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ペクチンとは?その効果と働きについて

坂口 真由香
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)
最終更新日:2020.12.21

果物や野菜に含まれる食物繊維の一種「ペクチン」。膨張してゲル化する特徴からジャムやゼリーなどにも利用されており、私たちが日頃から口にしている食物繊維です。

食物繊維にはさまざまな健康効果が期待されています。ペクチンには一体どのような働きがあるのでしょうか。今回は「ペクチンの概要とその効果」について解説します。

ペクチンとは

ペクチンとは、リンゴの搾りかすやレモン、オレンジなどの柑橘類の皮を原料とする食物繊維です。1825年にフランスの科学者が発見しました。ギリシャ語の“pectos(濃厚な、固まる)”に由来する言葉から「ペクチン」と命名されたといわれています。

ペクチンは名前の由来のとおり、ゲル化する性質をもっています。ジャムがトロトロになるのも果物に含まれるペクチンによるものです。その他、果肉のみずみずしさを保つなど重要な働きをしています。

ジャムの秘密

ジャムのとろみは、果物に含まれるペクチンによるものです。ペクチンがトロトロに変化するためには「加熱」、「砂糖」、「酸」が必要です。ペクチンは加熱により溶けはじめ、砂糖が入ることで、ペクチンの水分を吸収しゼリー状になります。

またとろみには、

  • ペクチン0.7%~1.6%
  • 酸pH2.8~3.6
  • 糖60%~80%

といったバランスが条件となります。果物に含まれるペクチンや酸の含有量はフルーツによって異なります。ペクチンが少ないブルーベリーや桃のジャムを作るときにはペクチンを補うのがポイントです。

ペクチンは柑橘系の果物やリンゴの芯に多いので、一緒に入れるとなめらかなジャムに仕上がります。

ペクチンの効果・働き

ペクチンの効果・はたらき

水溶性食物繊維の働き

ペクチンは果物や野菜に含まれる水溶性食物繊維の一種です。

水溶性食物繊維はゲル状となり、身体をキレイにしながらゆっくりと移動して排泄されます。とくに日本人は水溶性食物繊維の摂取量が不足しているといわれており、積極的に摂り入れたい栄養素ですね。

外敵に負けない身体づくりのサポート

腸管には細菌やウイルスなど何兆個もの微生物が生息し腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。善玉菌や悪玉菌、日和見菌など多くの菌がバランスを保ちながら健康に寄与してくれているのです。

ところが有益な腸内細菌であっても組織内に侵入すれば、身体は異物と判断して過剰な免疫反応を起こしてしまいます。組織内への侵入を防ぐため、腸は粘膜上皮で覆われており、粘液を1日3L分泌しています。粘液によって細菌やウイルス、有益な菌の侵入を防いでいるのです。

つまりバリア機能が健全に機能するかが重要で、ペクチンなどの食物繊維が、健康な身体づくりには重要であると考えられています[1]

またラットの研究では、ペクチン入りのエサを食べることが身体を保護し、健康維持につながる可能性があると報告されています[2]

健康維持のために

水溶性食物繊維の一種であるペクチンは、健康のために重要であると期待されています。動物実験ではペクチンが健康維持の手助けとなると報告されています。しかしながら人間を対象とした研究では、効果が見られなかったようです[3]

またペクチンの摂取量はめぐりよい生活のサポートになると報告されています。しかし果物や野菜に含まれる他の成分の影響もあるかもしれないとされています[4]

そのためペクチン単体による健康への影響は、さらなる研究が必要と考えられます。

まとめ

ペクチンはトロトロのジャムに欠かせない栄養素でしたね。ペクチン単体での効果や働きについては、更なる研究が待たれるところです。

人間の身体は多くの栄養素が協力して生命活動を維持しています。少なくとも野菜や果物に含まれる食物繊維が与える健康への貢献については、多くの研究で証明されています[5]

ペクチン単体でのパワーは弱くとも、他の栄養素と協力することでさまざまなメリットできるのではないでしょうか。

参考文献

1. Beukema, M., Faas, M. M., & de Vos, P. (2020). The effects of different dietary fiber pectin structures on the gastrointestinal immune barrier: impact via gut microbiota and direct effects on immune cells. Experimental & Molecular Medicine, 52(9), 1364-1376.

2. Hino, S., Sonoyama, K., Bito, H., Kawagishi, H., Aoe, S., & Morita, T. (2013). Low-methoxyl pectin stimulates small intestinal mucin secretion irrespective of goblet cell proliferation and is characterized by jejunum Muc2 upregulation in rats. The Journal of nutrition, 143(1), 34-40.

3. Schwab, U., Louheranta, A., Törrönen, A., & Uusitupa, M. (2006). Impact of sugar beet pectin and polydextrose on fasting and postprandial glycemia and fasting concentrations of serum total and lipoprotein lipids in middle-aged subjects with abnormal glucose metabolism. European journal of clinical nutrition, 60(9), 1073-1080.

4. Wu, H., Dwyer, K. M., Fan, Z., Shircore, A., Fan, J., & Dwyer, J. H. (2003). Dietary fiber and progression of atherosclerosis: the Los Angeles Atherosclerosis Study. The American journal of clinical nutrition, 78(6), 1085-1091.

5. Anderson, J. W., Baird, P., Davis, R. H., Ferreri, S., Knudtson, M., Koraym, A., … & Williams, C. L. (2009). Health benefits of dietary fiber. Nutrition reviews, 67(4), 188-205.

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坂口 真由香 管理栄養士(寄稿)
坂口 真由香
管理栄養士(寄稿)

管理栄養士、日本糖尿病療養指導士、フードコーディネーター、サプリメントアドバイザー保有。大阪市内400床病院で6年間、献立作成や慢性期から急性期疾患の栄養管理に従事。糖尿病などの慢性疾患を対象に年間4,500件ほどの栄養相談・サポートを経験。

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