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BCAAは効果なし?正しく知ろう「BCAA」

坂口 真由香
最終更新日:2021.03.04
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

トレーニングをはじめてこだわりたくなるのが「アミノ酸」。さらなるトレーニング効果を期待してBCAAに手を出すか出さまいか?迷っている方も多いのではないでしょうか?

またすでにBCAAを愛用している方の中には、「期待したよりも効果がなかった」と感じている方もいるようです。

さまざまな見解があるBCAA、今回のコラムでは「BCAAの効果とあまり期待できない効果」について整理していきましょう。

BCAAに期待できる効果

必須アミノ酸に属するバリン、ロイシン、イソロイシン。これら3つのアミノ酸は枝分かれ構造の特徴から、分岐鎖アミノ酸あるいはBCAA(branched-chain amino acid)と呼んでいます。BCAAは体内で合成できないため、食事から摂り入れなければなりません。

多くのアミノ酸は肝臓で代謝されます。しかしBCAAは肝臓でほとんど代謝されず、主に筋肉で代謝されます。よって筋肉のエネルギーとして働いたり、成長に関わるといわれており、スポーツで注目されているアミノ酸なのです。報告されている効果はいくつかあり、その効果を期待して摂り入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら効果については、さまざまな意見や報告があり、摂り入れている方の中にも効果を体感している方とそうでない方がいらっしゃるようです。それでは現在報告されているBCAAの効果についてみていきましょう。

筋肉の成長をサポート・筋肉の分解を防ぐ

アミノ酸の中でもBCAAの多くは筋肉で代謝されるため、筋肉のエネルギー源や材料として主に利用されています。よって筋肉の成長をサポートしたり、分解を抑制する働きがあるといわれているのです。とくにBCAAの中でもロイシンが筋肉の合成を促進するスイッチ役として注目されています。

しかしながらBCAAやロイシンだけでは筋肉の成長は期待できないという意見もあります。その理由のひとつに、筋肉はBCAAに限らずそのほかのアミノ酸も必要とするからです。ある研究ではロイシンを単体で摂取するよりも、必須アミノ酸と一緒に摂取したほうがタンパク質の合成が高まったと報告されています[1]

BCAAは筋肉で特異的に働きますが、ほかのアミノ酸も十分に充足していることが大前提でしょう。もしBCAAの効果を体感できていないなら、ほかのアミノ酸が足りているかどうかのチェックが必要かもしれません。

疲労回復のサポート

疲労の軽減にアミノ酸は効果的であることが知られています。一説によると、長時間の運動で血液中のBCAAが低下することで、脳内にアミノ酸の一種であるトリプトファンが入り、疲労を感じてしまうというといわれています。そこでBCAAを摂取すると、脳内に入るトリプトファンの量を減らす可能性があると期待されています[2]

32時間にのぼるオフショアセーリングレースの研究では、BCAAを補給したグループと補給しなかったグループで、体力についてはどちらのグループも変化ありませんでした。しかしながら補給しなかったグループは短期記憶が低下したのに対して、BCAAを摂取したグループでは短期記憶の低下はみられませんでした[3]

また疲労回復は、アミノ酸に限らず運動によって減ったグリコーゲン(エネルギー源)の回復も重要なポイントです。バリンやイソロイシンは筋肉へのグルコース(ブドウ糖)の取り込みを刺激し、骨格筋のグリコーゲン含有量を増加させる可能性があるといわれています[4]

疲労回復にはBCAAだけでは十分でないようですね。ブドウ糖(炭水化物)をあわせて摂取することも疲労回復のポイントでしょう。もしBCAAによる疲労回復効果を体感されていない場合、炭水化物の補給が十分かどうかチェックするのもよいかもしれません。

筋肉痛の軽減

トレーニングをすると否応なしにやってくるのが筋肉痛。筋肉痛を回避する目的でBCAAを摂取している方もいらっしゃるのではないでしょうか。トレーニング(スクワット)をする前にBCAAを摂取することで、筋肉の損傷を抑制する可能性があると報告されています[5]

一方、筋肉痛を抑制する効果は期待できないという意見もあります。男女を対象におこなった研究では、男女ともにBCAAを摂取してトレーニングをおこない筋肉痛のレベルを測定した結果、女性については筋肉痛が軽減できました。しかしながら男性については効果がありませんでした。このことから論文の筆者は、体重あたりのBCAAの量を検討する必要があると述べています[6]

BCAAには筋肉痛の抑制効果が期待されています。しかしながら性別や個々の体型によって効果の感じ方が異なることを認識しておく必要があるかもしれません。

体脂肪の減少

タンパク質が多く、炭水化物が少ない食事は、体脂肪を減らすと知られています。よってダイエット中はタンパク質を意識して食べることもあるでしょう。

ある仮説で「タンパク質の中でもバリン、ロイシン、イソロイシンといったアミノ酸(BCAA)が関与しているのではないか?」という意見があります。つまりBCAAを摂取することで体重増加を防いだり、体脂肪率の減少を期待できるかもしれないのです。

日本を含む東アジアと西洋の成人を対象とした大規模な研究では、BCAAの摂取量と肥満は逆相関しており、BCAAの摂取が少ない人ほど肥満であったと報告されています[7]。しかし詳細な因果関係については更なる研究が必要といわれています。

またトレーニング経験のある男性を対象にした研究では、8週間トレーニングプログラムを実行しながら、BCAAとスポーツドリンクを飲むグループに分かれて検証しました。結果、BCAAのグループがもっとも体脂肪率の低下、除脂肪体重の増加をもたらしました。さらにウェイトトレーニングにおける最大反復回数の強度が向上したと報告されています[8]

一方でトレーニング経験のない男性を対象にした研究によると、8週間BCAA(9g/日)を運動前後に補給しながら筋力トレーニングを実施しました。しかしながら体組成や筋肉のパフォーマンスに変化は見られらなかったと報告されています[9]

BCAAと体重減少や体脂肪については見解に一貫性がなく、さらなる研究が待たれるところです。一貫性がない理由のひとつに食事の影響が考えられます。BCAAはさまざまな食品に含まれており、通常の食事をしていれば不足しにくいといわれています。逆を言えば、食事の影響を考慮しなければ、BCAAの本来の効果を検証しにくいのです。

まとめ

タンパク質のピラミッド

BCAAに関する報告には、効果があるという見解と効果はないという見解があるようです。私たちが栄養素の効果を期待する場合、研究結果を鵜呑みにすることはオススメできません。人種や性別、年齢、トレーニング、食事の内容などまったく同じ条件ではないことを認識しておくことも大切です。

また栄養素は単独で働いていません。さまざまな栄養素が助け合い生命活動を維持しています。今回ご紹介したBCAAはピラミッドに例えると頂点。土台となる食生活がボロボロであれば、いくらBCAAを投入したところで、うまく機能しないか限界があるでしょう。

さらに日々のコンディションは食生活に限らず、運動や休養の影響が大きいと考えられています。またBCAAサプリメントはあくまでも補助的なものであり、圧倒的な効果を期待するものではありません。圧倒的な効果を期待したい場合、食事や運動といった日常生活を見直すことからはじめてみてはどうでしょうか。

参考文献

1. Escobar, J., Frank, J. W., Suryawan, A., Nguyen, H. V., & Davis, T. A. (2007). Amino acid availability and age affect the leucine stimulation of protein synthesis and eIF4F formation in muscle. American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 293(6), E1615-E1621.

2. Blomstrand, E. (2006). A role for branched-chain amino acids in reducing central fatigue. The Journal of nutrition, 136(2), 544S-547S.

3. Portier, H., Chatard, J. C., Filaire, E., Jaunet-Devienne, M. F., Robert, A., & Guezennec, C. Y. (2008). Effects of branched-chain amino acids supplementation on physiological and psychological performance during an offshore sailing race. European journal of applied physiology, 104(5), 787-794.

4. Morifuji, M., Koga, J., Kawanaka, K., & Higuchi, M. (2009). Branched-chain amino acid-containing dipeptides, identified from whey protein hydrolysates, stimulate glucose uptake rate in L6 myotubes and isolated skeletal muscles. Journal of nutritional science and vitaminology, 55(1), 81-86.

5. Shimomura, Y., Inaguma, A., Watanabe, S., Yamamoto, Y., Muramatsu, Y., Bajotto, G., … & Mawatari, K. (2010). Branched-chain amino acid supplementation before squat exercise and delayed-onset muscle soreness. International journal of sport nutrition and exercise metabolism, 20(3), 236-244.

6. Leahy, D. T., & Pintauro, S. J. (2013). Branched-chain amino acid plus glucose supplement reduces exercise-induced delayed onset muscle soreness in college-age females. ISRN nutrition, 2013.

7. Qin, L. Q., Xun, P., Bujnowski, D., Daviglus, M. L., Van Horn, L., Stamler, J., & He, K. (2011). Higher branched-chain amino acid intake is associated with a lower prevalence of being overweight or obese in middle-aged East Asian and Western adults. The Journal of nutrition, 141(2), 249-254.

8. Stoppani, J., Scheett, T., Pena, J., Rudolph, C., & Charlebois, D. (2009). Consuming a supplement containing branched-chain amino acids during a resistance-training program increases lean mass, muscle strength and fat loss. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 6(1), 1-2.

9. Spillane, M., Emerson, C., & Willoughby, D. S. (2013). The effects of 8 weeks of heavy resistance training and branched-chain amino acid supplementation on body composition and muscle performance. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10(1), P25.

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
この記事を書いた人
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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