食物繊維たっぷり「ジャガイモ」の栄養について
年中通して食卓に並ぶジャガイモ。
保存性が高く、煮物や焼き物、フライ、サラダなどさまざまなメニューに活用できる万能食材です。
今回のコラムでは「ジャガイモに含まれる栄養素」について詳しく解説します。
ジャガイモの基本情報
ジャガイモは日本各地で栽培されており、産地によって収穫時期がずれるため年間通して流通しています。日本一の生産量を誇る北海道では夏以降に収穫し、貯蔵されて春までずっと出荷が続くのです。
「新じゃが」は春から夏にかけて収穫されて、貯蔵されることなく出荷されます。そのため皮が薄く、みずみずしいのが特徴です。じゃがバターなど、ジャガイモ本来の味を楽しむ料理に適しています。
日本では一般的に「男爵」と「メークイン」が並んでいますよね。これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
ジャガイモの種類
男爵
男爵は丸くゴツゴツした形をしています。デンプンが多く、ホクホクとした食感に仕上がるためじゃがバターやコロッケ、ポテトサラダにオススメです。
一方で煮崩れしやすく、肉じゃがやカレー、シチューだとジャガイモが溶けてトロっとなることがあります。
メークイン
メークインは楕円形をしています。デンプンが少なく、ねっとりしているのが特徴です。煮崩れしにくく、煮物や煮込み料理に適しています。
ジャガイモの保存方法
ジャガイモは新聞紙などに包んで光を遮断し、風通しのよい冷暗所で保存します。リンゴと一緒に入れておくと、エチレンガスの働きによって発芽しにくいためオススメです。
夏場はとくに芽が出やすいためキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫での保存をオススメします。温度が低すぎると、かえって傷んでしまうため野菜室で保存しましょう。
ジャガイモの栄養価
エネルギー | 76kcal |
タンパク質 | 1.8g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 17.3g |
カリウム | 410mg |
マグネシウム | 19mg |
リン | 47mg |
鉄 | 0.4mg |
亜鉛 | 0.2mg |
ビタミンB1 | 0.09mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.2mg |
ビタミンC | 28mg |
水溶性食物繊維 | 4.9g |
不溶性食物繊維 | 4g |
食物繊維総量 | 8.9g |
100g当たりのジャガイモの栄養価
「食品成分データベース」より[1]作成
炭水化物
ジャガイモの主な成分は炭水化物です。炭水化物は消化されると体内で「ブドウ糖」として吸収されます。ブドウ糖はエネルギー源であり生命を維持するうえでとても大切な栄養素です。
エネルギーとして利用されなかったブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪に蓄えられ、エネルギーが不足してきたら蓄えを利用して生命活動を維持しているのです。
しかしこの蓄えにも限界があります。エネルギーが不足することで疲れたり、頭がぼーっとしたりと注意力が散漫(脳はブドウ糖を大量に消費するため)になるのです。
日本人は主にお米を主食にしていますが、炭水化物が豊富なジャガイモを主食とする国もたくさんあります。
カリウム
ジャガイモにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは細胞内に多く、細胞外に多いナトリウムと互いに作用しながら、体内をよい状態に保つように働いているのです。
食塩を摂りすぎている方は健康のためにも特にカリウムの摂取がおすすめです。また、長時間の立ち仕事で靴がきつくなっている女性などに嬉しい栄養素です。
ビタミンC
ジャガイモは意外にもビタミンCが多い食品です。ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。コラーゲンはタンパク質の1/3を占めている重要なタンパク質。骨や皮膚、血管など身体のいたるところで活躍しています。
また還元成分でもあり身体を守ることから、健康維持のために期待されている栄養素です。
ビタミンCは体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。ジャガイモのビタミンCはデンプンに包まれて存在するため、加熱しても減りにくいといわれています。ビタミンCは水溶性ビタミンであり、水に溶ける性質のためレンジで温めて調理するとビタミンCをたっぷり摂取できるでしょう。
食物繊維
食物繊維は体内で消化・吸収されずに、小腸を通過して大腸に到達し、体内からのキレイをサポートします。食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類され、それぞれ働きが異なります。
不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、野菜類や穀類などに含まれており、シャキシャキとした歯ごたえが特徴的。咀嚼回数が増えることで満腹感を得られやすくなります。また体内で水を吸収しながらカサを増すことで身体を刺激して排泄されます。
水溶性食物繊維は水に溶ける食物繊維で、ネバネバした食事に多く含まれています。体内をゆっくり移動するため、腹持ちがよくなり食べ過ぎ防止となるでしょう。また、ゲル状になることで他の栄養素を巻き込みながらゆっくり移動するため、吸収がゆるやかになります。
成人における1日の食物繊維目標量は男性で21g以上、女性で18g以上が望ましいとされています[2]。しかしながら国民1人あたりの平均摂取量は1日14.4gと不足しているのが現状です[3]。とくに水溶性食物繊維の摂取量が少ないのです。
ジャガイモには水溶性食物繊維が豊富に含まれており、体内からキレイをサポートし、すっきり生活が期待できるでしょう。
まとめ
ジャガイモにはカリウムや食物繊維など、身体にとって嬉しい働きをする栄養素が豊富に含まれていました。
ジャガイモは年中流通しており、食卓に欠かせない食材です。煮物や焼き物、揚げ物、サラダなどアレンジもさまざま。
ぜひ日々の食事に摂り入れてみてくださいね。
参考文献
1. 文部科学省. 食品成分データベース.
2. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版).
3. 厚生労働省. 平成30年「国民健康・栄養調査」.