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EAA(必須アミノ酸)とは?身体における役割と必要性

前田 修平
最終更新日:2022.07.01
グロング専属 鍼灸師

「息をする」や「まばたきをする」など、当たり前過ぎて意識しないことってありますよね。なにかを失ったときに、はじめて気づくことがあります。

身体における代謝は、日々当たり前のように体内でおこなわれている生命活動のため、特別に意識をすることは少ないかもしれません。

今回はそんな「身体の当たり前」を支えている必須アミノ酸(EAA)の話。生きるためには誰もが必要で、大切なものについて紐解いていきましょう。

EAA(必須アミノ酸)とは

EAAは「Essential Amino Acid」の略で、日本語では「必須アミノ酸」を指します。Essentialには「重要」や「肝心」という意味があります。

なにがそんなに大切なのかというと、EAAはヒトの体内では作れないアミノ酸なのです。そのため日々の食事から摂取する必要があります

身体を構成するアミノ酸は全部で20種類あり、この内必須アミノ酸は9種類です。必須アミノ酸が多く含まれる食品は肉や魚、鶏卵、大豆などで、タンパク質豊富な食材を摂り入れることで摂取できます。

よほどの偏食をしない限り、基本的には3度の食事で補えるといわれています。

身体を作るアミノ酸20種類

必須アミノ酸(9種類)

  1. バリン
  2. ロイシン
  3. イソロイシン
  4. ヒスチジン
  5. リジン(リシン)
  6. メチオニン
  7. フェニルアラニン
  8. スレオニン(トレオニン)
  9. トリプトファン

EAA(必須アミノ酸)はなぜ“必須”なのか?

EAA(必須アミノ酸)は体内に入った後、どのような役割をはたすのでしょうか。前述したようにヒトの身体は、20種類のアミノ酸で構成されています。これらのアミノ酸が身体のサイクルをスムーズにサポートしています。

体重のうち約15%を占めるといわれているタンパク質。もちろん個体差があり、平均的な成人男性であればおおよそ10kg程度にあたります。

個体差や運動量にもよりますが、体内のタンパク質は毎日約180g~300g、一度アミノ酸に分解。そして別のタンパク質(筋肉や皮膚、爪、髪の毛など)を合成するために再利用されたり(同化作用)、生理活性物質やホルモンのもとになったり、エネルギー源として活用されています。そのうちの約50gほどは、分解されると糞便中のアンモニアとなり、体外に排出されます(異化作用)[1]

他にも15g~20g程度は、うまく吸収されなかったものが排出されるため、なにも食べないとおおよそ70gのタンパク質が不足します。 この量は厚生労働省が推奨する「一日のタンパク質摂取量」とほぼ一致しているのです。

食事によるアミノ酸の補給がないと、自らの筋肉を分解して再利用に再利用を重ねた、古いアミノ酸を使いまわすことになります。 つまり代謝におけるアミノ酸の不足分を食事から摂取することで、常に新しいアミノ酸を確保しておく必要があるのです。

食事から摂取したアミノ酸は、血液中に放出され、遊離アミノ酸として身体のサイクルに関わっています。

タンパク質の代謝回転

株式会社ヤクルト「ヘルシスト」より作成[1]

上記の再合成の過程で、とくにEAA(必須アミノ酸)は体内で作り出せないため、食事から補うことが求められるのです。

EAA(必須アミノ酸)の働き

バリン

バリンは運動による筋肉の成長と組織の修復の際に必要な材料であり、運動中のエネルギー補給として重要で、それと同時に、リラックス状態の休息時間などにも有用です[2]

ロイシン

ロイシンは丈夫な身体づくりや、サイクルサポートとして重要です。また筋骨格組織の構成成分で、成長時に必要となり、ハードなトレーニングや運動後のケアとしても役立ちます[3]

イソロイシン

イソロイシンは忙しい方や運動をしている方のエネルギー補給として役立ち、身体のサイクルのサポートをおこないます。また、バリン・ロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸)を構成しています[4]

ヒスチジン

ヒスチジンは、とくに子どもの成長時に必要なアミノ酸です。丈夫な身体を維持し、放射線や重金属による外的刺激から保護するという役割もあります[8]

リジン(リシン)

リジン(リシン)は健康的な身体を維持し、成長時や環境における刺激など負けない身体づくりをサポートします[10]

リジンはカルシウムとの相性がよく、カルニチンやコラーゲンの材料としては不可欠です。コラーゲンは無理してトレーニングを頑張ってしまった方の潤滑油として有用です。

メチオニン

メチオニンは、成長時や運動後の補給に必要になります。とくに髪や爪の構成要素にもなり、柔軟性が高く、美容においても効果的です。また。エイジングケアとしても優秀で、めぐりよい身体づくりのサポートもします[7]

フェニルアラニン

フェニルアラニンは、他のアミノ酸の材料としても重要な役割をはたしており、多くのタンパク質や酵素の構造に寄与しています。フェニルアラニンはチロシンに変換され、ドーパミンおよびノルエピネフリンなどの神経伝達物質の合成にも使用されます[5]

スレオニン(トレオニン)

スレオニン(トレオニン)は歯のエナメル質やコラーゲン、エラスチンなど多くのタンパク質の重要な構成要素です。脂肪が気になる方や、食べることが好きな方におすすめです。また、仕事や家事などで忙しく、余裕のない方の日々のサポートとしても役立ちます[6]

トリプトファン

トリプトファンは、体内で5-ヒドロキシ-トリプトファン(5-HTP)の材料となり、さらに神経伝達物質であるセロトニンに変換されます[9]。つまり、トリプトファンはリラックスやリフレッシュのための休息時間におすすめです。

EAA(必須アミノ酸)はどれかひとつかけてもダメ

身体の重要な構成要素であり、成長時の補給や環境変化に負けない身体づくりのサポート、さらには休息時間にも重要な働きをすることから、どれかひとつが欠けても身体に影響が出てしまうことは容易に想像できますよね。

タンパク質の語源は「最も重要なもの」というギリシャ語から来ていますが、EAA(必須アミノ酸)はさらに必要度の高い9種類だとおわかりいただけましたか。

まとめ

身体には生き延びるための知恵が備わっており、栄養が不足したら自分の身体を分解して生命を保とうとします。非常に優れたメカニズムですよね。

しかし大切な身体には、できるだけ負担をかけたくないものです。EAA(必須アミノ酸)は、日常生活の食事である程度は補えるものですが、活動量に応じて必要な量が変化するものでもあります。

自分はいったいどれだけのタンパク質を摂ればよいのか、あらためて考えるキッカケにしてみましょう。

参考文献

1. 株式会社ヤクルト. ヘルシスト/最新研究で明らかになった正しいタンパク質の摂り方. 

2. National Center for Biotechnology Information. Valine | C5H11NO2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-valine

3. National Center for Biotechnology Information. Leucine | C6H13NO2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-valine

4. National Center for Biotechnology Information. l-Isoleucine | C6H13NO2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/l-isoleucine

5. National Center for Biotechnology Information. Phenylalanine | C9H11NO2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-phenylalanine

6. National Center for Biotechnology Information. L-Threonine | C4H9NO3 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-threonine

7. National Center for Biotechnology Information. Methionine | C5H11NO2S – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-methionine

8. National Center for Biotechnology Information. Histidine | C6H9N3O2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-histidine

9. National Center for Biotechnology Information. Tryptophan | C11H12N2O2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-tryptophan

10. National Center for Biotechnology Information. Lysine | C6H14N2O2 – PubChem. 閲覧2020-09-17, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/L-lysine

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前田 修平 グロング専属 鍼灸師
この記事を書いた人
グロング専属 鍼灸師

GronG TEAM GEAR(チームギア)所属の鍼灸師。鍼灸師、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)保有。学生時代、自らの度重なるケガ・不調の経験から、質の高いケアができる施術家を志す。鍼灸・リハビリテーションのケア分野はもちろん、パーソナルトレーナー、フィットネスインストラクターとしても活動。これまでの臨床現場ではアスリートから運動経験のない方まで、さまざまな症例を述べ1万5000件以上担当。

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