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EAAとBCAAの違い!アミノ酸界のツートップを理解しよう

前田 修平
最終更新日:2020.12.24
グロング専属 鍼灸師

スポーツや音楽など、業界を代表する人物には必ずライバルといっていい存在がいますよね。それぞれに特徴や魅力を持っていて、ファンの間で「どちらが優れているんだ?」と議論が白熱することもあります。

アミノ酸界におけるツートップは「EAA」「BCAA」でしょう。名前は聞いたことがあるけど、なにが違うのかわからないという方も多いはず。

このコラムで「EAA」「BCAA」それぞれの成分や役割などを比較して、理解を深めていきましょう。

必須アミノ酸について

アミノ酸20種類

必須アミノ酸は体内で合成することのできない栄養素で、体外から摂取する必要があります。身体を構成する20種のアミノ酸のうち9種類が該当します。

  1. バリン
  2. ロイシン
  3. イソロイシン
  4. ヒスチジン
  5. リジン(リシン)
  6. メチオニン
  7. フェニルアラニン
  8. スレオニン(トレオニン)
  9. トリプトファン

EAAとBCAAはいずれも必須アミノ酸のため、身体の機能を構成する際に欠かせない成分を含んでいます。

2つのアミノ酸はそれぞれの頭文字をとった略称です。EAAは必須アミノ酸を英語で表現しています。タンパク質も英語ではプロテインですよね。BCAAは日本語で分岐鎖アミノ酸といい、アミノ酸の構造が枝分かれをしていることが由来です。

EAAとBCAAの違い

EAAとBCAAの違い

成分の違い

前述したように、EAAは必須アミノ酸を表します。アミノ酸の中でもとくに欠かせない9種類で、身体の成長や組織の修復、免疫の維持、ホルモンや神経伝達物質の産生など代謝にかかわる重要な役目をもっています。

このうちスポーツの現場で意見が分かれるのが「トリプトファン」です。トリプトファンは体内でセロトニンというホルモンの材料となります。就寝前にホットミルクを飲むと入眠がスムーズになりやすいなど、精神を落ち着かせたり身体をリラックスさせる作用があるため、運動など神経や肉体を興奮させるような場合には適さないとする意見もあるようです。

一方でBCAAは、必須アミノ酸のうち「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3種類からなります。BCAAは筋タンパク質中の必須アミノ酸の35%を占めています[1]

BCAAは主に筋肉で代謝されるため、運動中のエネルギー源として機能するほか、筋肉の合成を促進したり、筋分解の抑制にも関わっています。とくにロイシンには、筋肉の減少や疲労の抑制、幼児期の成長、体内の窒素バランスを一定に保つなどの役割があります[2]

役割の違い

身体をひとつの家としてとらえてみましょう。家を建てたり、修繕したりするには土地や材料、大工さんや機械が必要ですよね。必須アミノ酸は家を建てる際の基礎にもなれば、材料にもなり、大工さんにもなります。

EAAは必須アミノ酸9種類すべてですから、身体を作るのに必要なものが不足なくそろっている状態です。家を建てるときに、大工さんと材料の両方が必要になりますよね。

身体づくりに欠かせない中心となる材料が必須アミノ酸。大黒柱のように大きな骨組みや土台となる基礎工事のようなものでしょうか。頑丈な木材や鉄筋コンクリートのような素材は、紙やガラスでは役割が務まりませんよね。「他の材料では決して替えが効かないもの」と考えましょう。

BCAAはEAAの中にも含まれており、言わば大工さんです。大工さんがいなければ家は建ちませんが、大工さんは材料がなければ家を建てられません。

BCAAは体内において、mTOR(エムトール)と呼ばれる筋肉合成のための神経伝達経路を活性化させる号令になります。BCAAの濃度が高まる(大工さんが仕事をする)ことをキッカケに、筋肉の合成が盛んになる(家が建つ)というわけです。

ただしBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)だけでは筋肉を合成できません。20種類のアミノ酸が不足していると、身体は体内の別の場所から分解してアミノ酸を捻出し、必要な部分にあてようとします。文字通り「身を削っている」わけですね。

BCAAがうまく機能するのは、あくまでも「身体を作る材料であるアミノ酸を十分に摂取できている」ことが前提になります。食事のバランスが崩れているとあまり意味がないのです。

目的の違い

EAAやBCAAを摂取する目的はなんでしょうか。体内での作用に違いはあるにしろ「代謝をスムーズにする」という点は共通のポイントでしょう。それぞれの特徴をしっかりと活かすには、すべてのアミノ酸が機能するのに必要十分な量を摂取することが大切です。

身体がアミノ酸を大量に必要とするとき

上記のような理由があると、身体は傷ついた部分を修復する際にアミノ酸を利用します。

ここまでの説明ですでにおわかりのように、必須アミノ酸は体内では合成できません。不足すると身体の代謝がスムーズに回らなくなります。毎日の食事でタンパク質不足の可能性がある方は、身体がストレスに対抗しようと頑張っているのにうまくいかない事態になってしまうのです。基本の食事が大切であることは言うまでもありません。

続いてはトレーニングに関する役割について以下の表を見比べてみましょう。

2つの違いEAABCAA
合成筋肉の合成を促進
中にBCAAも含まれている
筋肉の合成のシグナル
単体では合成しない
エネルギーBCAA単体よりは少ないがエネルギーにはなる筋肉自体のエネルギーとして働く
回復組織全体の回復に使われるとくにグリコーゲンの回復に寄与
集中力BCAA単体よりは少ないが同様の役割セロトニンが脳内に入るのを抑制
リラックス状態にならずに運動継続

EAAの中にはBCAAを含むすべての必須アミノ酸が含まれます。EAAと比較するとBCAAは目的が限定的になりますね。合成のキッカケづくり、運動のエネルギーや集中力の維持、速やかな回復など、用途の目的を明確にしておかないとアミノ酸の働きを活かすことは難しいかもしれません。

どんなものであれ、その栄養素がもつ特徴と身体への影響をしっかりと理解して利用しましょう。

まとめ

とある大手ハウスメーカーが家を新築する際、材料を工場である程度の段階まで作りこんでおいて、実際の土地に据え付けるだけ。なんとたった1日で家が建ってしまうのです。製造工程を簡略化すれば、大規模な工事も短時間で可能になるんですね。

EAAのように身体を作るために必要な栄養素と、BCAAのように身体を作るにあたってある役割に特化した栄養素がうまくバランスをとっていることで、はじめて代謝はうまく回ります。いくら「大(EAA)は小(BCAA)を兼ねる」といっても、優秀な大工さんのいない建築現場はうまく回りませんよね。

より質の高い代謝のために、バランスのよい食習慣を心がけましょう。

参考文献

1. Yoshiharu Shimomura, Taro Murakami, Naoya Nakai, Masaru Nagasaki, Robert A. Harris, Exercise Promotes BCAA Catabolism: Effects of BCAA Supplementation on Skeletal Muscle during Exercise, The Journal of Nutrition, Volume 134, Issue 6, June 2004, Pages 1583S–1587S,

2. 国立健康・栄養研究所. 健康食品の安全性・有効性情報. 閲覧2020-12-17, https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail633lite.html

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前田 修平 グロング専属 鍼灸師
この記事を書いた人
グロング専属 鍼灸師

GronG TEAM GEAR(チームギア)所属の鍼灸師。鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。

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