BCAAを夜に摂取するメリットとデメリット
スポーツのアミノ酸といわれる「BCAA」。BCAAは運動による筋肉のパフォーマンス向上のサポートや、運動後の休養時間の補給として重要であるといわれています。
日々トレーニングに励む方であれば一度は耳にしたことがある、もしくはすでに摂り入れている方も多いのではないでしょうか。
愛用している方にとっても気になるのが摂取タイミング。とくに寝る前は消化に影響はないのか?睡眠の邪魔にならないのか?など気になるポイントは沢山ありそうですね。
今回のコラムでは「BCAAを夜に摂取するメリット・デメリット」について解説します。
BCAAを夜に摂取するメリット
多くのアミノ酸は肝臓で代謝されますが、肝臓で代謝されないBCAAは筋肉に運ばれて活躍します。筋肉をつくる材料の一部となったり、エネルギー源になったりなど幅広い役割を担っているのです。
筋肉はスポーツ時に限らず日中や寝ている間、絶えず細胞分裂を繰り返し、古い細胞を壊して、新しい細胞を作っています。つまり筋肉は常に材料となるアミノ酸を必要とし、日々の食生活でタンパク質を摂り入れることが大切なのです。
寝ている間は栄養素の供給が途絶えるため、身体を分解してエネルギー産生に傾く可能性が高く、夜にBCAAを摂取することは栄養補給として理にかなっているといえるでしょう。
ただし、就寝時に食べ物が胃に残っていると、体は回復よりも消化の働きを優先させてしまいます。なるべく寝る前は、ヨーグルトなどの消化されやすい食品をオススメします。
メリット
- 筋肉の材料となる一部のアミノ酸を胃腸に負担なく摂取できる
BCAAを夜に摂取するデメリット
BCAAだけは不十分
体内で私たちの体をつくるアミノ酸は全部で20種類です。20種類のうちひとつでも欠けると身体はうまく機能しません。とくに体の回復がおこなわれる睡眠中は、20種類のアミノ酸が必要です。
BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンといった3つのアミノ酸からなるため、BCAAだけでは十分でないことも考えられます。そのためにも食事からタンパク質をしっかり摂り入れておきましょう。
BCAAがトリプトファンの邪魔をする?
トリプトファンは、運動後の休息時間にメリットを発揮するといわれています。
- 肉
- 魚
- 大豆食品
- 乳製品
- ナッツ
- 穀類
などさまざまな食品に含まれており、日々の食事から摂り入れたいものです。
ところが脳に存在する際のBCAAはこのトリプトファンとの相性が良くないこともあるのです[1]。スポーツによるパフォーマンス向上を目指す方に、BCAAは重要です。一方で、運動後の休息時間においては、トリプトファンがおすすめなのですが、BCAAに偏ることでこれらに影響が出るかもしれません。
トリプトファンとBCAAは脳内では、専用の車(輸送体)をシェアしています。BCAAに偏っているとトリプトファンが車に乗れなくなるため、トリプトファンのメリットが思うように生かせない可能性もあるのです。
デメリット
- 筋肉の材料には20種類のアミノ酸が必要で、BCAAだけでは十分ではない
- 夜や休息時間に有用なトリプトファンとの相性が良くない可能性も
まとめ
今回はBCAAを夜に摂取することによるメリットとデメリットをご紹介しました。
メリット・デメリットともにありますが、目的によって捉え方や体感は異なるでしょう。メリット・デメリットを正しく知り、自身の体と相談しながら活用してみてください。
参考文献
1. Blomstrand, E. (2006). A role for branched-chain amino acids in reducing central fatigue. The Journal of nutrition, 136(2), 544S-547S.