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高校野球のプレイヤーは戦略的にプロテインを選択すべき

島袋 好一 トレーナー(寄稿)
島袋 好一
トレーナー(寄稿)
最終更新日:2022.07.16
高校野球のプレイヤーは戦略的にプロテインを選択すべき

野球選手にプロテインをおすすめする場合、対象年齢をどこにフォーカスするかは、大切な要素のひとつです。

ナショナルチームを例にみても、「小学生」「中学生」「高校生」「大学生・社会人」「プロ野球」と世代に別れて招集されています。また代表チームに限らずとも、学校、クラブチームと所属する団体は違えど、大会運営や通常の活動もこのカテゴリーが基準です。

そんな中、日々の私自身のトレーニング指導中に、「プロテインの飲み方」について最も多くの質問を受ける年代があります。その年代は高校生です。

皆さまもご周知の通り高校野球は、我が国のスポーツ史においても稀有な、全国規模の大会が100年以上も続く人気競技です。また国民やメディアの注目度や、シンボライズされた“甲子園”という球場の魅力も相まって、そこに対峙する球児たちが「より強く、大きく」なることを切望し、私のような専門家にアドバイスを求めるのは必然の流れなのかもしれません。

しかしながら一歩踏み込んで実践されている食事方法を観察してみると、まだまだ主食である「お米」や「麺類」を1回の食事で多量に摂取するという考え方が主流です。

“プロテインの種類とは?違いと特徴を理解して適切なプロテインを選択しよう!”の末文で触れたTTO(時間帯、タイミング、目的)に着眼し、効率的な「栄養、プロテイン摂取」でカラダづくりをおこなっている高校球児は、まだまだ少ない……。

このコラムを参考に自身の栄養学の知識を高め、飛躍的なカラダづくりのサポートになればの思いをこめて…。「一球入魂」ならぬ「一筆入魂」で今回のコラムを執筆いたします。

プロテインを選ぶ前に知っておきたいこと

栄養素の役割を理解する

図1:栄養素それぞれの役割

指導現場でよく遭遇するシーン。「なにをいつ、どれくらい、なんのために摂取するのか」という意識よりも、「デカくなりたければとにかく量を食べろ」という知識不足からくる少し乱暴で偏った認識のもとに、カラダづくりを行っていることが圧倒的に多いです。

加えてその量のバロメーターも、日本人の主食である「お米をどれだけ食べたか?」である場合がほとんどです。主食であるがゆえに、当然一番に慣れ親しまれた食品ですし、日本人の大食漢を誇示する数値の単位が今もなお「どんぶり〇〇杯」であることも揺るがない事実。

図1をご覧ください。「お米」をはじめとする炭水化物の直接的な役割は「カラダを動かすエネルギー」となることです。球児が食育という命題のもと日々の食事をおこなう目的は、カラダづくりに効果的に貢献し、野球というスポーツのテクニックとスキルを向上させ、ケガや故障を未然に防ぐものであることに他なりません。

野球に限らず、スポーツ選手がカラダを「大きく、強く」するためには、「大きく、強く」なるための目的と理由が存在すべきです。

そのためには、競技のエネルギー代謝特性や練習内容(カラダを大きくするためのトレーニングプログラムが、どのように組み込まれているか?)、個人の体格差が考慮されるべきなのは言うまでもなく、おのずとプロテインの摂取もこれらに応じたものになるべきです。

自分に合った戦略的な食事摂取を考える

自分に合った戦略的な食事を考える

「にわとりが先か、たまごが先か?」の論争ではありませんが、本来は“大きく、強く”のプライオリティ(優先順位)は、強くなることにあるべきです。「投手がより速い球を投げられるようになった」「打者がより遠くへ飛ばせるようになった」という成果は、単に“大きく、重くなった”ことのみによってもたらされるものではないからです。

野球の競技特性を考えると本来体重増加は、筋力を始めとするさまざまな体力因子の統合的なトレーニングプログラムの実践によってもたらされる、副産物であることが望ましい。

なぜなら「大きく、重くなった」ことだけにとらわれるのではなく、体重増加の要因が「筋肉量」「脂肪量」のいずれの増加であったかを理解しておかなければ、今後の競技能力を左右しかねないからです。急激な体重増加は、ときに技術の体性感覚を狂わせ、膝関節や足関節などの負担を大きくしスポーツ傷害や外傷を誘発する可能性があります。

ではどのように食事をし、プロテインを活用すればよいのでしょうか?

身長(cm)体重(kg)BMI値
全出場選手 平均(882人)173.671.823.8
内)U-18候補選手 平均(13人)176.577.624.8
高校3年生男子平均170.662.621.5

表1:2019年夏の甲子園出場選手及びU18候補選手の傾向と体格
kensukekunii 「2019夏 甲子園出場選手882人の傾向と体格」
文部科学省 「学校保健統計調査ー平成30年度(確定値)の結果の概要」より作成[1-2]

表1をご覧ください。こちらは、2019年夏の甲子園に出場した選手たちの「身長」「体重」「BMI値」の平均値とそのカテゴリーの代表レベルの選手及び高校3年生男子を比較したものです。このような指標を元に、まずは自分の体格がどのレベルにあるかを把握し、「いつまでに、どれくらい大きくするか?」の目標設定を明確にします。

 

年齢(歳)

男子
身体活動レベル
低い ふつう 高い
15~17 2,500 2,850 3,150
18~29 2,300 2,650 3,050

表2:身体活動レベルによる摂取エネルギーの基準値
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 より作成[3]

表2から、1日の摂取エネルギーの基準値を決めます。“プロテインのカロリーを一般食品と比較してみた”で触れた「エネルギー収支と体重変化の関係」から、三大栄養素の摂取バランスとタンパク質摂取の割合を参考にして、「どんなものを、どれくらい食べればいいか」をイメージしてみましょう。

日々の練習で、相当な量のカロリーを消費してるであろう球児の場合、同年齢男子の推定エネルギー必要量のMAX値である3,150kcalに設定します。次に①三大栄養素それぞれの摂取比を分配し、②1gあたりのエネルギー量で割ります。

①三大栄養素それぞれの摂取比を分配

3,150kcal(炭水化物50~65%、タンパク質13~20%、脂質20~30%)

  • 炭水化物:1,575~2,048kcal
  • タンパク質:410~630kcal
  • 脂質:630~945kcal

②1gあたりのエネルギー量で割る

炭水化物:4kcal、タンパク質:4kcal、脂質:9kcal

  • 炭水化物:394~512g
  • タンパク質:103~158g
  • 脂質:70~105g

導き出されたグラム数から具体的な食品に置き換え

  • 炭水化物:お米3.5~4合(茶碗6~8杯分)
  • タンパク質:鶏ささみ5~8本、秋刀魚5~8匹、卵15~25個
  • 脂質:調理過程や肉や魚、卵に含まれる脂質の量で必要量を満たすことが多い。

実際の食品に落とし込んだ量を、自身の日々の食事量や内容に投影し、現在の体重に変化がなければ「摂取量=消費量」で均衡状態。増加傾向にあれば「摂取量>消費量」、減少傾向にあれば「摂取量<消費量」の状態にあるといえます。

いずれの状態にせよ、体重増加がみられない場合、以下のような状況であることが推察されます。

  1. トレーニングプログラムによって、筋に適切な刺激や負荷が与えられていない
  2. カラダや筋を回復させるための充分な休養がとれていない
  3. 摂取エネルギーの絶対量が不足状態になることが多く、筋タンパク質が分解されている
  4. 筋タンパク質合成が促進されているタイミングでの、タンパク質の供給量不足

今回の記事の論旨である、炭水化物の摂取の仕方と量に言及し具体的な食品の置き換えと対比させてみました。すると炭水化物(お米)の摂取量は日々の継続摂取に比較的実現可能な数値であることがわかります。

しかし相当の意識と知識をもって挑まなければ、三度の食事でタンパク質の必要量を補うことが困難なことをご理解いただけるかと思います。

①・②は監督やコーチ、トレーニング指導者、トレーナーなどと相談することで、現状を打破するためのプログラムと練習スケジュールの変更がおこなえます。それでは③・④を改善するためには、具体的にどのようなアクションを起こすべきなのでしょうか?

自分の環境・状況に合ったプロテインを選択する

自分に合ったプロテインを選択する

高校入学当初、練習量の急激な増加によりエネルギー消費に食が追い付かなくなったり、夏季の外気温上昇による疲れや水分摂取過多による胃腸の機能低下に起因する一過性の体重減少を除けば、「どれだけ食べても思ったように大きくなれない」という状況は、多数の球児に当てはまるかと思います。

このような状況下にある場合は、日々の練習のエネルギー消費量が基準値の3,150kcalを上回っていると考えられます。そしてその不足分をお米を軸とした炭水化物の多量摂取でまかなおうと、どんどん食べる量を増やそうとします。結果、消化が追いつかず空腹感もないのに、「絶えず食べている」ような負のスパイラルに陥ってしまっていることも少なくありません。

また部員同士で食べた量を競い合ったり、ノルマ化された量を達成するために食事そのものが億劫になったり、ひいてはそれらが原因で消化器系の疾患やストレス性の胃腸炎を併発してはまさに本末転倒。

そんな球児には、GronG『ウェイトアッププロテイン』のようなマルトデキストリン※1を含むプロテインがおすすめです。

練習前後や間食に60~90g程度補給すれば、ごはんお茶碗約1.5~2杯分のエネルギーが補給できます。練習前に摂取してもお腹に溜まりにくいのでプレー中の負担は少ないです。

また練習後に摂取すれば、通学に時間が掛かり夕食までに時間が空き過ぎてしまうような球児でも、速やかなリカバリーをおこないつつ、夕食で再度しっかりとエネルギーを補給できます。また朝練で時間がないときの朝食の置き換えや、授業前の栄養補給としても効果的です。

※1 マルトデキストリン:通常トウモロコシを原料に作られる消化吸収に優れた糖質です。お米よりも消化吸収のスピードが速く、スポーツやトレーニング前・中のエネルギー補給、トレーニング後のエネルギー補給に優れています。

ウェイトアッププロテイン ココア風味 1kg
ウェイトアッププロテイン ココア風味 1kg

元々食が太く、基準値をはるかにオーバーするような量の炭水化物を摂取しているにも関わらず、体重が増えにくい球児は、“プロテインを飲むタイミングはいつ?食前?食後?”を参考に、タンパク質摂取のタイミングと全体量を見直してみてください。

まとめ

2019年の高校野球シーンを席巻し、将来を嘱望される選手が、カラダを大きくするための取り組みとして、毎日お米を10合食べていることがメディアに取り上げられ話題となりました。

スポーツの世界で往々にして犯す過ちが、「あの凄い選手は、あの強いチームはこれだけ食べている」がスタンダードとなってしまうこと。時にそれは「食トレ」と評され、強くなるための通過儀礼として球児に重く圧し掛かる。

しかしながら最長でも2年4ヶ月という限られた時間で、眩いくらいの輝きを放ち続ける聖地を目指すために、エキセントリックな食事にトライする気持ちも痛いくらいに理解できる。

近年では、遺伝子検査により筋タンパクの組成や代謝に関わる個人の特性に寄りそい、栄養指導を行うチームも現れてきました。今後は、DNA領域の解読がより進化し、「エピジェネティック※2」な変化や体質を解析し、その人に合う最適な栄養素やサプリメントを科学的に明らかにする「ニュートリゲノミクス※3」を基盤にした食育の時代が到来するでしょう。

※2 エピジェネティック:生まれながらに親から受け継いだ遺伝情報が後天的な環境や食生活、トレーニングによって変化するメカニズム。例えば、糖質を食べても太りにくいという先天的体質が、糖質摂取過多の食生活を続けることで肥満体質なってしまうような変化。

※3 ニュートリゲノミクス:一般的には、「〇〇はカラダに良い」といわれるような食品も、人それぞれに最適な栄養は異なることを明らかにする研究分野

今は新型コロナウィルスの影響で、思うように練習もトレーニングもできず我慢の時です。しかし来るべき時代に備え、まずは第一歩としてこの記事を手始めに「次の成長と強さ」のための準備をしてみてはいかがでしょうか?

ウェイトアッププロテイン バニラ風味 1kg
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参考文献

  1.  kensukekunii. 2019夏 甲子園出場選手882人の傾向と体格【全49校882選手データdl付. 閲覧2020-04-27, https://note.com/knrks/n/n39ad5a36176d
  2.  文部科学省. 学校保健統計調査ー平成30年度(確定値)の結果の概要. https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/1411711.htm
  3.  厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
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島袋 好一 トレーナー(寄稿)
この記事を書いた人
島袋 好一
トレーナー(寄稿)

トレーナー。体育学修士、JATI-AATI(上級トレーニング指導者)保有。トレーニング歴は30年にも及ぶ。「知識と実践の融合」、「担がざるもの教えるべからず」を最大のテーマに日々のセッションに対峙。専門学校講師時代は最大年間1000時間以上の座学、実技の講義及び運動指導者資格の対策講座を担当。

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