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血糖値を上げない(上げにくい)食べ方と、低GI食品とは

坂口 真由香
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)
最終更新日:2020.07.03

近年、健康ブームで「抵糖質ダイエット」が流行っており、筆者のところにも「血糖値が上がりにくい方法を教えてください」と相談に来られる方が多くいます。

はたして、本当に血糖値が上がることは悪いことなのでしょうか?こちらの記事では、体でのメカニズムを紐解きながら「血糖値」について解説していきます。

食べ物を食べるとなぜ血糖が上がるのか?

食べ物を食べるとなぜ血糖が上がるのか?

そもそもなぜ「血糖」があがるのでしょうか?

米飯やパンなどの糖質は、消化されると「ブドウ糖」になります。この「ブドウ糖」が小腸で吸収されて血管へ運ばれます。この血管内に流れる「ブドウ糖」を「血糖値」とよんでいるのです。

血管を流れる「ブドウ糖」は、血液によって全身に運ばれエネルギー源として働きます。人間は、「ブドウ糖」を主なエネルギー源として生きているので、枯渇すると身体に支障をきたしてしまいます。

つまり生きていくために「ブドウ糖」が必要であり、血糖値が上がるのです。また人間には、血糖を下げるインスリンや、血糖を上げるグルカンやコルチゾールなどのホルモンを駆使して、血糖を一定の状態に保とうとする働きが備わっています。

血糖 正常

一方で、たくさんの糖質を食べて血糖が上昇(血管内にたくさんのブドウ糖が流れている状態)することが良くないことであるといわれています。一体どうしてでしょうか?

人間には血糖値を一定に保とうをする機能が備わっています。食事をして血糖値が上昇すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、筋肉や肝臓、脂肪組織にブドウ糖が取り込まれる(貯蔵する)ことで血糖値が下がります。

この過程において、筋肉や肝臓ではブドウ糖をグリコーゲンに変換して貯蔵。脂肪組織では、ブドウ糖を脂肪に変換して貯蔵します。また空腹時には、ため込んでおいたグリコーゲンや脂肪をブドウ糖に変換してエネルギーとして利用します。

たくさんの糖質を摂取した場合、血糖値が急激に上昇し血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌されます。このインスリンによって、血糖値は下がるものの脂肪がたくさん合成されるのです。

これが太るメカニズムの一つであり、健康において危険因子ともいわれています。

たくさんの糖質を食べて血糖が上昇

血糖値を上げにくい食べ方

血糖値を上げにくい食べ方

よく噛む

よく噛むことでグレリン※1というホルモンの分泌が抑制されて空腹感を減少させる効果があります。また満腹感を得られることによって、おやつ摂取量が減少したという報告もあります。

噛む回数が少ない群(10回)と多い群(40回)を比較した研究では、「GLP1※2」というホルモンが上昇したようです。「GLP1」というホルモンは、インスリンの分泌促進や食欲抑制効果あるといわれおり、このホルモンの働きで血糖値が上昇しにくくなると考えられています。
 
多くの研究において、1回あたり30~40回噛むことで上記のような結果が得られたと報告されています。30回程度噛むことにより、食事時間が15分以上かかります。またいくつかの論文では、15分以上食事時間を要した方が血糖の上昇が抑制できると報告されています[1]

口に食べ物を入れたら、箸を置き、30回程度しっかり噛みましょう。野菜など噛み応えのある食材を料理に取り入れるのもおすすめですね。

※1 グレリン:胃からでるホルモンで、空腹時にグレリンが分泌され食欲を増進させる

※2 GLP1:インスリンの分泌を促進させる他に、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制。その他、食欲抑制効果や筋肉においてグルコースの取り込みを高める働きなどがある

食べる順番を意識する

最近、メディアや雑誌で多く紹介されている「食べる順番」。すでに実践されている方もいらっしゃるのではないでしょうでか。

最近注目の研究も絡めて、食べる順番についてご紹介します。

野菜を先に食べる

野菜を先に食べることで、食後の血糖上昇を抑制できるという報告があります[2]

こちらの報告では、1日あたり約500g程度の野菜を摂取して効果を得られたようです。目安としては、1日5~6皿野菜の小鉢料理を食べることです。

肉・魚を先に食べる

米やパンなどの炭水化物を食べる前に、肉や魚などの食品を食べると、「インクレチン※3」と総称される消化管ホルモンの分泌が増強され、食後の血糖値上昇が抑制されると明らかになり、近年注目されています[3]

※3 インクレチン:食事をした際に小腸から分泌されるホルモンで、すい臓からの「インスリン」分泌を促進。小腸の上部から分泌されるGIPと、小腸下部から分泌されるGLP1がある

こちらの研究では、米飯を先に食べた場合と、肉、魚を先に食べた場合での食後の血糖値を比較しました。先に肉、魚を食べた方が血糖値の上昇が抑制できており、肉を先に食べた方が「GIPホルモン」の分泌が促進されるようで、魚よりも血糖値が低下しています。

しかしGIPホルモンには脂肪蓄積作用もあるため、肉ばかりを食べることはオススメできません

血糖値を上げにくい食べ方のまとめ

これらのことから、野菜や肉、魚を先に食べて、米飯やパンなどの炭水化物を食べることで、食後の血糖上昇を抑えられることがわかりました。

研究では、米飯を食べる15分前に肉、魚を食べて効果があったようです。米飯やパンが待ち遠しい方もいらっしゃる方もいると思います。しかし食物繊維の効果を期待して、野菜をしっかり噛んで食べて、10分程度会話をしながら野菜やメインデッシュを楽しんでみてはいいかでしょうか。

  1. 野菜や肉、魚をゆっくり噛んで食べる。(1回あたり30~40回目安)
  2. 食事をはじめてから少なくとも10分程度してから、米飯やパンなどの炭水化物を食べる。

低GI食品

血糖値を上げにくい食べ物

食品に含まれる炭水化物(糖質)の吸収度合に注目した「GI値」という言葉を聞いたことはありませんか?

「GI」とは、英語のGlycemic Indexを略した言葉で、日本語では「血糖指数」を意味します。詳細な説明は省略しますが、簡単にいうと基準となる「ブドウ糖」を100とした場合に、他の食品を数値化したものです。

GI値は、1981年に血糖管理を目的にカナダで開発されました。シドニー大学では、GI値が70以上の食品を高GI食品。56~69の間の食品を中GI食品。55以下の食品を低GI食品と定義しています。

以下、2008年に発表された国際GI値国際基準より、日本人がよく食べている食品を抜粋してGIの表を作成しました。

食品名GI値分類
ジャガイモ(マッシュ)87±3高GI食品
せんべい84±2高GI食品
コーンフレーク81±6高GI食品
お粥78±9高GI食品
ジャガイモ(ゆで)78±4高GI食品
スイカ76±4高GI食品
食パン(白い)75±2高GI食品
全粒粉パン74±2高GI食品
白米73±4高GI食品
玄米68±4中GI食品
かぼちゃ(ゆで)64±7中GI食品
ジャガイモ(フライドポテト)63±5中GI食品
サツマイモ(ゆで)63±6中GI食品
はちみつ61±3中GI食品
パイナップル59±8中GI食品
ソフトドリンク59±3中GI食品
ポテトチップス56±3中GI食品
うどん55±7低GI食品
スイートコーン52±5低GI食品
バナナ51±3低GI食品
アイスクリーム51±3低GI食品
パスタ49±2低GI食品
いちごジャム49±3低GI食品
オレンジ43±3低GI食品
リンゴジュース41±2低GI食品
ヨーグルト(フルーツ)41±2低GI食品
チョコレート40±3低GI食品
ニンジン(ゆで)39±4低GI食品
牛乳39±3低GI食品
リンゴ36±2低GI食品
豆乳34±4低GI食品
大麦28±2低GI食品
大豆16±1低GI食品

※データは平均±SEM

2008年に発表されたGI値の国際表より作成[5]

GI値

一般的に米やパン、麺といった炭水化物(糖質)を多く含む食品は、比較的GI値の高い食品です。GI値の高い食品というのは、炭水化物(糖質)を多く含む食品と思っていただいて問題ありません。

よく、カロリーが高い食べ物はGI値も高いと勘違いされている方もいますが、間違いです。たとえば、おにぎりと肉では、肉の方がカロリーが高いです。しかしおにぎりの方が炭水化物(糖質)をたくさん含むため、GI値は高くなります。

食べ物カロリー(kcal)炭水化物タンパク質脂質
おにぎり17939.42.70.3
お肉3340.416.527.9

※100gあたりの栄養量

食品成分データベースより作成[4]

まとめ

血糖値が上がりにくい食べ方には、

  1. よく噛むこと
  2. 食べる順番を意識する
  3. GI値

と3つのポイントがありました。

「よく噛むこと」や「食べる順番を意識する」は外食でも実践できる方法です。またGI値については、白い食パンよりもライ麦パンを選んだ方が低く抑えられますし、ごはんに大麦を混ぜて雑穀ごはんにするのも一つの手ではないでしょうか。

ただし、低GI値食品をたくさん摂ったらいいというわけではありません。脂質の摂り過ぎや人間の主なエネルギーである糖質が不足してしまう恐れがあります。なによりも食事のバランスが一番大切です

ほどほどに糖質を摂りながら、低GIである野菜や肉、魚を食べていただけたらよいでしょう。

参考文献

1. Miquel-Kergoat, S., Azais-Braesco, V., Burton-Freeman, B., & Hetherington, M. M. (2015). Effects of chewing on appetite, food intake and gut hormones: A systematic review and meta-analysis. Physiology & behavior, 151, 88-96.

2. Imai, S., Fukui, M., & Kajiyama, S. (2014). Effect of eating vegetables before carbohydrates on glucose excursions in patients with type 2 diabetes. Journal of clinical biochemistry and nutrition, 54(1), 7-11.

3. 矢部大介, 桑田仁司, & 清野裕. (2016). 4. 食後血糖と栄養素摂取の順番. 糖尿病, 59(1), 30-32.

4. 文部科学省. 食品成分データベース.

5. Atkinson, F. S., Foster-Powell, K., & Brand-Miller, J. C. (2008). International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes care, 31(12), 2281-2283.

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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