グアーガムとは?効果や働きについて詳しく解説
「グアーガム」をご存じですか?食品成分表示をじっくりみると、私たちが普段食べている食品に添加されていることに気づきます。
今回の記事では、身近な存在であってもあまり知られていない「グアーガムの効果や働き」について詳しく解説します。
グアーガムとは
グアーガムとは、インドなどで栽培されている「グアー」と呼ばれる植物の胚乳部分から得られる水溶性食物繊維の一種です。
グアーガムの構成成分はマンノース、ガラクトースであり、「2:1」の比率で存在しています。グアーガムは冷水によく溶け、強い粘性をもつのが特徴で、食品添加物として食品に利用されてきました。
グアーガム分解物とは
グアーガムは昔から食品素材としてして使用されてきました。しかし「粘性が高すぎる」難点があったのです。
それから開発が進み、粘性の小さい「グアーガム分解物」が開発されました。今では日頃よく食べている食品や化粧品などにも使用されています。グルテンフリーであることから、ダイエットや健康が気になる方にも人気があるようです。
グアーガムが使用されている可能性のある食品
- アイスクリーム
- ドレッシング
- ソース
- ヨーグルト
- プリン
- 野菜ジュース
- シリアル
などに使用されている場合があります。食品成分表示をよく見ると、「グアーガム」と記載されているかもしれませんね。
グアーガム分解物の効果と働き
身近な食品に含まれていたグアーガム。一体どのような効果や働きがあるのでしょうか?
また身体への影響が気になるところですよね。グアーガムの魅力について解説していきましょう。
プレバイオティクス
前述の通りグアーガムは水溶性食物繊維に該当します。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、「1:2」の比率が理想的といわれています。しかしながら日本人の水溶性食物繊維摂取量は不足しており、平均的な摂取量は「1:3」と水溶性食物繊維の摂取が不足しているのです。
プレバイオティクスとは、有益な腸内細菌の栄養源となる食品のことをいい、水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなることで発酵されて短鎖脂肪酸を産生します。水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維によりも発酵性が高いといわれています[1]。
グアーガム分解物を摂取すると、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌の重要なエサとなるため、無添加と比較して健康維持に有用であるという報告もあるようです[2]。
すっきり習慣
水溶性食物繊維には、腸内で水分を保持しながらゲル状となることで、すっきり習慣のサポートをします。
グアーガムの研究がおこなわれ、おなかにも優しく、すっきりな毎日のサポートにつながったと報告されています[3]。
健康的なダイエットサポート
健康的なダイエットサポートとして、食物繊維は有用であると多くの研究で報告されています[4]。その中でもグアーガムはビートファイバーやグルコマンナンと比較して、有用である報告もされています[2]。
また、ダイエット中に食物繊維をいつもより多く追加して摂取することが、有用な可能性があると報告されています[5]。またグアーガムを摂取した報告によると、腹持ちが良く、満腹感が持続することでエネルギー摂取量が抑えられるといわれています[6]。
グアーガムは身体に悪いのか
ここまでグアーガムの体内における嬉しい働きをご紹介しました。しかしながら安全性についても気になりますよね。
グアーガムは世界中で使用されており、FDA(アメリカ食品医薬局)も安全性を認めています。また日本では特定保健用食品の関与成分(特定機能成分)として認められており、人で機能を発揮する1日の摂取量は5g程度としています。一般的に食品添加物として食品に使用されている量であれば問題ないでしょう。
しかしながらグアーガムが体質に合わない方もいらっしゃるようです。
グアーガムにより膨満感(お腹の張り)やガス、下痢などを起こす可能性があるというのです。とくにサプリメントなどで過剰に摂取した場合、腸閉塞など重篤な状況に陥った事例も過去にはあります[7]。メーカーが推奨する量を守り適切に使用しましょう。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維にはそれぞれの働きがありのバランスが大切です。グアーガムなどの水溶性食物繊維は、主に近位結腸で腸内細菌の発酵を受けます。よって、水溶性食物繊維を偏って摂取すると遠位結腸で発酵産物を産生できない可能性があるのです。
そこで不溶性食物繊維も一緒にバランスよく摂取することで、短鎖脂肪酸などの発酵生成産物が結腸全体に行き渡ると考えらえています[1]。
まとめ
食物繊維が健康に与える恩恵は多くの研究で証明されており、積極的に摂り入れたい栄養素です。
2000年以降、食物繊維に関する製品やサプリメントが多く市場に出回るようになりました。利便性も高く適切に扱えば健康をサポートしてくれるかもしれません。しかしながら過度に期待をよせて過剰摂取すると、デメリットが生じることを忘れてはなりません。
そして腸内環境を悪くしない食事についても考えるべきではないでしょうか。お肉などに偏った食生活は、悪玉菌が増える原因になるといわれています。基本となる食事バランスを整えて、さらにそこに食物繊維が加わることで価値が高まるのではないでしょうか。
参考文献
1. James, S. L., Muir, J. G., Curtis, S. L., & Gibson, P. R. (2003). Dietary fibre: a roughage guide. Internal medicine journal, 33(7), 291-296.
2. 日本食物繊維学会 (2008)「食物繊維基礎と応用」.第一出版
3. Polymeros, D., Beintaris, I., Gaglia, A., Karamanolis, G., Papanikolaou, I. S., Dimitriadis, G., & Triantafyllou, K. (2014). Partially hydrolyzed guar gum accelerates colonic transit time and improves symptoms in adults with chronic constipation. Digestive diseases and sciences, 59(9), 2207-2214.
4. Rideout, T. C., Harding, S. V., Jones, P. J., & Fan, M. Z. (2008). Guar gum and similar soluble fibers in the regulation of cholesterol metabolism: current understandings and future research priorities. Vascular Health and Risk Management, 4(5), 1023.
5. Howarth, N. C., Saltzman, E., & Roberts, S. B. (2001). Dietary fiber and weight regulation. Nutrition reviews, 59(5), 129-139.
6. Rao, T. P., Hayakawa, M., Minami, T., Ishihara, N., Kapoor, M. P., Ohkubo, T., … & Wakabayashi, K. (2015). Post-meal perceivable satiety and subsequent energy intake with intake of partially hydrolysed guar gum. British Journal of Nutrition, 113(9), 1489-1498.
7. Lewis, J. H. (1992). Esophageal and small bowel obstruction from guar gum-containing” diet pills”: analysis of 26 cases reported to the Food and Drug Administration. American Journal of Gastroenterology, 87(10).