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HMBで痩せるのか?ダイエット効果について解説

坂口 真由香
最終更新日:2021.03.16
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

ダイエットをはじめると少しでも楽したくなることでしょう。

最近話題のHMBを聞いたことありますか?「HMBを摂取すると痩せる」という憶測が飛び交っているようです。期待を寄せてここにたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

意外にもHMBの歴史は古く、多くの研究報告があります。しかしながらさまざまな意見があり効果について賛否両論あるようです。

今回のコラムではHMBのダイエットについて報告されている論文を紐解きながら解説します。

HMBとは

HMB(beta-hydroxy-beta-methylbutyrate:β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)とは、BCAAのひとつであるロイシンの代謝産物です。

ロイシンが酵素の働きによって代謝され「KIC(α-ケトイソカプロン酸)」となります。KICはさらに酵素(α-ケトイソカプロン酸デヒドロゲナーゼ)によって代謝され、多くはイソバレリルCoAとなります。別の酵素(α-ケトイソカプロン酸ジオキシゲナーゼ)によって代謝されたKICがHMBとなるのです。ロイシンの約5%がHMBに代謝されるといわれています。

HMBとは

ロイシンは筋肉の合成や分解をコントロールしており重要なアミノ酸のひとつです。ではなぜ?ロイシンやHMBがここまで注目を浴びるのか解説します。

筋肉は細胞の集合体です。細胞の核にある遺伝情報(DNA)をもとにタンパク質がつくられています。しかしながら細胞内にあるDNAの情報は簡単に外へ持ち出すことが難しく、そこで登場するのがメッセンジャーRNA。メッセンジャーRNAが細胞内の遺伝情報をコピーしてタンパク質がつくられます。コピーしてタンパク質がつくられる過程を「翻訳」といいます。

翻訳のスイッチ役となるのが「mTOR(エムトール)」という物質です。近年、注目されている物質で運動やトレーニングによってmTORが活性化されることで、翻訳(タンパク質をつくる過程)が活性化されタンパク質の合成を促進します。このmTORの活性化を担っているのがHMBといわれているのです。

またタンパク質の分解を促進するユビキチンプロテアソームという酵素の働きを減弱するといわれています。つまりHMBは筋タンパク質の合成と分解のスイッチ役に働きかけて、分解を抑制しながら合成へ傾けているのです。

HMB 合成と分解

HMBダイエットの是非

HMBダイエットの是非

では本題、HMBにダイエット効果はあるのでしょうか?

ダイエットするとなれば、誰しもメリハリのある美ボディを目指したいですよね。美ボディの要となるのが筋肉。つまり美しい身体を手に入れたいなら「筋肉を維持もしくは増量しながら脂肪を落とす」ことが重要です。

また人間が消費するエネルギーには体温維持や呼吸など生命活動を維持するための「基礎代謝」。日常生活動作やスポーツなど体を動かすことによってエネルギーを消費する「生活活動代謝」。そして食べ物を消化するための「食事誘発性熱産生」があります。

ダイエットといえば運動でエネルギー消費しようとしがちです。しかし最もエネルギーを消費しているのは基礎代謝で、エネルギー消費全体の60%を占めているのです。基礎代謝は筋肉による熱産生が多くを占めており、代謝量は筋肉量に比例します。

つまり筋肉を鍛えて基礎代謝を上げることはダイエットで重要なのです。その意味で筋タンパク質合成のスイッチ役となるHMBはダイエットの手助けとなるかもしれません。

HMBの研究報告

HMBを摂取したグループとプラセボを比較した研究では、HMBを摂取したグループは徐脂肪体重が増加したと報告されています[1]

ただし運動せずにHMBを補給した場合、エルゴジェニック効果がないようであり[2]、HMB補給は筋肉の異化作用の増加によってのみ効果的である可能性があることを示唆しています。つまり筋肉トレーニングが必要なのです。

またサッカー選手を対象とした研究では体脂肪率が減少、徐脂肪体重が増加したと報告されています[3]。一方アスリートのように日頃からトレーニングで強化している方では、効果があまり見られなかったという意見もあります[3]

これはアスリートのように高強度のトレーニングをする場合、筋肉の損傷やタンパク質の分解が抑制されるため、HMBの潜在的効果が弱まるからではないかと考えられています。HMBの効果についてはさまざまな意見があり、とくにアスリートのような激しいトレーニングをする方には、あまり効果が期待できないといわれてきました。

最近の報告によると、HMBカルシウム(1.5g〜3g /日)をレジスタンストレーニング中に補給すると、とくにトレーニング経験のない被験者の間で、筋肉量が増加すると示唆されています。

また現在確立されているHMBの最小有効量は1日あたり1.5gです。3g摂取すると除脂肪体重の増加など期待できる一方で、さらに増量しても効果の増大は期待できるといわれています。

アスリートのHMBの使用についてはさまざまな見解がありました。日頃から激しいトレーニングをしている場合、ただ摂取するだけでは十分でないようです。

ボート選手(16名)を対象とした研究では、HMBカルシウム水和物(3g/日)を摂取した結果、脂肪量は大幅に減少したが、徐脂肪体重に変化はなかったと報告しています[4]

また男性アスリート(58名)を対象とした研究では、HMBカルシウム水和物(3g/日)を12週間補給した結果、徐脂肪体重が大幅に増加し、体脂肪量が減少したと報告されています[5]。さらに格闘家を対象とした研究では、HMBカルシウム水和物(3g/日)を12週間補給した結果、徐脂肪体重が増加しました[6]

これらのことから国際スポーツ栄養学会は、トレーニング経験が少ない場合、3週間〜4週間という短い期間、アスリートのように激しいトレーニングをおこなっている場合、より長い期間(12週間)HMBを摂取することが必要と述べています[7]

国際スポーツ栄養学会はHMBの効果について下記のように述べています[3][7]

  1. HMBは筋タンパク質合成を促進し、分解の抑制により筋肥大を期待できる。
  2. HMBは筋肉トレーニング後の筋損傷の回復を高める可能性がある。
  3. 筋肉量の増加や体脂肪の減少についてはトレーニング初心者の方が短期的な効果が得られやすい。熟練したトレーニーの場合、長期的な摂取が必要。

まとめ

HMBにはさまざまな見解がありました。ダイエットの要となる筋肉の増加や体脂肪量の減少が期待できそうでした。

効果を体感するためにはトレーニングが必須で、トレーニング歴や強度によってもさまざまでしたね。ご自身の状況に合わせて摂り入れてみるのもよいかもしれません。

ただしHMBに過度な期待をすることはオススメできません。ダイエットの基本は食事と運動です。食事バランスが崩れていては元も子もありません。

参考文献

1. Nissen, S., Sharp, R., Ray, M., Rathmacher, J. A., Rice, D., Fuller Jr, J. C., … & Abumrad, N. J. J. O. A. P. (1996). Effect of leucine metabolite β-hydroxy-β-methylbutyrate on muscle metabolism during resistance-exercise training. Journal of Applied Physiology, 81(5), 2095-2104.

2. Nissen, S., Panton, L., Fuller, J., Rice, D., Ray, M., & Sharp, R. (1997, February). Effect of feeding beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) on body composition and strength of women. In FASEB JOURNAL (Vol. 11, No. 3, pp. 875-875). 9650 ROCKVILLE PIKE, BETHESDA, MD 20814-3998 USA: FEDERATION AMER SOC EXP BIOL.

3. Wilson, G. J., Wilson, J. M., & Manninen, A. H. (2008). Effects of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) on exercise performance and body composition across varying levels of age, sex, and training experience: A review. Nutrition & metabolism, 5(1), 1-17.

4. Durkalec-Michalski, K., & Jeszka, J. (2015). The efficacy of a β-hydroxy-β-methylbutyrate supplementation on physical capacity, body composition and biochemical markers in elite rowers: a randomised, double-blind, placebo-controlled crossover study. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 12(1), 31.

5. Durkalec-Michalski, K., & Jeszka, J. (2016). The effect of β-hydroxy-β-methylbutyrate on aerobic capacity and body composition in trained athletes. Journal of Strength and Conditioning Research, 30(9), 2617-2626.

6. Durkalec-Michalski, K., Jeszka, J., & Podgórski, T. (2017). The effect of a 12-week beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) supplementation on highly-trained combat sports athletes: A randomised, double-blind, placebo-controlled crossover study. Nutrients, 9(7), 753.

7. Kerksick, C. M., Wilborn, C. D., Roberts, M. D., Smith-Ryan, A., Kleiner, S. M., Jäger, R., … & Kreider, R. B. (2018). ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 15(1), 38.

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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