食物繊維たっぷり「納豆」の働きや魅力を知ろう!

最近流行りの「腸活」。腸活といえば食物繊維です。
食物繊維といえば野菜や海藻を思い浮かべる方も多いでしょう。実は食卓の定番「納豆」も食物繊維が豊富な食品のひとつです。また納豆には食物繊維のほかにも、腸に嬉しい栄養が豊富に含まれています。
今回のコラムではそんな「納豆の働きや魅力」について解説します。
納豆の食物繊維
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性繊維に分類されます。
不溶性食物繊維はシャキシャキとした歯ごたえが特徴的で、腸内で水を吸収しながら便のカサを増し、腸を刺激して排便を促進。水溶性食物繊維はネバネバした食品が多く腸内でゲル状となることで栄養素の吸収を緩やかにしたり、有害物質を対外へ運び出すことで血糖値やコレステロールの上昇を抑える働きがあります。
成人における1日の食物繊維目標量は男性21g以上、女性18g以上が望ましいとされています[1]。また水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスは「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」が理想的といわれています。
なんと納豆は食物繊維が豊富なうえにに水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスも理想的なのです。
納豆の種類 | 食物繊維の総量 | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 |
---|---|---|---|
糸引き納豆 | 6.7g | 2.3g | 4.4g |
引き割り納豆 | 5.9g | 2g | 3.9g |
文部科学省「食品成分データベース」[2]より作成
納豆はシンバイオティクスの代表

腸の働きを良くしたいなら腸内細菌のバランスが大切です。「シンバイオティクス」という言葉をご存じでしょうか?
腸内環境を良くするには腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことがポイント。腸に有用な菌を食べる「プロバイオティクス」。腸内に住む善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂取し、腸内環境を元気にする「プレバイオティクス」。
そして近年では、プロバイオティクス食品とプレバイオティクス食品をバランスよく摂取し、腸内環境改善にアプローチする「シンバイオティクス」が効果的といわれています。
納豆にはプレバイオティクスの食物繊維が豊富です。また「納豆菌」と「枯草菌」が存在しており、ビフィズス菌などの善玉菌を増やすといわれ、プロバイオティクスとしての働きも期待されています。つまり納豆はどちらの働きも兼ね備えており、シンバイオティクスなのです。
腸は栄養素の消化吸収や免疫機能などさまざまな働きを有しており、腸内環境が整うことで免疫系向上や発がん予防などの効果も期待されています。
14日間、納豆50g(約1パック)/日を摂取した結果、糞便中の悪玉菌といわれるウェルシュ菌の菌数と検出率が減少したと報告されています。また便の臭い成分である「インドール」や「スカトール」の濃度が低下したという結果も得られています[3]。
まだまだある納豆の魅力
納豆には食物繊維のほかにもさまざまな魅力があります。納豆のネバネバ成分に含まれる酵素のひとつ「納豆キナーゼ」。納豆キナーゼには血液をサラサラにして血流を改善する効果が期待されています。また動脈硬化予防なども期待されています[4]。
血液をサラサラにする効果も重要ですが、血液を凝固する働きも大切です。血液を凝固する働きがあることで、ケガして血が出ても止まるわけです。
納豆にはビタミンKが含まれています。ビタミンKはプロトロンビンなどの血液凝固因子をつくるための材料となります。また骨の形成にも関わっており、丈夫な骨のもととなるタンパク質とカルシウムの接着剤的な役割も担っているのです[5]。
まとめ
納豆には食物繊維や納豆菌など腸に嬉しい成分が豊富に含まれていました。
納豆の歴史に関する古い報告によると弥生時代から食べられていたという説があるようです。腸内細菌は遺伝の影響、国や地域によっても異なるといわれています。日本人の腸にはビフィズス菌が多いともいわれています。もしかすると古来からの納豆パワーが影響しているのかもしれませんね。
そして誕生から1000年以上経過しても、食卓の定番食材として君臨し続ける納豆の魅力を身体が知っていたのかもしれません。
参考文献
1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版).
2. 文部科学省. 食品成分データベース.
3. 細井知弘. (2003). Probiotic としての納豆菌の作用. 日本醸造協会誌, 98(12), 830-839.
4. Chen, H., McGowan, E. M., Ren, N., Lal, S., Nassif, N., Shad-Kaneez, F., … & Lin, Y. (2018). Nattokinase: a promising alternative in prevention and treatment of cardiovascular diseases. Biomarker insights, 13, 1177271918785130.
5. Myneni, V. D., & Mezey, E. (2017). Regulation of bone remodeling by vitamin K2. Oral diseases, 23(8), 1021-1028.