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クレアチンは筋トレにいいのか?筋肉の働きについて解説

坂口 真由香
最終更新日:2021.02.11
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

瞬発力や高強度を必要とするトレーニングで力を発揮するクレアチン。アスリートにとっては言わずと知れた栄養素です。

最近では筋力トレーニングに励む方々の中でも人気が高まり、摂り入れたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは「クレアチンの筋肉における働き」について解説します。

クレアチンとは

クレアチンとは

クレアチンは肝臓や腎臓、膵臓でアルギニンやグリシン、メチオニンから合成される有機酸の一種です。体内のクレアチンの60%がクレアチンリン酸として存在し、そのほとんとが骨格筋に蓄えられ、一部は脳にも含まれています。個人差はありますが、人間の体内に蓄えられているクレアチンリン酸の貯蔵量は80g~130g程度といわれています。

体内でのクレアチンの主な働きは運動時のエネルギー源です。そのほか、記憶力などにも関わる大切な栄養素なのです。

スポーツや筋力トレーニングをおこなう際に、3つのエネルギー回路が機能しています。クレアチンリン酸は酸素を必要としない瞬発的な動き(高強度)で活用するエネルギーです。ウエイトリフティングのほか、サッカーやバスケットボールなど瞬発的に筋肉を動かすときにクレアチンリン酸が利用されます。

裏を返すと、ジョギングのようなATP-CP系を使わない運動においてクレアチンリン酸は必要ありません。ただし脳でも利用されており、大切な栄養素には変わりありません。タンパク質を主体としたバランスの良い食事をしていれば不足の心配はないでしょう。

エネルギー回路エネルギー持続時間エネルギーの違い運動例
ATP-CP系8秒程度酸素を必要としない瞬発的な動き(高強度)で活用するエネルギーウェイトリフティングなど
解糖系30秒~60秒酸素を必要としない素早い動き(中強度)で活用するエネルギー筋トレ・短距離走など
有酸素系長時間酸素を必要とするゆっくりとした動き(低強度)で活用するエネルギージョギング・ウォーキングなど

筋肉の成長をサポート

筋肉の成長をサポート

クレアチン自体に筋肉を増加させたり脂肪を燃焼する働きはありません。しかしながら高強度のトレーニングや瞬発力を必要とする運動でクレアチンをチャージしておけば、強い筋力を発揮できる時間もその分だけ長くなるでしょう。

いつもより長時間トレーニングに励むことで筋肉の成長につながります。また筋肉が増えることで代謝が上がり、脂肪燃焼の高まりを期待できるのではないでしょうか。

クレアチンは体内でアミノ酸(アルギニン、メチオニン、グリシン)から合成できます。しかし合成できるのは必要量の半分程度といわれ、不足分は食事から補う必要があるのです。バランスの良い食生活をしていると1g~2g摂取でき、筋肉に貯蔵される量の60%~80%に相当するといわれています[1]。肉や魚といったタンパク質を欠かさず摂り入れるといいでしょう。

しかしながらアスリートのような激しいトレーニングや、瞬発的な動作を何度も繰り返すようなスポーツをする場合、通常よりもクレアチンを必要とします[2]。そこでアスリートの中には、クレアチンを積極的に摂り入れて体内に蓄える(クレアチンローディング)ことがあります。

クレアチンを摂取すると、クレアチン酸の貯蔵量は10%~30%増加程度増加すると知られています。体内のクレアチンリン酸が増えれば、強い筋力発揮できる時間もその分だけ長時間に。8秒間しか持続できなかった全力運動が10秒前後まで持続できるようになります。

クレアチンとトレーニングの研究

週2回のレジスタンストレーニングにクレアチンを併用すると、徐脂肪体重と筋力の向上を認めたと報告されています[3]。ウェイトリフターを対象とした12週間の研究では、クレアチンを併用したほうがトレーニングのみの場合と比べて、2倍〜3倍筋線維の成長を増加させたと報告されています[4]

さらにトレーニングプログラムにクレアチンを追加するとトレーニングのみの場合と比較して、

増加したと報告されています[5]

筋肉の疲労軽減

筋肉収縮の直接的なエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)。ATPがADPと無機リン酸に分解されたときに、エネルギーが放出され筋肉の収縮が可能となるのです。一部のADPはATP-CP系(クレアチンを利用する回路)で再利用されますが、無機リン酸は残ります。

実はADPと無機リン酸も疲労の原因といわれているのです。激しいトレーニングによってATPが利用されるほど、ADPと無機リン酸の生成が増大するため疲労します。そこでクレアチンローディングによって、筋肉内のクレアチンリン酸が増えるとADPが再利用されやすくなるため、疲労軽減ができるわけです。

クレアチンによるパンプアップ効果

クレアチンをパンプアップ目的で利用している方もいらっしゃるでしょう。クレアチンユーザーの多くは、瞬発的かつ高強度のトレーニングに励むため、トレーニングとクレアチンによるパンプアップが期待できるでしょう。

パンプアップとは、筋力トレーニングで筋肉を追い込み、筋線維間に代謝物が溜まると、浸透圧を調整するため毛細血管の血液から血しょう成分が流れ出て筋肉が水膨れた状態のことです。パンプアップ自体は一時的なもので筋肥大とは異なり、運動で速筋線維が十分に使い込まれた証です。

クレアチンは水分やグリコーゲンを筋肉へ引き込む性質があります。筋肉が水分を含み肥大するため、筋肉が張ったような状態となります。クレアチンローディングをおこなうと体重あたり1%~2%の増加を認める場合があるのです[6]。これは一時的なものでトレーニングを継続的におこなうことで水は抜けていきます。

まとめ

クレアチンは高強度を必要とする筋肉トレーニングや瞬発力を必要とするスポーツで活躍する栄養素でした。ご自身のトレーニングに合わせて、体と相談しながら摂り入れてみてはいかがでしょうか。

ただしバランスの良い食事があってこそ、単独の栄養素が働くことを忘れないでくださいね。

参考文献

1. Kreider, R. B., Kalman, D. S., Antonio, J., Ziegenfuss, T. N., Wildman, R., Collins, R., … & Lopez, H. L. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14(1), 1-18.

2. Buford, T. W., Kreider, R. B., Stout, J. R., Greenwood, M., Campbell, B., Spano, M., … & Antonio, J. (2007). International Society of Sports Nutrition position stand: creatine supplementation and exercise. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 4(1), 1-8.

3. Nissen, S. L., & Sharp, R. L. (2003). Effect of dietary supplements on lean mass and strength gains with resistance exercise: a meta-analysis. Journal of Applied Physiology, 94(2), 651-659.

4. Volek, J. S., Duncan, N. D., Mazzetti, S. A., Staron, R. S., Putukian, M. A. R. G. O. T., Gomez, A. L., … & Kraemer, W. J. (1999). Performance and muscle fiber adaptations to creatine supplementation and heavy resistance training. Medicine and science in sports and exercise, 31(8), 1147-1156.

5. Rawson, E. S., & Volek, J. S. (2003). Effects of creatine supplementation and resistance training on muscle strength and weightlifting performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 17(4), 822-831.

6. Powers, M. E., Arnold, B. L., Weltman, A. L., Perrin, D. H., Mistry, D., Kahler, D. M., … & Volek, J. (2003). Creatine supplementation increases total body water without altering fluid distribution. Journal of athletic training, 38(1), 44.

石井直方(2020)「スポーツ科学の基礎知識 筋肉の機能・性質パーフェクト事典」

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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