プロテインで体臭がきつくなる原因と対策
あなたはプロテインをどのような理由で摂取されていますか。より美しい身体を目指して?健康的な身体を目指して?
トレーニングに一念発起したところ「体臭が気になる」という方がいらっしゃるようです。またプロテインを飲み始めてから体臭が強くなったと感じる方も……。はたしてプロテインが体臭の原因になるのでしょうか?
こちらの記事では、体臭について紐解きながらプロテインが本当に原因なるのか探っていきましょう。
プロテインで体臭がきつくなる原因
体臭がきつくなる原因には、
- 太り過ぎ
- 過度の発汗
- 遺伝
- 食習慣
など、さまざまあるとされています。
タンパク質の過剰摂取
一説では、プロテインなどのタンパク質を過剰に摂取することで、体内でアンモニアが大量に発生することが体臭に影響しているといわれています。
体内でタンパク質は、アミノ酸に分解されて吸収されます。さらにアミノ酸が分解される過程でアンモニアが発生。人体にとって有毒なアンモニアは肝臓で尿素という無毒化した成分に変換され、尿に排泄されます。
腎臓と肝臓が円滑に働いていればアンモニアを発生する心配はないでしょう。
お肉の食べ過ぎ
ある研究によると、お肉ばかり食べていると体臭が強くなるという報告があります[1]。
この研究では、男子学生が「肉食」と「非肉食」グループに分かれて、各グループ決められた食事を2週間継続。2週間後、脇の下のパットやTシャツなどを評価者(女性)がチェックし快適さ、魅力、臭いの強さを評価しました。
結果、非肉食のグループのほうが心地よく、魅力的で強くないと判断されました。このメカニズムについてははっきりとわかっていないようです。
Mean ratings (±SE) of axillary odor pleasantness, attractiveness, and intensity when body odor donors were on meat diet (white bars) and when on nonmeat diet (gray bars). Differences are significant at P = 0.01 (repeated measures ANOVA).
Havlicek, J.ら(2006)図2より引用[1]
タンパク質の摂取を意識し過ぎて、お肉ばかり食べていると体臭が強くなるかもしれません。自身の体臭が気になる場合は、肉の食べ過ぎでないかチェックしてみましょう。
腸内環境の悪化
腸内環境のバランスは腸内細菌によって決まります。この腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌があり、善玉菌がしっかり働くことで腸内環境が整うといわれています。一方、悪玉菌が増えてしまうと、このバランスが崩れて便秘や下痢、おらななど腸内の不調の原因となってしまうのです。
プロテイン(タンパク質)は、体内で消化されると窒素になります。この窒素が悪玉菌のエサとなることをご存知でしょうか。プロテイン(タンパク質)を必要以上に摂りすぎると悪玉菌が増え、「臭いおなら」ガスが発生しやすい環境となってしまう恐れがあります。
過度な炭水化物の制限
ダイエットやボディメイクに励む中、極端に炭水化物を減らしていると、体内では脂肪からエネルギーを作り出す回路が活発になり「ケトン体」という物質が発生します。このケトン体が独特の臭いを放つといわれており、口臭や体臭の原因となる可能性があります[2]。
そもそも体臭を放つくらい極端な炭水化物制限は身体にとって危険です。ケトン体は酸性で、血液中に大量に増えると血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」という命にかかかわるような状態に陥る危険性もあります。
人間の主な栄養源は、炭水化物であることを忘れないでくださいね。
脂質やアルコール
脂質やアルコールも体臭の原因と考えられています。
過度な脂質やタンパク質はバクテリアのエサとなり、雑菌が増殖することで体臭が強くなるようです。またアルコールは、「アセトアルデヒド」という成分に分解され、血液を通って肺や汗腺に送られるため、口臭や体臭の原因となる可能性がありまます。
プロテインによる体臭の対策
体臭には、さまざま原因が考えられそうでしたね。それでは体臭の対策について考えてみましょう。
タンパク質を過剰摂取しない
プロテインやお肉など、タンパク質の過剰摂取は体臭の原因となると可能性あると前述しました。自身にあった量を知り過剰摂取にならないようにコントロールしましょう。
一般的に1日に推奨されているタンパク質量は、成人男性65g、成人女性50gです[3]。またアスリートなど積極的に運動されている方は、体重1kg当たり1.4~2.0gを目安にするとよいでしょう。
脂質を過剰摂取しない
脂質の過剰摂取は、皮脂の分泌を促進してしまいます。すると皮脂が酸化されたり、バクテリアのエサとなり、雑菌が増殖することで臭いの原因となります。
揚げ物や脂質の多い肉類、スナック菓子、洋菓子の食べ過ぎには注意しましょう。
ソイプロテインに変える
動物性タンパク質が体臭の原因となる可能性があるといわれています。前述の対策で解決しない場合、ソイプロテインを試してみるのも一つの手段かもしれません。
一般的に動物性タンパク質の方が体臭に影響すると考えられています。ホエイプロテインやカゼインプロテインの原料は牛乳で、動物性タンパク質に分類。ソイプロテインの原料は大豆で、植物性タンパク質に分類されます。
またソイプロテインに含まれる「オリゴ糖」は、善玉菌のエサとなるのです。
まとめ
体臭の原因には、過度の発汗や遺伝、食習慣などさまざまありました。その食習慣の一つとして、肉やプロテインなどのタンパク質の過剰摂取が影響してそうでした。
体臭に限らず極端なダイエットや食事は、身体にとって負担となります。不快な臭いはもしかすると身体からのサインなのかもしれません。自身の体臭が気になる場合、一度食生活を振り返ってみるといいかもしれませんね。
参考文献
1. Havlicek, J., & Lenochova, P. (2006). The effect of meat consumption on body odor attractiveness. Chemical senses, 31(8), 747-752.
2. Musa-Veloso, K., Likhodii, S. S., & Cunnane, S. C. (2002). Breath acetone is a reliable indicator of ketosis in adults consuming ketogenic meals. The American journal of clinical nutrition, 76(1), 65-70.
3. 厚生労働省. 食事摂取基準(2020年版)