食物繊維の過剰摂取で便秘に?正しい摂取方法について解説します
「野菜をしっかり食べているのに便秘気味」「食物繊維を意識して食べはじめたら、かえってガスが溜まるようになったり、便秘や下痢に……」なんてことはありませんか?
もしかすると食物繊維のとりすぎか、バランスが崩れているのかもしれません。
こちらのコラムでは、「食物繊維の正しい摂取方法」についてご紹介します。
食物繊維の1日における目標量
そもそも食物繊維を1日にどれくらい食べたらよいかご存じですか?
日本人の食事摂取基準によると、成人男性では21g以上、成人女性では18g以上が望ましいとされています[1]。この量は人参であれば7本、レタスであれば6個、バナナであれば19本に相当します。また国民健康・栄養調査によると日本人の平均食物繊維摂取量は、14.4gと不足しているのが現状です[2]。
それではなにが問題なのでしょうか?
食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があり、それぞれ特徴が異なります。
これらの特徴を知らずにどちらかに偏って食べたり、過剰になっていたりすると、ガスが溜まったり、便秘や下痢といった不調をきたすことがあるかもしれません。
食物繊維の過剰摂取
水溶性食物繊維は、体内でゲル状になり、他の物の絡め取りながらゆっくり移動します。
一方で不溶性食物繊維は、体内で水分を吸収しながら大きくなります。大きくなって体内を刺激しながら排泄されるのです。水溶性食物繊維、不溶性食物繊維どちらの働きも大切で、バランスが重要といえるでしょう。
しかしながらどちらか一方に偏っていたり、過剰に摂取しているとバランスが崩れてしまいます。
たとえば不溶性食物繊維を過剰に摂取すると、カサが大きくなりすぎてスムーズに移動できなくなります。体内に長時間停滞すると、水分を吸収されてしまいカチコチに。スムーズに排泄されず、渋滞することでガスが発生したり張りを感じたりと不調をきたすのです。
水溶性、不溶性食物繊維のバランス
一般的に水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の比率は、1対2が理想的といわれています。しかしながら平均摂取量を見てみると、おおよそ1対3と不溶性食物繊維に偏りがちでなのです[2]。
すっきり不足を感じる場合、
- 食物繊維のとりすぎ(とくに不溶性食物繊維)
- 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが崩れている
- そもそも食物繊維が足りていない
これらのことが要因として考えられるかもしれません。
一口に食物繊維といってもペクチンやグルコマンナン、イヌリン……などなど、食物繊維にはたくさんの種類があります。それらの特徴を知りバランスよくとり入れてみましょう。
水溶性食物繊維を含む食品(ゲル状で柔らかくなる)
水溶性食物繊維には、ヌメヌメ・ネバネバとした食品が多く下記のような食品が該当します。このヌメヌメが体内でゲルを形成し、柔らかくなって排泄されます。
食物繊維の名称 | 主な食品 |
---|---|
ペクチン | 果物類、芋類類、野菜類 |
グルコマンナン | こんにゃくいも |
アガロース | 寒天 |
アルギン酸ナトリウム | 昆布、ワカメなどの海藻類 |
フコイダン | もずく、めかぶ、昆布 |
カラギーナン | 海藻類 |
イヌリン | ごぼう、菊芋、チコリ、玉ねぎ、にんにく |
β‐グルカン | きのこ、大麦 |
不溶性食物繊維を含む食品(刺激回数を増やす)
不溶性食物繊維には、シャキシャキとした歯ごたえのある食品が多く下記のような食品が該当します。このスジっぽい繊維が水分を吸収しながらカサを増し、刺激しながら排拙されます。
食物繊維の名称 | 主な食品 |
---|---|
セルロース | 野菜類全般、大豆、ふすま、穀類 |
リグニン | 豆類、カカオ |
キチン | きのこ類、甲殻類の皮 |
キトサン | 甲殻類の皮 |
他の食材を上手に組み合わせる
すっきりスムーズな毎日のために食物繊維は重要です。
腸の中には100兆個を超える腸内細菌が存在しています。この腸内細菌にはよい働きをする善玉菌、悪さをする悪玉菌、どちらでもない日和見菌があり絶妙なバランスを保っているのです。
しかしながら病気やストレス、食生活の偏りなどさまざまな影響で崩れることも……。
食物繊維は体内からのキレイを助け、善玉菌のエサとなり健康をサポートもしています。食物繊維以外に、オリゴ糖や乳酸菌、ビフィズス菌など善玉菌を直接補給するなどサポーターはさまざま。たくさんのサポーターで支えたほうが身体は元気になります。
乳酸菌やオリゴ糖を含むヨーグルトや納豆などの発酵食品と一緒にとることで、よりすっきりスムーズな毎日が望めるかもしれません。
サプリメントの摂りすぎ注意
食物繊維に関連するサプリメントがたくさん販売されています。しかしサプリメントばかりに頼ってしまったり、過剰に摂取すると、かえって便秘や下痢をおこすこともあります。
前述の通り食物繊維にはたくさんの種類がありました。サプリメントだけを頼りにしていると単一の食物繊維に偏ってしまいバランスが崩れかねません。
基本は食品から取り入れることを忘れないようにしましょう。
まとめ
食物繊維は内側からのキレイのために重要な働きをします。
しかしながらとりすぎてしまったり、偏って摂取していると、かえって便秘などの不調の原因となることがわかりました。
食物繊維は野菜だけにとどまらず海藻や果物、芋、穀類などにも含まれていました。日々の食事でさまざまな食品をとり入れることで、食物繊維の過剰や偏りを解消できるのではないでしょうか。
参考文献
1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版).
2. 厚生労働省. 平成30年「国民健康・栄養調査」.