プロテインの代わりとなる食べ物・飲み物をご紹介
いきなりですが、身体づくりにはプロテインが欠かせないと思っていませんか?
もちろんプロテインは優秀です!しかしそれに加えて食事から摂り入れるタンパク質が良質であれば、なおのことトレーニングが充実するのではないでしょうか。
こちらの記事では、「プロテインの代わりとなる食べ物・飲み物の魅力」についてお話しします。
なぜプロテインが脚光を浴びるのか?
最近ではトレーニングをしている方に限らず、さまざまな目的でプロテインを手にしている方が多いのではないでしょうか。
プロテインは、肉や魚、卵といった食品と同じタンパク質。なぜこんなにもプロテイン需要が高まっているのでしょうか。
プロテイン需要が高まる理由
- お手軽(常温保存可能・水に溶解して摂取できる)
- コストパフォーマンスがよい
- 種類が豊富(メーカー、味、性質など)
- 良質なタンパク質を摂取できる
上記のような理由が考えられます。保存がしやすく、水に溶かすだけで好きなタイミングに摂取でき、お手軽でいいですよね。
またプロテイン市場の拡大に伴い、バラエティーに飛んだフレーバーや味も改良され、美味しく摂取できること。1食あたり70円程度で摂取できる商品も増え、手を出しやすい価格帯となったことも要因として考えられます。
そして大きな魅力は、アミノ酸が20種類そろっていることです。人間の身体には20種類のアミノ酸がすべて必要で、20種類すべてそろった食品は優秀なタンパク質として100点が与えられます。(後に説明するアミノ酸スコア)
つまりプロテインを摂取することで、必要なアミノ酸を過不足なく手軽に摂取できることが人気の理由ではないでしょうか。
アミノ酸スコアとは?
肌や爪、髪の毛、臓器、筋肉……といった人間の身体は主にタンパク質で構成されています。私たち人間は肉や魚、プロテインといったタンパク質を食べますよね。それらは胃や腸で「アミノ酸」に分解され、腸で吸収されます。
吸収された「アミノ酸」は、体内で再びタンパク質を合成します。しかしこのとき、アミノ酸が20種類すべてそろってないとタンパク質を合成できません。
また体内で合成できる「非必須アミノ酸」とそうでない「必須アミノ酸」に分類されます。必須アミノ酸は、体内で合成できないため食品から摂り入れる必要があります。
非必須アミノ酸
- アルギニン
- アラニン
- アスパラギン
- グルタミン
- グリシン
- プロリン
- セリン
- システイン
- チロシン
- アスパラギン酸
- グルタミン酸
必須アミノ酸
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- スレオニン
- メチオニン
- トリプトファン
- フェニルアラニン
- ヒスチジン
- リジン
では「アミノ酸スコア」とはなんなのでしょうか?
体内で合成できないアミノ酸をいかに摂取するかがタンパク質合成のポイントです。アミノ酸スコアは、そんな必須アミノ酸に注目したスコア。つまり9種の必須アミノ酸をどれだけバランスよく含んでいるのか数値化したものです。
この9種のうち、ひとつでも必要量に達していないとタンパク質の合成が難しいのです。アミノ酸スコアが100であれば、「9種のアミノ酸がバランスよく必要量含んでいる」ので良質なタンパク質といえます。
逆にお米を例に出すと、リジンというアミノ酸の含有量が少ないだけで、点数は65まで下がってしまうのです。
しかし100に満たない食材であっても、複数の食材と一緒に食べることでアミノ酸スコアは向上し、体内で効率的にタンパク質を合成できます。
プロテインの代わりとなる優秀な食べ物・飲み物
プロテインのようにアミノ酸スコア100を与えられた食べ物・飲み物には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。以下に示すのは、アミノ酸スコア100でありコンビニなどで簡単に手に入る食品です。
牛乳
牛乳1本(200ml)のタンパク質は約6.6g。また牛乳1本(200ml)には1日に必要とするカルシウムの1/3が含まれています。
さらに糖質やタンパクに関わるビタミンB1、エネルギーに関わるビタミンB2、タンパク質に関わるビタミンB6が豊富に含まれています。
ただし牛乳1本(200ml)のカロリーは134kcal。脂質も豊富に含まれており栄養価は高めです。そのためダイエット中の方には、低脂肪牛乳をおススメします。
ヨーグルト
ヨーグルト(固形)100g当たり約3.6gのタンパク質が含まれており、牛乳と同様カルシウムやビタミンB群が豊富に含まれています。
ヨーグルトには、固形タイプとドリンクタイプがあります。ドリンクタイプは固形タイプと比較してタンパク質含有量が少なく、100g当たりのタンパク質量は約2.9gです。また脂質が少ない分、炭水化物が多い特徴があり、甘くて飲みやすいです。
そして近年注目されているギリシャヨーグルト。一般的なヨーグルトをさらに水切りして、水分やホエイ(乳清)を除去しているので濃厚かつクリーミーな味わいが特徴的。主にカゼインというタンパク質を多く含み、その量は一般的なヨーグルトの3~4倍です。
さらに昨年報告されたカナダの研究では、ギリシャヨーグルト食べたグループとチョコレートプリンを食べたグループで筋肉厚、徐脂肪体重を比較しました。
トレーニング日に1日3回(タンパク質量60g)、非トレーニングに1日2回(タンパク質量40g)ギリシャヨーグルトを摂取。チョコレートプリン(タンパク質0gエネルギー同じ)のグループは、同じ条件でプリンを摂取しました。
結果、ギリシャヨーグルトを食べたグループの方が、筋力、上腕二頭筋の筋肉厚、除脂肪体重が増加しました[1]。
ギリシャヨーグルトは、低カロリーなのにタンパク質豊富で腹持ちもよいので、トレーニングをされている方やダイエット中の方にオススメです。
またヨーグルトは乳酸菌を摂取できるのが魅力的ですね。腸内を整えることで、食べ物の消化・吸収が円滑におこなわれるので身体づくりには大切です。
卵
卵1個(50g)に含まれるタンパク質は約6.2g。約82kcalと比較的ヘルシーにもかかわらず、ほとんどのビタミン・ミネラルが含まれ、1個でたくさんの栄養素を摂取できることが最大の魅力です。
とくにビタミンEや、ビタミンDといった脂溶性ビタミンが豊富。さらにトレーニングをしている方が積極的に摂り入れたい、ビタミンB群や鉄も含まれいるのでおススメです。
肉(牛・豚・鶏)
知ってのとおり、お肉にはタンパク質が豊富に含まれています。
お肉を選ぶポイントは「脂が少ない部位」を選択することです。脂分の少ない部位のほうがタンパク質を豊富に含んでいます。とくにバラは脂質が多く、ポテトチップス1袋に相当します。食べ過ぎに注意しましょう。
種類 | 部位 | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
---|---|---|---|---|---|
牛 | ヒレ | 133 | 20.5 | 4.8 | 0.3 |
牛 | ロース | 240 | 17.9 | 17.4 | 0.1 |
牛 | バラ | 371 | 14.4 | 32.9 | 0.2 |
豚 | ヒレ | 130 | 22.2 | 3.7 | 0.3 |
豚 | ロース | 263 | 19.3 | 19.2 | 0.2 |
豚 | バラ | 395 | 14.4 | 35.4 | 0.1 |
鶏 | ささみ | 114 | 24.6 | 1.1 | 0 |
鶏 | むね(皮付き) | 224 | 19.5 | 17.2 | 0 |
鶏 | もも(皮付き) | 253 | 17.3 | 19.1 | 0 |
※可食部100g当たり
表1:肉の種類・部位ごとのカロリーと栄養
文部科学省 食品成分データベースより作成
牛肉はトレーニングをする人にとって嬉しい鉄やクレアチンを含みます。鉄は、赤血球の成分でスムーズなめぐりのサポートをします。鉄が不足するとパフォーマンスに影響するので、日頃から取り入れるといいですね。
またクレアチンは、クレアチンリン酸として筋肉に存在し、運動時のエネルギー補給に重要です。素早いエネルギー補給のサポートができ、瞬発力や持久力を要するスポーツにおける、理想的なパフォーマンスを目指す方にとっては嬉しい成分です。
豚肉は糖質やタンパク質に関わるビタミンB1やビタミンB6などを豊富に含みます。ビタミンB1といえば「元気ビタミン」ともいわれ、夏の暑い時期に豚肉やうなぎを食べる人も多いでしょう。
さらにビタミンB6は、タンパク質と相性のよい栄養素でタンパク質摂取量が増加するとビタミンB6の必要量も増えます。トレーニングによる身体づくりをしている方におススメしたい栄養素です。
鶏肉は脂質が少なく高タンパク。最近では、コンビニで購入できるので運動後やおやつとして摂り入れるのもいいのではないでしょうか。
また鶏のむね肉には、イミダゾールペプチドといってアミノ酸が2つ連なった成分が豊富に存在。ハードにトレーニングをする方やパフォーマンスの向上を目的として運動している方、持久力を要する運動をする方などにはメリットが期待できると注目されています。
一説によると渡り鳥が長い時間飛べるのは、イミダゾールペプチドのおかげではないかといわれています。
魚
サバ缶ブームで注目を浴びているサバ100gに含まれるタンパク質は約20.6g。そんなサバの魅力は、EPAとDHAという魚油が大きな魅力ではないでしょうか。EPAやDHAは、サバやイワシなどの青魚に豊富。体内でほとんど合成できないので必須脂肪酸といわれています。
EPAにはサラサラ成分が含まれ、丈夫な身体を守る働きがあるといわれています。
野菜をほどんと食べないイヌイットの人達が大きな不調なく健康的なのは、アザラシのお肉を日々食べておりEPAの摂取量が多いからだといわれています。それほどEPAのメリットは大きく、積極的に魚を摂り入れるとよいでしょう。
またDHAは効率よく仕事をしたい方におススメな働きがあり、青魚を食べることでどちらの魚油も摂取できます。
鮭100gに含まれるタンパク質は約22.5g。鮭にはEPAやDHAはもちろんのこと、アスタキサンチンという物質が豊富に含まれています。
ご紹介したEPAやアスタキサンチンは、スポーツをする方におススメしたい栄養素です。なぜならサラサラ成分が、運動効率UPを目指して頑張る方のサポートになるからです。
またトレーニング後は、筋肉のダメージにより炎症物質や活性酸素という疲労や老化の原因となる物質が溜まっています。運動後にEPAやアスタキサンチンを摂り入れることで、トレーニング後のリカバリーができるためおススメです。
大豆
大豆は「畑の肉」といわれるほどタンパク質が豊富な食品です。
ビタミンB2、ビタミンEの他、「大豆レシチン」、「大豆サポニン」、「オリゴ糖」、女性らしさ成分といわれる「イソフラボン」などが豊富。
また大豆と一言でいっても、ゆで大豆や納豆、豆腐、豆乳、おから……と大豆食品は多岐にわたり飽きずに食べられそうですね。副菜に1品取り入れることをおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
プロテインにはプロテインの魅力があり人気の秘密がありました。一方、ご紹介した食品はプロテインに匹敵するタンパク質に加えて、ビタミンやミネラル、抗酸化物質といった多くの栄養素が含まれていました。
トレーニングをおこなうにあたり、これさえ食べていたらいい食品なんて存在しません。人間の身体はそんなに単純なものではないのです。アミノ酸にしても1つ不足するだけで身体にとっては大騒ぎ。偏った栄養は、パフォーマンスの低下や疲労感の原因ともなります。
今回ご紹介した良質なタンパク質を取り入れることで、タンパク質の力にとどまらず、他の栄養の力もオンとなり、体内で理想のパフォーマンスを発揮してくれるのではないでしょうか。
参考文献
文部科学省. 食品成分データベース
1. Bridge, A., Brown, J., Snider, H., Nasato, M., Ward, W. E., Roy, B. D., & Josse, A. R. (2019). Greek yogurt and 12 weeks of exercise training on strength, muscle thickness and body composition in lean, untrained, university-aged males. Frontiers in nutrition, 6, 55.