遊離アミノ酸といいます。グリシンやグルタミン酸などのアミノ酸は、遊離アミノ酸として単体で神経伝達物質やホルモンとして働くことがあります。

また食事後などに活躍するグルカゴンやインスリンなどのホルモンもアミノ酸からつくられています。その他多くの神経伝達物質やホルモンもアミノ酸からつくられており、生命活動が円滑におこなわれるためにアミノ酸は欠かせないのです。

なぜ人間はアミノ酸を食べるのか?

なぜ人間はアミノ酸を食べるのか?

アミノ酸は体内で重要な働きを任せられている大切な栄養素だとわかりました。しかしながらなぜ毎日アミノ酸を食べないといけないのでしょうか?

常に生まれ変わるタンパク質

人間の身体は常に分解と合成を繰り返し生まれ変わっています。残念なことに人間の身体をつくるタンパク質は、脂肪のように蓄えられません

常に合成と分解を繰り返し、個体差や運動量にもよりますが、1日約180~300gの体タンパク質が分解されて合成されています。これは約1ヶ月で6~9kgのタンパク質が生まれかわっている計算です。

身体の20%がタンパク質であることから、50kgの成人の体タンパク質量は約10㎏。つまり2ヶ月ですべてのタンパク質が入れ替わっていることになります。よって日々の食事からアミノ酸をしっかり補給しなければなりません。

分解されたタンパク質のうち、一部は再利用するシステムが身体に備わっています。おおよそ尿や便、その他から排泄されるタンパク質量は70~80gといわれており、1日70~80gはタンパク質から摂り入れなければなりません

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

アミノ酸には体内で合成できる非必須アミノ酸と、体内で合成できないか、合成できても量が少ないため食事から摂り入れないといけない必須アミノ酸が存在します。

臓器などの体タンパク質をつくるには20種類のアミノ酸が必要であり、たったひとつアミノ酸が不足するだけで人体によくない影響が出てしまうのです。また非必須アミノ酸は体内で合成できますが、必須アミノ酸から合成されるアミノ酸も多く、いずれにせよ食事からの補給が重要となってきます。

アミノ酸が豊富な食材

肉や魚など動物性タンパク質には、人間を作るためのアミノ酸が豊富に含まれています。実は動物も人間と同じ20種類のアミノ酸で構成されおり、身体を作るための材料がそろった食材です。

穀類や大豆などの植物性タンパク質にもアミノ酸は含まれています。しかしながら動物性タンパク質と比較すると、やや不足するアミノ酸が存在するのです。たとえばお米はリジンが少なく、小麦はリジンやメチオニン、トレオニンが不足しています。

不足したアミノ酸は、肉や乳製品などと一緒に食べることで不足をカバーできます。リジンが少ないお米と、リジンが豊富な大豆タンパク質を一緒に食べることでカバーできるというわけです。ごはんや味噌汁、納豆といった伝統的な日本の朝食は理にかなっていますね。

美味しい食事に秘めるアミノ酸のパワー

美味しい食事に秘めるアミノ酸のパワー

今となっては当たり前の「うま味」成分。1908年に池田菊苗博士が、昆布のうま味成分がアミノ酸の一種グルタミン酸であることを発見しました。

ついで、博士のお弟子さんが鰹のうま味成分が核酸系物質イノシン酸であることを発見。またこれらを組み合わせることでうま味が増強することも発見されました。日本食の基本である昆布と鰹節から取るお出しの決め手はアミノ酸にあったのです。

アミノ酸の味はそれぞれ特徴的で、うま味が強いアミノ酸はグルタミン酸、アスパラギン酸といわれています。甘味が強いアミノ酸はグルタミン、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、プロリンです。その他、ロイシン、メチオニンなどは苦味が強いアミノ酸といわれています。

たとえばウニの味は、

  • グリシン
  • アラニン
  • グルタミン酸
  • バリン
  • メチオニン

などのアミノ酸と、

  • イノシン酸
  • グアニル酸

によるものといわれています。

しかしながら決定的な味の決めてはメチオニンです。この苦味を呈するメチオニンがないとエビやカニのような味になってしまうのです。ウニ独特の甘味と苦味のコントラストから生まれる美味しさはアミノ酸にあり、ウニに限らずあらゆる食材でアミノ酸が美味しさの秘訣になっているのではないでしょうか。

また熟成や発酵によってもアミノ酸の美味しさが倍増するといわれています。肉は熟成したほうが美味しくなるのは、熟成過程で呈味性のアミノ酸が生成されるからです。

さらに発酵により微生物がアミノ酸に作用し、アミノ酸量が元の食品の10~100倍以上になるといわれています。味噌や納豆などの発酵食品が豆腐よりもうま味が強いのは、アミノ酸と微生物の化学反応だったのです。

まとめ

アミノ酸の誕生から体内での働きについて解説しました。

たったひとつでも不足すると、人体に影響がでてしまうアミノ酸。現代の日本人は、健康的な食生活をしていればタンパク質の不足の心配はそれほどないといわれています。

しかしながら発展途上国では、タンパク質不足による成長障害や死亡は今もなお続いています。人間は“食べることを前提にして進化した生物”といわれており、栄養素を補給することは生きることなのです。

当然のことながらアミノ酸だけでは生命活動を維持することは不可能です。アミノ酸からタンパク質がつくられる過程や、エネルギーに利用される過程などにおいて、補酵素となるビタミンやミネラルの力が必要であったりと多くの栄養素が助け合っています。

生命活動を維持するにあたっては、アミノ酸からなるタンパク質や炭水化物、脂質などをバランスよく摂り入れることが大切ではないでしょうか。

参考文献

櫻庭雅文(2019)「アミノ酸の科学」. 東京,講談社.

味の素株式会社(2017)「トコトンやさしい アミノ酸の本」. 東京,日刊工業新聞

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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