キチン・キトサンとは?グルコサミンとの違いと効果について

キチンとキトサン。耳にしたことはあるけど、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、「キチンとキトサンの概要や働き」について解説します。
キチンとキトサンとは
キチンは菌類や植物、動物に分布します。エビやカニなどの甲殻類、昆虫、キノコ・酵母の主成分です。
キチンはN-アセチル-D-グルコサミンがβ-1,4結合で直鎖状に多糖結合した多糖。またキトサンはキチンの脱アセチル化したもので、D-グルコサミンがβ-1,4結合で直鎖状に多糖結合した多糖です。
簡単にまとめますと、キチンをアルカリ溶液で加熱処理するとキトサンが得られます。キチンは部分的に脱アセチル化されているのが通常です。
またキトサンは、完全に脱アセチル化されたものでなく、部分的にアセチル基を含んでいるものもあり、キチンとキトサンは明確に区分できないため「キチン・キトサン」と並べて呼ばれることが多いようです。
人間はβ結合を切断する酵素がないため消化できません。よって食物繊維に該当します。そのほか、殺菌の増殖を抑える働きがあり、脱臭剤としても使用されています。
キトサンとグルコサミンの違い
軟骨成分の一種であるグルコサミン。「グルコサミンなら聞いたことがある」方も多いのではないでしょうか。
実はグルコサミンはキトサンから作れられており、グルコサミンを分解し続けていくことで生成される低分子の単糖類です。グルコサミンは人間の体内でも合成できますが、年齢とともに作られるスピードは遅くなります。
キトサンもグルコサミンもカニの甲殻類を原料につくられています。キトサンは分子量が大きく体内で吸収できません。腸内で食物繊維としての働きを発揮しています。一方、分子量が小さいグルコサミンは吸収されて、軟骨などの材料として利用されます。
キチン・キトサンの効果

それではキチン・キトサンにはどのような働きが期待できるのでしょうか。報告されている研究をみていきましょう。
肥満者が3ヶ月間キトサンを摂取した研究ではインスリン感受性が増加し、体重やBMI、中性脂肪は低下したと報告されています[1]。
マウスの実験データを解析した研究では、キトサンは血液と肝臓の総コレステロールとトリグリセリドを低下させ、糞便の総コレステロールとトリグリセリドを上昇させました。キトサンは生活習慣病の症状を改善するのに役立つ可能性があると報告されています[2]。
ダイエット効果を期待して摂り入れている方も多いでしょう。しかしながら、それほど効果は期待できないという意見もあり、有用性については論争が続いているようです。
そのひとつに研究の質が問われています。効果があったという報告は条件が十分でなかったりと問題がありました。質の高い研究結果より検証した結果、減量に対する効果は十分でなかったと報告されています[3]。
まとめ
キチン・キトサンは意外と身近な存在でしたね。しかし効果についてはさまざまな意見がありました。栄養素を選択する際は、その働きをしっかりと吟味することが大切です。
そしてサプリメントは補助的な立ち位置です。日々の食生活を大切にし必要に応じてサプリメントを活用することをオススメします。サプリメントに過大な効果を期待するのは要注意です。
参考文献
1. Hernández-González, S. O., González-Ortiz, M., Martínez-Abundis, E., & Robles-Cervantes, J. A. (2010). Chitosan improves insulin sensitivity as determined by the euglycemic-hyperinsulinemic clamp technique in obese subjects. Nutrition research, 30(6), 392-395.
2. Ahn, S. I., Cho, S., & Choi, N. J. (2021). Effectiveness of chitosan as a dietary supplement in lowering cholesterol in murine models: A meta-analysis. Marine Drugs, 19(1), 26.
3. Jull, A. B., Mhurchu, C. N., Bennett, D. A., Dunshea‐Mooij, C. A., & Rodgers, A. (2008). Chitosan for overweight or obesity. Cochrane Database of Systematic Reviews, (3).