GL値とは?GI値との違いと食べ物一覧
昨今の健康ブームで糖質や血糖値を気にされる方が多い中、低糖質食品や低GI食品といったワードをよく耳にするようになりました。
GI値については、日本で数年前にブームが起こり、今なお低GI商品をよく見かけGI値が定着しているのではないでしょうか。
一方海外では、「GL値」が主流となってきています。海外セレブやアスリートが意識している数値として雑誌やメディアで紹介されており、「GI値よりもGL値」という流れになってきているのです。
GL値を知ることで、「血糖値が上がりにくい食べ方」や「太りにくい食べ方」をさらに追及できるかもしれません。
こちらの記事では、そんなGL値についてGI値と比較しながら説明していきましょう。
GL値の存在意味
血糖値が上がるメカニズムは、下記コラムでふれていますのでこちらでは簡単に説明します。
食事をして血糖が上昇すると、インスリンによって臓器へ糖が取り込まれることで血糖値が正常ラインまで下がります。
しかしながらインスリン分泌量が少なかったり、分泌のタイミングが遅いと血糖値が急激に上昇してしまいます。またインスリンの分泌に関係なく、血糖値の上がりやすい食べ方をしていると肥満や身体の不調につながりかねません。
このように高血糖の要因にはいくつかありますが、なるべく血糖値の上がりにくい食品を選択することで回避できるという考えからGI値が誕生しました。ここでは、GI値の詳細についてはふれませんが、GI値とは「ある食品を炭水化物量50g分食べたときの血糖値の上がり具合を、ブドウ糖摂取したときを基準(100)にして数値化したもの」です。
しかしながらGI値には少し落とし穴があります。
それは、私たちが一般的に食べる1食量を加味していないことです。上記コラムで紹介しましたが、人参を炭水化物50g分摂取しようとすると6本食べることになります。普段、1食で人参6本を食べることはありますか?おそらくないですよね……。
そこで、普段食べている1食の量を踏まえて数値化した「GL値」の考え方が出てきたのです。
GL値とは?
GL値とは、「Glycemic Load(グリセミックロード)」の略です。GI値と同様に数値で示されており、GI値と大きく異なるのは、「普段食べる1食量を想定している」ことです。下記の式でGL値と求められます。
GL値=食品に含まれる炭水化物の量(g)×GI値÷100
さらにGI値と同様に、GL値にも10以下の食品を「低GL」、11~19を「中GL」、20以上を「高GL」と定義されています。
食べ物のGL値
下にGL値の国際基準表を参考に作成した表をまとめました。
いかがでしょうか。カレーライスやパスタ、アイスなどGI値では中・低に該当していた食品が、GL値になると高GL食品に該当するものがありますね。GI値だけを信じて食べていると高血糖やダイエット失敗の恐れがありそうですね。
たまに「GI値やGL値の値がサイトによって異なります。どうしてですか?」と質問を受けます。実際、国際基準表にも2,000を超える食品のGI値、GL値が掲載されており、パン1つとっても数値はまちまちです。それにはいくつかの理由が考えられます。
まずはパンでも全粒粉なのか、焼いたのか、フレンチトーストにしたのか、どのメーカーなのか?とそれぞれの状況で異なることです。また産地の違いや研究状況がまったく同じ環境でないことなどさまざまです。
GL値は一般的に1回で摂取する量から計算されています。よって一般的な量よりも多く食べた場合どうなるかはわかりません。参考値として活用していくことが大切なのです。
さらに低GL食品ばかりに固執することもあまりよくありません。高GL食品は、糖質を多く含む食品に多く、糖質はエネルギー源であり頑張った後のコンデション維持にも有用です。よってアスリートの中には好んで高GI食品を選択する人もいます。必要以上に摂取することはよくありませんが、正常ラインを保つためにも糖質の補給は必要です。
さらにチョコレートやポテトチップスなどの菓子類は、白米や芋に比べるとGL値は低いですが、飽和脂肪酸が多いことを忘れてはいけません。GI値やGL値は、白米などと比較すると低めかもしれませんが、脂質の摂り過ぎによるリスクもあることを知っておくことが大切です。
食品名 | 分類(GL値) | GL値 | 分類(GI値) | GI値 | 提供量※ | 提供量に対する食品の目安量 | 炭水化物量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
カレーライス | 高GL食品 | 41 | 中GI食品 | 67 | 150g | お茶碗1膳 | 61g |
アイスクリーム | 高GL食品 | 33 | 中GI食品 | 61 | 100g | 市販カップアイス1個 | 54g |
白米+玄米(2:1) | 高GL食品 | 30 | 中GI食品 | 67 | 150g | お茶碗1膳 | 44g |
うどん | 高GL食品 | 30 | 中GI食品 | 62 | 180g | 2/3玉 | 48g |
白米 | 高GL食品 | 28 | 高GI食品 | 73 | 150g | お茶碗1膳 | 38g |
ベーグル | 高GL食品 | 24 | 中GI食品 | 69 | 70g | 1個 | 35g |
玄米 | 高GL食品 | 22 | 低GI食品 | 54 | 150g | お茶碗1膳 | 41g |
ピザ(チーズ・トマト・ソース) | 高GL食品 | 22 | 高GI食品 | 80 | 100g | 1ピース(直径20cm) | 27g |
マカロニ(5分ボイル) | 高GL食品 | 22 | 低GI食品 | 45 | 180g | 2/3皿 | 49g |
パスタ | 高GL食品 | 22 | 低GI食品 | 46 | 180g | 2/3皿 | 48g |
サツマイモ(ゆで) | 高GL食品 | 22 | 高GI食品 | 70 | 150g | 1/2本 | 32g |
おにぎり | 高GL食品 | 21 | 高GI食品 | 80 | 75g | コンビニおにぎりより小さめ | 26g |
酢飯 | 高GL食品 | 20 | 低GI食品 | 55 | 100g | 5貫 | 37g |
スイートコーン | 高GL食品 | 20 | 低GI食品 | 55 | 150g | 1本(可食部) | 33g |
ジャガイモ(ゆで) | 高GL食品 | 20 | 高GI食品 | 78 | 150g | 大1個 | 26g |
コーンフレーク | 中GL食品 | 19 | 高GI食品 | 74 | 30g | 1カップ | 25g |
ジャガイモ(マッシュ) | 中GL食品 | 17 | 高GI食品 | 87 | 150g | 大1個 | 20g |
ジャガイモ(フライドポテト) | 中GL食品 | 16 | 低GI食品 | 54 | 150g | 大1個 | 29g |
バナナ | 中GL食品 | 16 | 中GI食品 | 62 | 120g | 1本(可食部) | 24g |
リンゴジュース | 中GL食品 | 13 | 低GI食品 | 44 | 250ml | ミニパック約1本分 | 30g |
はちみつ | 中GL食品 | 13 | 中GI食品 | 60 | 25g | 大さじ1杯 | 21g |
大麦 | 中GL食品 | 12 | 低GI食品 | 28 | 150g | お茶碗1膳 | 42g |
チョコレート | 中GL食品 | 12 | 低GI食品 | 43 | 50g | 板チョコ2/3枚 | 28g |
ポテトチップス | 中GL食品 | 12 | 低GI食品 | 51 | 50g | 市販スナック1袋 | 24g |
食パン(白い) | 低GL食品 | 10 | 高GI食品 | 75 | 30g | 6枚切り1/2枚 | 13g |
豆乳 | 低GL食品 | 8 | 低GI食品 | 44 | 250ml | ミニパック約1本分 | 17g |
かぼちゃ(ゆで) | 低GL食品 | 6 | 中GI食品 | 64 | 80g | 1/8個 | 9g |
リンゴ | 低GL食品 | 6 | 低GI食品 | 39 | 120g | 1/2個 | 16g |
パイナップル | 低GL食品 | 6 | 中GI食品 | 66 | 120g | 1/6個 | 10g |
牛乳 | 低GL食品 | 5 | 低GI食品 | 41 | 250ml | ミニパック約1本分 | 12g |
オレンジ | 低GL食品 | 4 | 低GI食品 | 40 | 120g | 小1個(可食部) | 11g |
カシューナッツ | 低GL食品 | 3 | 低GI食品 | 25 | 50g | 30粒 | 12g |
ニンジン(ゆで) | 低GL食品 | 2 | 低GI食品 | 39 | 80g | 小1本 | 6g |
ヨーグルト | 低GL食品 | 2 | 低GI食品 | 19 | 200g | 大型カップの半量 | 7g |
大豆(ゆで) | 低GL食品 | 1 | 低GI食品 | 15 | 150g | 1カップ | 6g |
※提供量とはGL値、GI値を求める研究で一般的な摂取量として使用された量
2008年に発表されたGI値の国際表より作成[1]
まとめ
いかがでしたか?1食で食べる量が加味されていることで、より身近に取り入れやすいのではないでしょうか。
残念ながら日本では「GL値」についてあまり知られていないのが現状です。今回参考にした国際基準表に掲載されているGL値の多くが、アメリカやオーストラリアなど栄養学の最先端をいく国々の研究です。今後、日本においても発展していくといいですね。
血糖値を上げにくい食べ方は、GI値やGL値だけでなく、早食いを避けたり、野菜から食べるなど他にも工夫できることはあります。最終的には食事のバランスが大切で、炭水化物、タンパク質、脂質どれも人体にとって大切な栄養素です。バランスを保ちながらGL値を参考にしていただけると、よりよいのではないでしょうか。
参考文献
1. Atkinson, F. S., Foster-Powell, K., & Brand-Miller, J. C. (2008). International tables of glycemic index and glycemic load values: 2008. Diabetes care, 31(12), 2281-2283.