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クレアチンに期待できる効果について解説

坂口 真由香
最終更新日:2021.03.23
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

バルセロナオリンピックで金メダルを獲得した陸上競技選手が、摂取していたことで注目されるようになった「クレアチン」

今となってはトップアスリートだけでなく、スポーツを楽しむ人など幅広い層で愛用されています。はたしてクレアチンにはどのような働きや効果あるのでしょうか?

今回のコラムでは「クレアチンの効果」について詳しく解説します。

クレアチンとは

クレアチンは瞬発力やパワーが重視される運動時のエネルギー源として働く栄養素です。体内でアルギニンやグリシン、メチオニンといった3つのアミノ酸から主に肝臓で合成されます。

肝臓でつくられたクレアチンは、血液を介して筋肉に運ばれ、リン酸と結合してクレアチンリン酸として筋肉に貯蔵されているのです。

日常生活の動作やスポーツなどで筋肉を動かすためにはエネルギーが必要で、ATPと呼ばれるエネルギーを利用しています。このATPがADPとリン酸に分解されたときにエネルギーが放出されるのです。

しかしながらウェイトリフティングなど、強度な筋収縮を必要とするトレーニングではすぐにATPは枯渇してしまいます。

そこで活躍するのがクレアチンです。筋肉中に貯蔵されているクレアチリン酸をクレアチンとリン酸に分解してATPを作り出し、エネルギーとして利用されます。クレアチンは瞬発力を必要とするスポーツに欠かせない栄養素なのです。

体内のクレアチンの大部分(95%)は筋肉に存在し、一部は脳でもみられます。体内で合成される量は1日の必要量の半分程度であり、不足分は食事から補う必要があります。

クレアチンの働き
クレアチンの働き

クレアチンの効果

クレアチンの効果

身体能力・運動パフォーマンスの向上

クレアチンを摂取すると、筋肉中のクレアチンおよびクレアチンリン酸の貯蔵量を増加させエネルギー利用量が増大します。このことからアスリートやスポーツを楽しむ人のパフォーマンスに良い影響を与えると期待されているのです。

水泳やサッカー、パワーリフティングなどさまざまな競技でパワーの持続やタイムの短縮などが報告されています。レスリング選手を対象とした研究では、クレアチンを摂取していないグループと比較して、平均パワーやピークパワーが増大したと報告されています[1]

またサッカーなどの持久力を要するスポーツにおいても、クレアチンを摂取したグループのほうが、ジャンプパフォーマンスの低下を抑制できたと報告されています[2]

筋肉量の増加

クレアチン単体では筋肉をつくることはできません。しかし無酸素運動エネルギーが効率的に供給されることによって、高強度のトレーニングが期待できるでしょう。

ブラジルのサッカー選手を対象とした研究では、クレアチンの摂取は筋肉量の増加は認めませんでした。しかし下肢筋力の低下を防いだと報告されています[3]。また高齢者を対象した研究では、クレアチンを摂取したグループは筋力アップに加えて、除脂肪体重の増加を認めたと報告されています[4]

一方でクレアチンを摂取しても筋肉の増加がみられなかったという報告もあります。ケガなどで足を固定し筋肉の修復機会を失った場合、筋肉量が減少することは知られています。

クレアチンを摂取して短期間足の固定をおこない筋肉量の変化を調べた研究では、筋肉量や筋力アップは認めませんでした[5]。レジスタンストレーニングを併用したリハビリテーション中にクレアチンを摂取した場合には、筋肉の回復を示したと報告されています。

このことからクレアチンはトレーニング時のサポートとして役立つのではないかと期待されています。

疲労軽減(脱水の予防など)

運動中の脱水はパフォーマンスの低下や疲労につながります。

クレアチンは脱水を予防する働きがあり、温度調整により細胞内水分を増加させるといわています。

記憶・認知機能の向上

クレアチンの一部は脳や神経細胞にも貯蔵されており、記憶力や知力の向上などに関わり重要な役割をはたしています。

一般的にクレアチンは肉や魚などの動物性タンパク質に含まれており、ベジタリアンや食事摂取量が少ない高齢者は、体内に貯蔵されているクレアチンレベルが低いといわれています。

ベジタリアンを対象とした研究では、クレアチンを摂取することで認知機能が向上したと報告されています[6]。日頃からクレアチンを摂取している人でも記憶力の向上は認められるようですが、ベジタリアンでは著明に向上したというのです。

クレアチンを摂ろう!

クレアチンはバランスの良い食生活をしていると1g~2g摂取できるといわれています[7]。この量は筋肉に貯蔵される量の60%~80%に相当します。つまり日々の食事から欠かさずクレアチンを摂り入れることが大切なのです。

またインスリン分泌によって、筋肉へのクレアチンの吸収率が上がるため、食後もしくはごはんやパンなどの糖質と一緒に摂取すると効果的です。

運動中のエネルギー源となるグリコーゲンを運動前に蓄えておくことは重要であり、アスリートは運動前におにぎりやバナナなど糖質を補給しています。その際、糖質だけ摂取するよりもクレアチンと一緒に摂取したほうがグリコーゲンの回復を促進し、オーバートレーニングを防ぐために重要といわれています。

まとめ

クレアチンは運動パフォーマンスの向上や疲労軽減などスポーツに欠かせないことがわかりました。また記憶や認知機能にも関係しており、アスリートに限らず摂り入れたい栄養素ですね。

クレアチンの材料はアミノ酸です。肉や魚といったタンパク質を毎日欠かさず摂り入れましょう。

参考文献

1. Kocak, S., & Karli, U. (2003). Effects of high dose oral creatine supplementation on anaerobic capacity of elite wrestlers. Journal of Sports Medicine and Physical Fitness, 43(4), 488.

2. Claudino, J. G., Mezêncio, B., Amaral, S., Zanetti, V., Benatti, F., Roschel, H., … & Serrão, J. C. (2014). Creatine monohydrate supplementation on lower-limb muscle power in Brazilian elite soccer players. Journal of the international society of sports nutrition, 11(1), 1-6.

3. Claudino, J. G., Mezêncio, B., Amaral, S., Zanetti, V., Benatti, F., Roschel, H., … & Serrão, J. C. (2014). Creatine monohydrate supplementation on lower-limb muscle power in Brazilian elite soccer players. Journal of the international society of sports nutrition, 11(1), 1-6.

4. Rogers, M. E., Bohlken, R. M., Beets, M. W., Hammer, S. B., Ziegenfuss, T. N., & Šarabon, N. (2006). Effects of creatine, ginseng, and astragalus supplementation on strength, body composition, mood, and blood lipids during strength-training in older adults. Journal of sports science & medicine, 5(1), 60.

5. Backx, E. M., Hangelbroek, R., Snijders, T., Verscheijden, M. L., Verdijk, L. B., de Groot, L. C., & van Loon, L. J. (2017). Creatine loading does not preserve muscle mass or strength during leg immobilization in healthy, young males: a randomized controlled trial. Sports medicine, 47(8), 1661-1671.

6. Benton, D., & Donohoe, R. (2011). The influence of creatine supplementation on the cognitive functioning of vegetarians and omnivores. British journal of nutrition, 105(7), 1100-1105.

7. Kreider, R. B., Kalman, D. S., Antonio, J., Ziegenfuss, T. N., Wildman, R., Collins, R., … & Lopez, H. L. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14(1), 1-18.

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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