WRITER
島袋 好一
トレーナー(寄稿)
最終更新日:2018.12.04
こんにちは、GronG TEAM GEARの島袋です。
今回は、「高齢者のバランス能力と歩行機能改善のための5つのトレーニング」についてお話をします。
過去2回のコラムでは中高年者層の方を取り巻く社会的背景に、日々運動を実践することの意義やその特性について解説してきました。
今回はいよいよその最終回です。トレーニングの方法と考え方は、読者の皆さまもご周知の通り星の数ほどありますので、有用性が高くポピュラーなものをいくつかご紹介いたしますので、まずはご一読ください。
まずは歩くこと。
「なんだ、そんなことで良いの?」と拍子抜けしそうですが、近年の研究では、認知症と歩行動作に密接な関係があることがわかっています。
ただし少しばかり工夫が必要ですので、以下の点を注意して行ってみてください。あとに紹介するトレーニングの相乗効果が期待できます。
約5cm歩幅を大きくしてください。
あの角にパン屋さんがあったとか、バス停の名前を覚えるなど。
脈拍120拍/分のペースは、少し息が切れるが隣の人と会話ができるくらいのスピードです。
測定の仕方
まずは5分くらい歩いてみて、そのあと手首の静脈に人差し指と薬指を2本当てて10秒間脈拍を測定しみて下さい。それに6を乗じた数値が心拍数の目安です。ただしそれ以下(120拍/分)でも運動がきつく感じられる方は徐々に強度をあげてください。
30分一気に行う必要はありません。10分を日に3度行っても構いません。
「老化は足から」という格言が存在するくらいですので、歩行動作に必要な筋力を鍛えておきます。
(図1)
(図2)
(図3)
ステップ1
図1:膝の高さ位の椅子などを用意し、床と平行に両手を挙げ真っすぐ立ちます。
ステップ2
図2:やや踵よりに重心を置いて、椅子にお尻が触れるまで膝を曲げ、図1に戻ります。
ステップ3
図2の位置まで膝を曲げるのがツライ方は、タオルやクッションなどを置いてそこに触れるまで膝を曲げます。
図3のように何枚かタオルを引いて慣れてきたらタオルの枚数を減らしていきましょう。
10回×3セット 慣れてくれば20回まで回数を増やしましょう。
上記の動きが難しい方はこちらのトレーニングをおこなってください。
(図1)
(図2)
(図3)
ステップ1
図1:両手を広げて、頭、肩甲骨、お尻、踵を壁に付けて立ちます。
ステップ2
図2:床と太ももが平行になるまでリズムよく膝をあげて図1に戻ります。
ステップ3
図3:図1.2の運動が充分に行える方は、ゴムチューブやバンドを使って負荷を高めていきましょう。
左右10~15回×3セット 慣れてくれば30回まで回数を増やします。
立位でのトレーニングがきつい方はこちらでお願いします。
(図1)
(図2)
ステップ1
図1:足首にゴムチューブやバンドをセットして立ちます。
ステップ2
図2:軸足側の足裏でしっかりと床を踏んで、肩幅よりも少し広い位置まで足を開き、図1まで戻ります。
戻す際には張力に負けないように耐えながら少しゆっくり目に戻すようにこころ掛けてください。
左右:10~20回×3セット
※つらい方は、まずは壁にもたれてチューブやバンドを使わず行ってください。
立位でのチューブトレはきつい方はこちらのトレーニングをすると良いでしょう。
「バランスボードを使ったトレーニング方法」を参照してください。
歩行速度をあげれば、視線の上下動が激しくなると同時に、関節の位置情報が変わります。あえて不安定な「支持基底面」に身を投じることにより位置情報を察知する能力を高めます。
またボードのローテーション運動により股関節や足関節の可動性や柔軟性の改善に役立ちます。
※支持基底面とは足裏のことを指し、姿勢や動作を反射的にコントロールしている重要な部位のひとつです
元気な頃は、なにも考えずにできた「歩行動作」も老いとともに、その単純なものが難解な動作へと移り変わっていきます。人類が途方もない年月を経て獲得した「2足歩行」という動作には、脳内を介在する様々な機能とネットワークを刺激し活性化させることがわかってきています。
歩行時の足底圧中心を測定すると、認知症を発症する方の共通の癖や形が在ることを詳細に分析でき、歩行速度やストライド(歩幅)への相関性を予測することができます。
※足底圧中心:特別な測定器を使うことで、指紋や声紋と同じように、人それぞれ地面を捉える接地の仕方に癖や形があることを明らかにできるる測定のこと
それだけでなく、運動には関係のない記憶などをつかさどる海馬という脳内エリアの機能が改善することも示唆されています。
今回ご紹介したトレーニングは、現代の研究で明らかになってきている「歩行によって認知症を未然に防げることの可能性」にフォーカスできるようにプログラム作成しました。
加齢による運動能力の低下は偶発的に起こるものではなく、必然的に誰しもに起こる言わば宿命なのです。
前回のコラムからバランス良く体力要素を改善となると、「あれもこれも大変」と思われた方もおられたかも知れませんが、そう大層に身構える必要はありません。
高齢者がバランス能力を改善するために知っておいてほしいこと
運動に割ける時間や、得手不得手など能力や興味は千差万別です。ADL(Activities of Daily Living)をいつまでも維持し、QOL(Quality of Life)の向上のために、なにかひとつ「トレーニング」を始めてみてはいかがでしょうか?
※ADL:基本的動作能力。身づくろい、食事、移動など
※QOL:生活の質、いかに良く生きるか。
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島袋 好一トレーナー(寄稿)
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