ストレッチの種類とそれぞれのポイント・効果
「ストレッチ」にはさまざまな種類があることをご存じでしょうか。
例えば運動前におこなうストレッチや2人組でおこなうストレッチなど……。一体どの種類のストレッチが自分には向いているのでしょうか。
こちらの記事では、どのストレッチを選択したらいいのかわからないという方に「ストレッチの種類」について詳しく説明していきます。
ストレッチの種類
ストレッチには大きく分けて以下の5種類があります。
静的(スタティック)ストレッチ
皆さまがストレッチを想像するとき、真っ先に浮かぶのがこの静的ストレッチでしょう。
「キング・オブ・ストレッチ」といってもいいかもしれません。静的ストレッチは、ゆっくりと筋肉を伸ばし筋肉の柔軟性を向上させます。座っても、立っても、寝てもおこなえる万能なストレッチです。
静的ストレッチがおすすめな方
- ストレッチ初心者から上級者まで全ての方
- あまりアクティブではないけれど、少し運動してみたい方
- 肩こりや腰痛など慢性的な症状がなかなかとれない方
静的ストレッチのポイント
- 「静的」というだけあり、反動をつけずにゆっくりとおこなう
- 気持ちよく伸びているところでキープし、20〜30秒ほど伸ばす※1,2
- 運動が苦手な方やストレッチをやり始めて間もない方にオススメ
※1 数セットおこなうと効果大
※2 自然な呼吸を繰り返す
動的(ダイナミック)ストレッチ
動的ストレッチは「動的」というだけあり、「静的」なストレッチとは対照的です。
反動を使って筋肉をスイングしたり、バウンドさせて筋肉の温度を上げていきます。運動前のウォーミングアップとしておすすめです。
動的ストレッチがおすすめな方
- 静的ストレッチでは効果が得られていない方
- スポーツやトレーニングなど身体を動かす趣味をお持ちの方や競技者の方
- これまでとは違う新しいストレッチに取り組んでみたい方
動的ストレッチのポイント
- 反動を使って腕や脚、体幹部分の関節を繰り返し動かす
- 自分の可動域を無理に超えない範囲でコントロールしながら動かす
- 筋肉を温めるようなイメージで10〜15回おこなう
バリスティックストレッチ
「ラジオ体操」一度はやったことありますよね。実はラジオ体操は「バリスティックストレッチ」とよばれるストレッチの代表的な動きなんです。
例えば下半身を伸ばすときに、上半身をだらりと前に倒して弾み、重みを利用して伸ばす。つまり身体の一部の重みを利用して、反動をつけておこなうストレッチがバリスティックストレッチです。
バリスティックストレッチがおすすめな方
- ラジオ体操をおこなう習慣がある方(慣れていることが大切)
- 敏捷性の必要なスポーツに取り組んでいる方や競技者の方
- スポーツの試合や大会などのパフォーマンスを上げたい方
バリスティックストレッチのポイント
- 瞬発的な動きで筋肉を伸び縮みさせることで目的の筋肉を温め、運動に適した準備をする
- 急激に筋肉が伸ばされると、体は制御をかけて守ろうとする仕組みを持っており、無理をすると逆に体が硬くなるため、注意しながらおこなう
- 瞬発的な動き(ジャンプやダッシュなど)を要するスポーツの前におこなう
ペアストレッチ
2人組でおこなうストレッチを「ペアストレッチ」といいます。
ペアストレッチはカップルや友達、パートナーとおこなうのがおすすめです。最近では街中に「ストレッチ専門店」という看板を掲げたお店が多くなってきました。このようなお店でおこなうのが「ペアストレッチ」になります。
ペアストレッチのメリットは、伸ばしてもらう人が脱力できることです。ペアストレッチは基本的に静的ストレッチを用いるので、リラックスした状態でおこなうとより効果が増します。
ストレッチを自分ひとりでおこなうには、できる動きや効果に限界があるのも事実です。
信頼できる人にストレッチしてもらうことで、心身ともにリラックスした状態を作ることができます。また柔軟性の向上と終わった後の満足感は、ひとりではなかなか味わえないものです。
ペアストレッチがおすすめな方
- ストレッチの質をより高めたい方
- 心身の疲労度やストレスが大きく、ひとりでは効果が得られていない方
- 家族やパートナーとのコミュニケーションを取りながらリフレッシュしたい方
- 自分でストレッチするのが面倒な方や身体のメンテナンスをプロに任せたい方
ペアストレッチのポイント
- 信頼関係のある人や近しい間柄の人、専門家と一緒におこなう
- リラックスできる環境を整える※3
- 相手のストレッチの感覚を聞き取りながらおこなう※4
※3 ベッドやマットなど、寝転がっておこなえるとよりよい
※4 「気持ちいい」と感じるポイントが大切
PNFストレッチ
ストレッチをケガや病気のリハビリという位置付けで取り組む場合があります。それがPNFストレッチです。
PNFストレッチをおこなうには、専門的な知識をもった施術者(理学療法士やアスレティックトレーナーなど)と一緒におこなうことが必要です。
PNFは「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」の略語で、和訳すると「固有受容性神経筋促通法」となります。PNFストレッチの内容を要約すると、「脳と筋肉は神経を介して繋がっているので、そこにアプローチして活性化させ機能を回復させよう」というものです。
一般的なストレッチとは異なりますが、ストレッチの可能性はこんな領域にも広がっています。
PNFストレッチがおすすめすな方
- 身体のコンディショニングをおこないたいトップアスリートの方
- 中枢神経疾患(脳卒中や脳溢血、パーキンソン病、ALS:筋萎縮性側索硬化症など)をお持ちの方
- 末梢神経疾患(外傷による手足のしびれや麻痺、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群などの神経症状)をお持ちの方
※疾患をお持ちの方は必ず医師の相談の元、専門家の指導を仰いでおこなってください
PNFストレッチのポイント
- 専門的な知識を持った人のもとでおこなう
- ケガや病気からのリハビリ、コンディショニングなどのプログラムの一環でおこなう
- アスリートのパフォーマンスアップに用いられる
まとめ
今回の記事では「ストレッチの種類」について説明いたしました。数あるストレッチ中でも代表的なものをピックアップしましたが、それでもこんなにたくさんの種類があります。
週末のジョギング前には動的ストレッチをして、終わってシャワーを浴びた後は静的ストレッチをする。また平日のオフィスワークの準備体操としておこなうラジオ体操は、バリスティックストレッチですし、仕事が終わって家に帰ったら、家族やパートナーとペアストレッチをする。
といったように、目的や用途に合わせて、取り組むストレッチを自分なりに組み合わせてみてはいかがでしょうか。なによりも終わった後の心地よさや爽快感は、どのストレッチにも共通していますし、心身共にリフレッシュできます。
実際にさまざまなストレッチをおこなってみて、自分だけのストレッチルーティンを見つけてください。