すっきり生活の味方?難消化性デキストリンについて解説
難消化性デキストリンにさまざまなメリットを期待される中、すっきり生活をめざして摂り入れている方もいるようです。
しかしながら「毎朝すっきり感を感じている」、「まったく変化がなかった」など意見はさまざま。はたして難消化性デキストリンはすっきり習慣の味方となるのでしょうか?
今回は「難消化性デキストリンとすっきり生活」について紐解いていきましょう。
難消化性デキストリンとは
デキストリンとは日本語で「デンプン」のこと。つまり難消化性デキストリンとは「消化されにくいデンプン」のことです。
もともとトウモロコシなどの穀類や熟した果物などに含まれ、化学技術の力を使って消化されにくい成分だけを取り出したものが難消化性デキストリンです。
難消化性デキストリンの特徴
一般的に人間の体で消化されない栄養素を「食物繊維」といいます。難消化性デキストリンは食物繊維に該当し、水に溶けやすい性質から水溶性食物繊維に分類されます。
食物繊維は消化されませんが、0kcalではなく、0~2kcal/g程度はあるようです。(難消化性デキストリンのカロリーは1kcal/g)
難消化性デキストリンの働き
難消化デキストリンは胃ではほとんど吸収されません。小腸で約10%吸収され、大腸で約50%発酵などに利用され、約40%はそのまま排泄されます。
主にダイエット中の方や糖や脂肪が気になる方のお食事の+αとして有用であるといわれています。
難消化性デキストリンはすっきり生活の味方
腸内には100兆個を超える腸内細菌が存在します。善玉菌や悪玉菌、日和見菌といった菌があり、それらの菌がバランスを保ちながら腸内環境を維持しているのです。
善玉菌は健康な身体にとって良い働きがありビフィズス菌や乳酸菌などが該当します。一方、悪玉菌とは善玉菌を邪魔する菌のことで、大腸菌やウェルシュ菌などが該当します。
日和見菌はどっちつかずな菌で、善玉菌と悪玉菌の優勢なほうの味方をする菌です。つまり善玉菌を増やすように働きかければ、日和見菌も味方にできるのです。
そこで登場するのが「難消化性デキストリン」。難消化性デキストリンを含む食物繊維は、善玉菌の好物です。消化されない食物繊維は大腸に到達すると、腸内細菌によって発酵され、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が生成されます。
また、短鎖脂肪酸は大腸で重要な働きをしています。
- 善玉菌が好み、悪玉菌が嫌いな酸性である
- 身体の保護に役立つ
- エネルギー源
- 変化に対応する身体づくりのサポート
これらの働きに加えて、快調な毎日に役立つ働きもあるといわれています。そうすることですっきり生活にもつながるというわけです。
また難消化性デキストリンの安全性を確認する研究もおこなわれており、安心して摂取できます。しかし過剰摂取した場合、稀に一過性の下痢やお腹のハリなどがあるようです[1]。自身の身体の状態と相談しながら活用するとよいでしょう。
日本人の食物繊維不足は深刻
それでは食物繊維をどれくらい食べたらいいかご存じでしょうか?
食物繊維の1日の目標摂取量は女性18g以上、男性21g以上(ともに18~64歳の場合)です[2]。厚生労働省の報告によると1日の平均摂取量は14.4gと目標に到達していません[3]。
毎朝すっきりできずお悩みの方は、食物繊維量が不足しているのかもしれません。ちなみにお隣韓国の食物繊維摂取量は日本の摂取量を上回っています。とくに野菜の消費量は500g/日(日本:281g/日[3])を超えているといわれ、世界でもトップクラス。美しさの秘密は、食物繊維にあるのかもしれません。
食餅繊維不足は、すっきり生活だけでなく、美容のトラブルも起こしかねません。
とくに今回ご紹介した難消化性デキストリンを含む水溶性食物繊維は、不足しているといわれています。水溶性食物繊維は、
- 大麦
- 豆
- きのこ
- 海藻
- 果物
などに豊富に含まれています。まずこれらを毎食摂り入れるところからはじめてみましょう。
まとめ
難消化デキストリンはすっきり生活の味方となってくれるかもしれません。ただし難消化デキストリンを食べるだけでは不十分と言えます。食物繊維はもちろん、水分の補給や適度な運動によって腸を動かすことも大切です。
残念ながら、腸内環境のバランスはそう簡単に変化してくれません。毎日の継続が健康的な身体を手に入れる近道となるでしょう。
参考資料
1:Watanabe, N., Suzuki, M., Yamaguchi, Y., & Egashira, Y. (2018). Effects of resistant maltodextrin on bowel movements: a systematic review and meta-analysis. Clinical and experimental gastroenterology, 11, 85.
2:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版).
3:厚生労働省 平成30年「国民健康・栄養調査」.