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筋肉を作るだけではない!アミノ酸に期待できる効果について

坂口 真由香
最終更新日:2021.03.25
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

筋肉をつくるだけがアミノ酸の働きだと思っていませんか?

人体の20%はタンパク質、つまりアミノ酸でつくられています。筋肉にかぎらず、頭から足先まですべてアミノ酸で構成されているのです。

また体内での働きもさまざまあり、生きていくうえで欠かせないアミノ酸。今回のコラムでは、「アミノ酸の働きや効果」についてご紹介します。

スタミナアップ効果

アミノ酸は体内で身体をつくるだけではなく、エネルギーもつくりだしています。通常、主にブドウ糖や脂質をエネルギー源として利用。しかしながら空腹時や運動時などエネルギーが不足する場合、アミノ酸からもエネルギーをつくりだし利用しています。

タンパク質の分解によって筋肉から生じたアラニンは、血液を介して肝臓に運ばれブドウ糖に変換されます(グルコース・アラニンサイクル)。また筋肉ではBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)がエネルギー源として効率的に利用されます。

したがって運動時の持久力アップには、ブドウ糖の補給に加えてBCAAやアラニンなどのアミノ酸の摂取も役立つと期待されてるのです。

スキンケア効果

お肌のあらゆるところでアミノ酸の力が発揮されています。

肌は大きく分けて表皮、真皮、皮下組織で構成されています。さらに表皮よりも内側の部分は生きた細胞で、基底層では常に新し細胞がつくられているのです。新しい細胞は次々と上に押し上げられながら角層に到達。角層に達してからさらに14日後、垢となって肌からはがれ落ちるというわけです。

この一連の流れをターンオーバーといい、約28日周期といわれています。このサイクルが円滑におこなわれ、古い細胞が剥がれ落ち、新しい細胞へと生まれかわります。しかしながら年齢や紫外線などの刺激によってリズムが崩れたり、周期が長くなってしまうのです。

できればいつまでも若くてハリのあるお肌であり続けたいですよね?その秘密がアミノ酸に隠されていそうです。さっそく、お肌とアミノ酸のさまざま関係をみていいきましょう。

スキンケア効果

保湿にかかせないアミノ酸

美肌の大敵といえば「乾燥」。乾燥はシワの原因にもなりかねません。

私たちの身体の約60%は水分です。この水分を保つために肌は重要な役割をはたしています。では具体的にどうようにして肌は水分を保っているのでしょうか?

皮膚の角質層にNMF(Natutal Moisturizing Factor)と呼ばれる天然保湿因子が存在します。NMFは水分子と結合する力が強く、水分を保持する力が高いことで知られています。NMFが減少すると、肌は水分を保ちにくくなり乾燥しやすくなってしまうのです。

このNMFの約半分はアミノ酸と、アミノ酸のひとつであるグルタミン酸からできるピロリドンカルボン酸(PCA)で構成されています。つまりアミノ酸は保湿力を高める上でなくてはならない存在なのです。

保湿にかかせないアミノ酸

ハリに欠かせないアミノ酸

ハリのあるお肌に欠かせないコラーゲン。コラーゲンがあることで肌に弾力が生まれます。

若いときは、紫外線などの刺激を受けても新しいコラーゲンを産生し、ハリを維持できます。しかし加齢とともに壊れた部分を元に戻すほどのコラーゲンは産生されなくなり、壊れて元通りにできなかったコラーゲンが長年にわたって蓄積されてしまうのです。蓄積された壊れたコラーゲンは、シワの原因にもなると考えられています。

コラーゲンの材料となるのがアミノ酸。とくにアミノ酸でもプロリンが多くを占めているといわれています。またコラーゲンは皮膚だけではなく、靭帯や骨、血管などさまざまな組織の構造にもかかわっています。さまざなところで利用されるため、肌に優先的に供給することが難しいのです。そのため日頃からアミノ酸をしっかり補給することが大切です。

さらにコラーゲンに含まれるプロリンがヒドロキシプロリンに変換することで、コラーゲンの構造が安定し、壊れにくくなります。安定した強いコラーゲンをつくるために関わっているのがビタミンCやアミノ酸の一種アルギニンです。アルギニンには血流を良くする働きがあり、血行が改善されることによって、クマの改善やお肌の血色が良くなるといわれており一石二鳥ですね。

紫外線から肌を守るアミノ酸

肌を紫外線から守ってくれているメラニン。日光を浴びすぎて肌が黒くなるのは、紫外線のダメージを軽減するための現象です。

メラニンは大きく黒色メラニンと黄色メラニンに分類されます。黒色メラニンは、アミノ酸の一種チロシンからつくられます。この黒色メラニンにチロシンが混ざったものを黄色メラニンといい、2種のメラニンの割合で肌の色が決まるのです。

通常メラニンはターンオーバーによって排出されます。しかしながら、なんらかの原因によって過剰に生成されたメラニンが排出されないと、シミやソバカスの原因となってしまうのです。またアミノ酸の一種であるシステインにはシミの生成を抑制する働きがあります。

美髪効果

美しい髪の毛の秘訣もアミノ酸。髪の毛はキューティクル、コルテックス、メデュラから構成されています。キューティクルは毛先の先端にむかって鱗状に重なって表面を覆っており、内部の組織を保護しているのです。

キューティクルが整っている髪は美しくツヤがあります。キューティクルが損傷して開いてしまうと、そこから髪の毛内部のさまざまな成分が流れ出て、髪の毛の強度も落ちてしまいます。

コルテックスは、髪のしなやかさや強さ、やわらさなど毛質を左右する部分で、細い繊維状のタンパク質であるケラチン繊維が束になったものです。

メデュラは比較的やわらかいタンパク質でできています。太い髪ではメデュラが完全につながっており、細い髪ではところどころ切れていたり、なかったりします。

髪はさまざまなタンパク質から構成されています。中でも多いのがケラチンと呼ばれるタンパク質。ケラチンタンパク質の特徴は、ほかのタンパク質にはほとんど含まれていないシスチンと呼ばれるアミノ酸が含まれています。「丈夫な髪の秘訣はシスチンにあり」というくらいです。

アミノ酸は、アミノ酸同士で手をつないで結合しタンパク質をつくりあげています。中でも強い結合といわれているのがジスルフィド結合(SS結合)。シスチンは硫黄元素(S)を持っており、SS結合ができます。このSS結合が丈夫な髪の秘訣です。

パーマはSS結合を逆手にとった手法です。SS結合をパーマ液によって切断し、ロットを巻きつけることでアミノ酸をずらし、別のアミノ酸と結合させて固定。さらにパーマ液で化学処理をおこない、しっかり結合させているのです。まさにパーマはアミノ酸の化学反応です。

また身近なところでは、寝癖にもアミノ酸の水素結合が関わっています。水素結合は乾燥している状態ではある程度の強さを持っています。しかしながら水に弱いため、寝癖を水で濡らすことによって水素結合が切断され元に戻るというわけです。

お風呂あがりにしっかりヘアドライすることで水素結合が強くなり、キューティクルも引き締まるため艶のある髪に仕上がります。美しい髪を手に入れるためには、栄養と同じくらいブローテクニックが大切です。

免疫力アップ効果

主な免疫系は腸に存在します。つまり腸が健康であることこそ免疫系にとっても重要なのです。

グルタミンは消化管粘膜のエネルギー源。グルタミンがしっかり供給することで腸のバリア機能が高まり、免疫力アップが期待できるといわれています。またアルギニンは免疫細胞の増殖や成熟に関わっており、グルタミン同様に免疫系活性効果が期待されています。

リラクゼーション効果

心のバランスを整えるホルモンで知られるセロトニン。精神安定やリラックス効果があるといわれています。セロトニンもアミノ酸の一種トリプトファンから作られています。

また嬉しいことなど快楽を得られたときに分泌されるのがドーパミン。ドーパミンが分泌されることでやる気や意欲が湧くなど気分を高めてくれるのです。ドーパミンもアミノ酸の一種フェニルアラニンからつくられています。

人間は眠るときに体の中心温度(深部体温)が下がることで、自然な深い眠りに入ることが知られています。グリシンには、深部体温を速やかに下げる働きがあるようです。

質の良い睡眠により日中の眠気改善や疲労感の軽減ができるでしょう。また美のゴールデンタイムに質の良い眠りができれば美容効果も期待できるのではないでしょうか。

まとめ

アミノ酸にはさまざまな効果がありました。常に体内でアミノ酸の化学反応を繰り返し、古いものは捨て、新しい物細胞をつくり続けています。これが毎日の食事からアミノ酸を補給しなければならない理由です。

今回ご紹介したアミノ酸の働きや効果はほんの一部にすぎません。私たちが想像する以上にアミノ酸は体内で働いており、生命活動に欠かせない栄養素なのです。

参考文献

櫻庭雅文(2019)「アミノ酸の科学」. 東京,講談社.

味の素株式会社(2017)「トコトンやさしい アミノ酸の本」. 東京,日刊工業新聞

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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